岐阜イノベーション工房2018

その技術をどう使って、何をしたいのか? ― 多様なスキル・視点・経験を持つ人たちと創出する

いよいよ明日、2月1日(土)に開催する「IoTとFABと福祉」国際シンポジウムが開催されます。これまでにもイスラエルとロンドンからのゲストスピーカーと、国内のパネリストについて紹介してきました。

今回はパネリストとしてご登壇いただく情報科学芸術大学院大学[IAMAS](イアマス)小林茂さんをご紹介!IoTとFabと福祉プロジェクトとの関わりからお伝えしていきます。

IAMASウェブサイトをみると下記のように小林さんが紹介されています。

オープンソースハードウェアとデジタルファブリケーションを活用し、多様なスキルや視点、経験を持つ人々が共にイノベーションを創出するための方法論や、その過程で生まれる知的財産を扱うのに適切なルールを探求。岐阜県大垣市において2010年より隔年で開催しているメイカームーブメントの祭典「Ogaki Mini Maker Faire」では総合ディレクターを担当。

そのほかにも、IAMASで培われた "イノベーション創出に有効な手法" を参加者が学び、それぞれの組織において実践し、実践からの学びを共有することを通じて、イノベーション創出に挑戦する風土を岐阜県内に醸成することを目的とした「岐阜イノベーション工房」も小林さんを中心に開講されています。

※本ページのトップ画像は「岐阜イノベーション工房2018レポート」から使用させていただいております。

「IoTとFabと福祉」プロジェクトを主宰する「たんぽぽの家」がレーザーカッターや3Dプリンタなどのデジタル工作機械を導入してものづくりを始めたのは2014年です。

その後、2016年9月に障害のある人たちとともに新しい仕事をつくる拠点「Good Job!センター香芝」がオープンし、より本格的にデジタル工作機械と手仕事を組み合わせた仕事がスタートしました。小林さんはそのオープン当初にGood Job!センターにきてくれました。

そして、2017年から取り組んでいる「IoTとFABと福祉」のプロジェクトが始まったときから関わっていただき、岐阜の社会福祉法人いぶき福祉会と連携し、「ケアの現場にIoTなどの技術をどういかしていくか」という課題に対し、MESH(メッシュ:ソニーが開発した手軽に無線でつながる電子ブロック)を使って福祉施設職員が技術を体験するというワークショップなどを行なっていただきました。

3Dプリンターやレーザーカッターといった「Fab」を使った仕事づくりは、Good Job!センターでも取り組んできたものの、「IoT」となると私たちも期待は感じつつも、具体的に何ができるのだろうというのが正直なスタートでした。

「機器を導入する際の心理的なハードルはどうしたらいいのだろうか」
「何かあたらしいことをするとなると、実際に仕事が増えないか」などなど、日々日常の業務が重なり忙しいケアの現場で業務を効率化したい気持ちと、でも新しい仕組みを導入する余裕がない葛藤のなかで、いろいろな課題があります。

そうしたなかで、小林さんといぶき福祉会とのワークショップでは、実際に何度かMESHを使ってみながらアイデアを出し合ったり、スケッチで視覚化したり、実際に施設の中で試してみてる。共有と試行の繰り返しのなかで、「こうあったらいいな」というちょっとしたアイデアをかたちにできることをワークショップに参加していたみなさんと共有できたような気がします。

そもそも、MESHというもの自体、福祉の現場ではたらく人が知るということもまだまだ少なく、こうした技術が手が届く価格で購入できて、実際に自分たちでも使えるんだということも、大きな発見でした!

IoTとFabと福祉のプロジェクトのなかで、小林さんや京都大学総合博物館の塩瀬隆之さんなども交えながら、全国各地のみなさんとの議論で確認したのは、「技術自体は良いものでもなく、悪いものでもなく、フラットなもの」「だからこそ、その技術をどう使うのか、使うことで何を実現したいのかが大切」ということでした。

どう使いたいか、何を実現したいか、それらをチームで考えることで、当たり前になっている日々の業務や仕組みを見直すことにつながると感じています。

今回のシンポジウムで特別講演がある「ThisAbles」プロジェクトは、小林さんからご紹介いただきました。日本でも、デジタル工作機械を使っていろいろなプロトタイプや製品も生まれてきていますが、IKEAのような国際的な企業と連携し、広くマーケットにのせるというところまでどのようにして、実現できているかは、今回ぜひ聴いてみたい内容です。

FabやIoTのこれからの可能性、そして福祉の現場にいかしていく方法を一緒に考える国際シンポジウム。この機会にぜひご参加ください!


追記:

小林さんには、昨年の「IoTとFABと福祉 フォーラム」において、「IoTとFABがめざしたい世界観」と題し、福祉という辺境にある分野から、IoTやFABの可能性も広がっていくのではとお話もいただきました。こちらもぜひご覧ください。

また、IAMASでの紹介にもあったように、小林さんは知的財産を扱うのに適切なルールも探求されています。たんぽぽの家もアートやデザインの活動が多く、表現を守りつつ広げ、ビジネスにつなげる知的財産権について学ぶ必要性を感じています。

その必要性から、たんぽぽの家では知識だけでなく、その運用方法について、気軽に学べる学習プログラムを開発しており、小林さんにもご協力いただいています。

小林さんからはハッカソンやメイカソンなどの「共同開発の場における知財の取扱について合意を得て事業化につなげる仕組み」について教えていただきました。

これは、FabやIoTを実現するものづくりにも十分関係してくることですので、こちらもあわせてご覧ください!

参考
小林 茂 | 情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] 
■ Ogaki Mini Maker Faire 
■ 岐阜イノベーション工房2018レポート:演習プログラム篇
SONY MESH(メッシュ)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?