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体温のあるテクノロジーとケア / IoTとFabと福祉セミナー⑤

身体的なケア、人や地域とのつながり、表現や創作すること、学ぶことや働くこと、これらを支える技術として IoT の可能性があるけれども、福祉現場にとっては未知数なところも多く、楽しみながら受け入れることはまだまだ難しいかもしれません。

まずは「何ができそうか」「自分たちには何が大切か」「何から始められるか」を具体的な事例を学びながら福祉現場への活用を考えるため、「IoTの活用場所をひろげる:ものづくりとケアの現場から考える」をテーマにセミナーを開催します。

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9月5日の登壇者2人目は、株式会社aba宇井吉美さん(代表取締役)。ベッドに敷くだけでおむつの中がわかる『Helppad(ヘルプパッド)』を事例に、現場とともにつくりあげていく手触りと体温のあるテクノロジーとケアとについて考えます。

おむつの中がわかると、介護の現場がかわる。

家族介護をしている人、あるいは医療や福祉施設で働いている人にとって、排泄介助(トイレ介助)は日常的なサポートです。

サポートの状況も人それぞれで、トイレへ行くところまでの歩行支援が必要な人もいれば、おむつを使用していて交換が必要な人もいます。

「おむつ交換」と一言でおさめてしまうと作業的ですが、そこには介護する人と要介護の人、お互いの気づかいや尊厳があります。

介護する人にとっては、おむつの中を確認しても何も出ていなくて徒労に終わったり、だからといって確認を怠るとおむつから尿や便が漏れてしまったり、放置していると肌のかぶれの原因になってしまいます。

一方、要介護の人にとっては、おむつの中に排泄物があり続ける不快感もあったり、不必要におむつを開閉されることで自分自身の尊厳を損ねたり、介護してくれている相手に申し訳なく思ったりします。

「おむつを開けずに中を見たい・見てほしい」という想いはお互いにあり、介護する人からの要望も多くあったそうです。

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(画像引用:ビコーグループのBLOG ちば美香苑)

実際のところ、おむつ交換にかかる時間というのは1日の中でどれくらいあるのでしょうか。

たとえば、50名の要介護者が住んでいる福祉施設を想像すると、おむつ交換1回あたり3分かかり、排尿・排便の平均回数を1日6回として、50名と向きあうので、

3分 × 6回 × 50名 = 15時間/日

なんと1日だけで15時間。さらにおむつ交換だけではなく、食事、運動、薬の把握、レクリエーションなど、一人ひとりと向きあいながらやりたいことやサポートしたいことは1日の中でたくさんあります。

「おむつを開けずに中を見たい・見てほしい」という要望はお互いにありますが、それをマンパワーだけで実現するには無理が生じてしまいます。

おむつからの119番。Helppad

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「おむつを開けずに中を見たい・見てほしい」を実現するテクノロジーとして Helppad(ヘルプパッド)があります。

これはベッドに敷くだけでおむつの中がわかるものです。仕組みとしては、においで尿や便がわかる排泄センサーがおむつの中身を教えてくれます。

ベッドに敷くだけ、ということは身体に装着する必要がないということ。装着するものだと、要介護の人にとっては身体への負担があったり、介護する人にとっては毎回装着する手間が増えたりします。

ベッドに敷いたHelppadが排尿・排便を判断すると、次は、アプリでお知らせしてくれます。お知らせだけでなく、おむつ漏れの可能性も考慮して、先行しておむつ交換したほうがよさそうな順序も提案してくれます。

パラマウントベッドと共同開発

最先端のロボット技術を生かし介護現場と向き合う株式会社abaと、長きにわたり介護業界を支えてきたパラマウントベッド株式会社。それぞれの技術と経験が重なり Helppad は誕生しました。

(株式会社aba ビジョンから抜粋)
私たち aba は、体温のあるテクノロジーを通じて、必要なときに必要なケアを届けるお手伝いをするケアテックカンパニーです。

ひとが生きていく上で、なくてはならない排泄。

それが介護の現場では、介護をする人と受ける人にとっての負担となり、超高齢社会においては小さな負担の積みかさねが大きな課題になっていきます。

そんな介護に関わる人たちを少しでも支えることができればと、排泄という課題に10年以上も真摯に向き合い、においで尿便を検知する排泄センサーを業界初で開発しました。

2021年9月5日(日)に開催する「IoTとFabと福祉セミナー」では、株式会社 aba 代表の宇井吉美さんをお招きして実例発表&ディスカッションを実施します。

宇井さんは千葉工業大学に在学中に介護施設へボランティアに訪れて以来、10年以上も現場の人々とやりとりをしています。Helppad の肝となるセンサーを開発している段階では、実験のために宇井さんがおむつを履いて排泄して、同じ会社の人が目の前でデータ確認をすることもあったといいます。

(引用・抜粋)
誰かが排泄しないとデータは取れません。羞恥心とか、排泄臭が部屋中に充満するとか、そんなことは言ってられない。

自ら介護現場ではたらき、自らの身体で実験するほど、本気で現場を考えている宇井さんとだからこそ、現場で本当に実現したいケアや、技術との関係性を考えることができると思います。ぜひ、ご参加ください。

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(text:一般財団法人たんぽぽの家 小林大祐)


【HelpPad】
https://helppad.jp/

【株式会社aba】
https://www.aba-lab.com/
【参考・引用】
「何があっても、諦めない」aba 宇井吉美が、介護現場と交わした“約束”
abaが10年越しに実現した介護ロボ、排泄ケアが介護現場を救う
ビコーグループのBLOG ちば美香苑


IoTとFabと福祉セミナー


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