人間的な感情や使う人のことを一番に@セリーヌ・ムージュノさん
今日は、福祉とデザイン(そしてものづくり!)の共通項について。来月の2月1日のイベントにきてもらうゲストスピーカーであるセリーヌ・ムージュノさんの想いや活動も踏まえて、一緒に紹介します。 (Photo: Sidharth Bhatia)
先日こちらの記事で、セリーヌさんが教職をとっているロンドンの学校について紹介しましたが、
“なんで長年福祉の世界で居場所作りや仕事づくりのアートとかデザインをしてきた団体が、海外からセリーヌさんのような工学の専門家を呼んでんのかなあ?“
と、いまいち繋がりが見えず、疑問を持つ方は多いもよう。(よくその手の質問もらってますよー)
確かにわかりづらい繋がりだけど、セリーヌさんの活動は私たちが進めてきたプロジェクトとも実は仲良し関係なんです。
♦︎セリーヌ・ムージュノさんの転機と活動♦︎
もともとメカニックエンジニアとしてコンピューター支援設計の会社で働いていたセリーヌさん。その会社員時代に、感じた違和感が、
“ほとんどのエンジニアは高度なテクノロジーを設計することばかりに興味があって、それを実際に使う人がどう使うかはあまり気にかけないけれど、その製品を使ったときの楽しさなどの人間的な感情も同じように重要なのでは?”
ということ。
手書きで書いていた手紙がeメールに替わったり、以前より「モノ」を使う場面や機会があらゆる場所で減った今、私たちの体や感覚を使用することがなくなった。とセリーヌさんは言います。
( Photo: Hoang Loc )
テクノロジーを使った製品を使用した時の私たちの体と感覚、感情などの体験— わかりやすくいうと人が使った時に頂く「楽しさ」や「嬉しさ」などの感情の部分に心を砕いて、機器開発に関わってきたそうです。
その後、セリーヌさんは東京で9年間住み、東京工業大学などで学生たちに教えます。その時の彼女の専門は、感性工学。こちらは、ユーザーの気持ちを考えた未来志向の機器デザイン。人の心や実際のからだへの反応などの感性を捉え、活用し、ものづくりに生かしていく手法です。
現在ロンドンの大学で教えているのはユーザー中心設計学。こちらもまず「使う人ありき」で、技術ではなく、使い手である人間を真ん中に捉えてデザインしていく手法。名称は違えど、根っこの軸全くいっしょ。
実は今回のシンポジウムにおよびする2人の海外ゲスト(IkeaイスラエルThisAbles プロジェクトのインダストリアルデザイナー マリアーナさん、そして今回のセリーヌさん)の両者に共通しているのは、その「新しいものが生まれるまでのプロセスを大事にする」手法。
2人とも「こういうものがあったら便利なのに」「こういうものがあったらいいなとよく思うんだけど、、、どこを探してもないけど、それって作れるもの?」という現場からの意見を大事にします。
探してもないものは自分たちで作っちゃえーThe DIY! (Photo:Craig Whitehead)
セリーヌさんが大事にしていることは
異なる文化や立場の人が一緒になって一つの物ごとの解決法を考えていくことで、今までと違うアイデアや考えが生まれる。そして、そのプロセスの連続が、多くの人のために本当に必要なものを生み出し、イノベーションを起こす。という理念とその研究です。
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2月1日のシンポジウム当日は、セリーヌさんから実際にどんな風に共同で物事を作り出して来たのか、ビデオなどで実際の事例をいくつか紹介してくれるそうです。お申し込みは下記のリンクから絶賛受け付け中。
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