「遠くにいるから一緒にできなかったこと」ができるようになって。ーミナトマチファクトリーの新たな試み
自宅でのリモート勤務が広がるなど、働くスタイルやコミュニケーションのありかたがここ1年で急激に変わってきている中、どんなことを考えていますか?
前回に引き続き、障害のある人たちの就労支援をしているMINATOMACHI FACTORY(ミナトマチファクトリー)の石丸さんにお話をお伺いしました。
自分のペースで、在宅で仕事をする方が得意な人が多い
「僕たちの事業所は精神障害の方が多いんですけれど。こうした方は在宅の時間で働いたりする今の時期に求められている働き方が向いている人が多いんですよね。」
自分のペースで働けて、成果主義。それから、朝から夕方という従来の就業時間ではなく夕方から夜に向けて集中できるなどの特性が、今の時代に特にマッチしているそうです。昔求められていた社会的スキルが変わってきている中では、逆に“今の働き方”として受け入れられています。
加えて話してくれたのが、ネットでつながったり、誰かの日々のデータを蓄積してよりよい暮らしに活用してくれるセンサーや気分転換アプリなど、いわゆるIoTと呼ばれるインターネットを使った技術の活用の興味についてでした。
by Aguri@MOSI
“IoT”って自分たちには程遠い気がして手が出せなかった
「3年前、プロジェクト(*2017年に始まったIoTとFabと福祉プロジェクト)に参加したときには、よくも悪くもそういうIoTを自分たちが使ってみるという思考回路がなかったです。デジタルプリンターなどを使ったものづくりの方は、日々の業務でやっていたので馴染みはあったのですが、IoTの方は…。… なんだろう? すごく崇高なものに思えて、気軽に自分たちが手を出せる認識じゃなかったです。」
当時はベッドにセンサーを入れて、患者さんを見守るなど福祉的な活用イメージでしか活用法が頭に浮かばなくって、自分たちとは程遠いものと思っていたそうです。
でも, この数年で、ポケモンG OなどのG P Sゲーム、アップルウォッチ、自己管理アプリ、オンラインゲームなど通信技術をつかって暮らしを良くしたり、遊べる自己管理のIoTが増えました。
「プロジェクトに参加させてもらったのをきっかけに、じゃあ、僕らなら何をするかな?というのが少しずつ見えるようになってきたんです。」
前は一緒にできなかったことが、今はできるようになった
在宅リモートワークが求められるようになった今、遠くにいるから一緒にできない。という今の社会ニーズにおける環境的な問題をIoTを通じて問題解決ができている気がする。と話す石丸さん。
以前から計画されていたのは、遠くの事業所さんにも参加してもらえる遠隔でのものづくりワークショップの開催。まさか今年に入ってからのコロナ渦が始まるとは思っていなかった去年2019年の9月に第一回目を開催後、実験も含めるとすでに10回ほど開催されています。
例えば、出かけることが困難な遠くの在宅のアーチストさんに、スマートペンでイラストを描いてもらって
データを取り込むことで
そのデータが瞬時に事業所の機械に届き、布に印刷でき商品がリアルタイムでできるようになります。
遠くの場所にいても在宅でも、時差を感じずいっしょに商品制作に関われます。
在宅で今までと同じ講座を受けられる「バーチャル福祉施設」
そして、もう一つ現在着手しているのが、施設に来なくても今と同じ職業訓練の事業を自宅でで受けられる「バーチャル福祉施設」
現在ミナトマチファクトリーでは、就労支援として、就職・就業の際に必要なビジネスマナー講座やソーシャルスキルトレーニングを受講者の方に提供していますが、全く同じ講座が家で受けられるようにしたい。と試作を重ねています。
そもそも、ビジネスマナーを学ぶため施設を訪れてくれる人の大半が、多様な特性や事情があり、集団に抵抗を感じる人もいます。こうしたゲーム感覚のバーチャルの仮想空間で楽しく学べるバーチャル講座は、受講生の最初の一歩の学びのツールとしてマッチしていると感じているそうです。
自分の分身キャラ、アバターを作ってもらい、その中で福祉施設内のスタッフや他の人たちとキャラ同士でコミュニケーションができたり。講師の資料が見れる部屋の空間に入ると、受講者の人は新しい資料を見れたりします。ひょっとしたら、仮想空間には待合室も、会議室も…!
バーチャル講座の様子。ビジネスマナーの話を聞きに受講生たちが集まってるところ。
「そういうバーチャル空間での福祉施設ができたら、とっても優秀な講師の方をどの地域にいてもお呼びできて、より受講者の方にもためになるカリキュラムができると思うんですよね。 実際に直接長崎まで来てください。と普段はお呼びしないと集まっていただけないような講師の人たちもバーチャルなら、参加していただけるメリットがあります。」
全国の福祉事務所では人手不足の中、職員さんは普段の事業を回すのにいっぱいいっぱいな現状があります。こういった仕組みができれば、事業所さん同士が横に繋がったり、職員不足を補って利用したり、今までとは違うコミュニケーションや助け合いが生まれそうです。
1体1顔出しのズームなどのオンライン会議だと、リアルでは参加することが敷居が高いなーと思っている受講生の方も、キャラを作っていいのであれば心理的なハードルを下げて気楽に参加できますね。
今後の希望も含めて色々なお話を聞かせてくださった、ミナトマチファクトリー&石丸さん ありがとうございました。
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今回後紹介したミナトマチファクトリーさんのバーチャル講座の詳しい内容はこちらで読めます。
MINATOMACHI FACTORY/ For All Product
⭐︎ また今回の記事はイラストレーターのAguri@MOSIさんにご協力いただきました。素敵なイラストのご提供ありがとうございました!
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