見出し画像

個人の表現とデジタル刺繍ミシンを組み合わせるものづくり / IoTとFabと福祉セミナー②

レーザーカッター、IoT、AIなどデジタル技術が発展していく中で、福祉現場はその技術をどのような想いで、どのように日常生活に取り入れているのでしょうか。さらには、今後どのような展開を期待しているのでしょうか。

積極的に技術を活用している福祉現場と、機材や機器を開発しているメーカーと、両者が顔をあわせて率直に議論することで、福祉×技術の可能性をひろげることができると考え「IoTとFabと福祉セミナー」を開催します。

第2弾は、

福祉現場: FLAME(フレーム)
メーカー: TAJIMA

FLAMEはどんな場所?

FLAMEはものづくりを軸にして人と人をつなぐ福祉施設で、愛知県の西側にある豊山(とよやま)町に拠点をかまえています。ものづくりが好きな誰もがつどえて、モノやアートを通して多様な人たちと自然な形でつながっていく空間をめざしています。

2021年6月1日からスタートしたこの施設は、豊山町に住む障害のある人の暮らしを支えながら、尾州の毛織物や有松の絞りなどの地場の素材や技術とつなぎ、地域の人が気軽に相談でき、地元の作家が作品を発信できる、オープンで自由な場所。

その姿勢は、地元の様々なジャンルの作家たちに展示や作品展などを開いていただけるようにと、建物の中にギャラリースペースも用意していることからも感じとれます。ゆくゆくは全国各地の伝統産業や福祉施設ともつながっていくことも考えられているそうです。

画像4

FLAMEを運営しているのはNPO法人motif(モチーフ)。理事長の井上愛さんは、これまでも障害のある人の手しごと(手織り)を仕事にするため、セレクトショップ、作家、ブランドやメーカーなどにつなげる役割を担ってきました。

motifを新たに設立し、産業、慣わし、行事、特産物、素材(生地、糸、生産物、土など)、地域の素材や技術の調査・活用など、障害のある人の創作の幅や地域との繋がりを広げていく取り組みを進めています。

障害のある人の手しごとで作られるものや作っている風景が好きな人、それらを大切に想うデザイナー、職人、作家が地域にいます。その人たちが自由に出入りしてチームになり何かを作る場になる。そのような発想がFLAMEのベースにあります。

画像2

そんなFLAMEに、1つのデジタル刺繍機があります。それは刺繍ミシンメーカーTAJIMAが製造している『刺しゅうミシン TAJIMA SAI - 彩 -(以下、彩)』です。デジタル刺繍機を導入することで、福祉をベースとしながら何かが生まれる場になるのではないかと感じている可能性があります。

【デジタル刺繍機】
自分が描いたイラストなど刺繍にしたいデータを機器が取り込むことで、自動で刺繍をしてくれる機器。

TAJIMAの『彩』はどんな刺しゅうミシン?

TAJIMA は愛知県で1944年に創業以来、3,000機種を超える刺繍機を世界130以上の国と地域に送り届けています。

TAJIMAブランドの刺繍機や関連機器を研究開発・製造する株式会社TISM、国内販売や海外輸出の拠点であるタジマ工業株式会社、そして海外拠点を含めたタジマグループとして、刺繍表現の新たな価値をつくり続けています。

1964年に多頭式刺繍機を開発して以来、かつて人の手によって作り出され高価だった刺繍を、より身近なものへと変え、世界中の人々の生活に彩りを添えてきました。

【多頭式刺繍機】
複数のミシンヘッドをもっているので、大量に同じ柄を刺繍することが可能なため、工場などでの大量生産に向いています。

『彩』は「プロの技術を手軽に」をコンセプトに、これまでに培ってきた工業用刺繍機のノウハウを結集して開発したミシンで、2017年7月に販売が開始されました。

液晶テレビやインテリアのデザインを手がける喜多俊之さんによるマシンデザインで、1頭式で設置場所を選ばないコンパクトな刺しゅう機ですが、エ業用の構造を備えているため耐久性に優れてプ口並の刺繍品質を有しています。

画像4

FLAME × TAJIMA

実はデジタル刺繡機『彩』を導入するために2021年5月9日~7月7日でクラウドファンディングを実施していたFLAME。このときからTAJIMAが運営する彩のショールーム「デジタルステッチハウス」にて商品サンプル作りのアドバイスほか、データづくりや刺繍機取り扱いの講習など協力していただいたそうです。

画像5

画像6

障害のある人の手しごととデジタル刺繍機を組み合わせることで、福祉施設の製品をつくるだけではなく、その先にある地域のものづくりや繋がりにひろがっていくことに魅力と期待を感じてしまいます。

2021年6月のオープン以来、2~3カ月という短い期間の中でも、新しいつながりが生まれ、デジタル刺繍機への理解や再認識を深めて、次なる展開を構想されています。

2021年9月4日(土)に開催する「IoTとFabと福祉セミナー」では、FLAME運営しているNPO法人motifの井上愛さんと、タジマ工業株式会社の馬島拓也さん梅田香純さん、3名をお招きして実例発表&ディスカッションを実施します。

技術を導入後、福祉現場とメーカーが今後について期待と具体性をふくらませるセッション、ぜひご視聴いただき、ご自身の現場にご活用ください。

画像6

(text:一般財団法人たんぽぽの家 小林大祐)


IoTとFabと福祉セミナー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?