THE ANCHORS 寺田氏 x ACADEMY FIGHT SONG givegive氏 Wインタビュー&対談 【パート③ givegive氏の音楽・活動遍歴と影響、感覚、精神】
(前回:【パート② アンカーズ寺田氏の音楽・活動遍歴と影響、感覚、精神】について)
大阪でSeathriftやegomaniacsといったバンドなどで活動しているHRTと言います。このたび三重のTHE ANCHORSの2ndアルバム"festivals"と、福岡のACADEMY FIGHT SONGの2ndアルバム"LIFETHINK"が共に2024年、秋と冬にリリースされたことを記念し、2025年2月8日(土)に大阪の難波ベアーズで2バンドのWレコ発イベントを開催します!
アカデミーのBa/Voのgivegive(a.k.a タカユキ)さん、Drums/Voのkabacさんとアンカーズ Gt/Voの寺田さんは、今回超久々の共演かつWレコ発…という事でgivegiveさん、寺田さんの両名に、アルバムリリースとレコ発イベントを記念してWインタビュー&対談を行いました!
パート①では、寺田さんとgivegiveさんの二人の出会いを、前回のパート②では、アンカーズ寺田さんの音楽・活動遍歴と影響、感覚、精神などについて聞きました。今回はアカデミーファイトソングgivegiveさんの音楽・活動遍歴と影響、感覚、精神などを掘り下げます!givegiveさんはこれまで福岡を拠点にSTRANGE OVER THE SUN、TEST MUSTARD DISCO、THE CENTERHITS、SNAREKILLS、snarekillsnation、THE MSGS、崖っぷちといったバンドでギターやボーカルやベースを担当し、2021年からはACADEMY FIGHT SONGのベース、コーラスを務めています。今回は時間の関係から全キャリアでは無く、最初にバンドを始める前後の頃や、近年の日々のことについて主に聞いています。今回のアカデミーファイトソングの2ndアルバムについてのインタビューはラストのパート4に掲載予定です!
音楽に救われた中学生時代
<HRT:以下 H>では寺田さんに続いて、givegiveさんが音楽始めたきっかけを…。
<givigiveさん:以下 ギ>俺はもう軽く、サクッといく(笑)。きっかけは12、3歳くらいに、後にバンドでは、STRANGE OVER THE SUN、BUTCH、SHYBOY、imomushi recordsを運営するYUTAKAくんが従兄だったので、定期的に会ってたんですよ。兄のいなかった自分にとっては、年齢の近い年上で家も近く仲良くしてくれていました。会うタイミングの正月やお盆にいろんな音楽教えてくれた。一番最初の頃はBOØWY、BUCK-TICK、Xなど。翌年のお盆に行ったら洋楽に変わっていたので、英語のやつや!てなってました。中学の時にNIRVANAを聴かせてもらったり、GREEN DAY、NOFXなど、そして同時くらいにDinosaur Jr.(後にgivegiveさんとYUTAKAさんはSTRANGE OVER THE SUNでDinosaur Jr.のJ MASCISと共演!)、確かFUGAZIも…。中学に洋楽を教えてくれたりする友達もいましたがハードロックやメタルのバンドも聴いていました。しかし、オルタナの方がカッコ良く無い?って心の中で思うようになってた。中学校では、自分を押し殺して生活してたんで、好きなバンドを誰かに伝えることはなかった。伝えることもへたくそやし。
<H>そういうところはちょっと、さっきの話の寺田さんと通じるところあるのかもですね。
<ギ>あーあるかもね、ちょっと自分を抑えながら…。SEX PISTOLSとかのCDも買ってるんだけど、多分誰も共感してくれんやろって。ギターは中2くらいで買ったんやけどGuns N' RosesのSweet Child O' Mineが弾けなくて途中でやめたんすよ。そのままギターを放置してたらYUTAKA君が、GREEN DAYはパワーコードで弾けると、弦を2個押さえといたら弾ける!て言われて、6弦と5弦押さえたら弾けて、ホントや、俺でも弾ける!ってなって(笑)。でギター弾けるようになり始めたら耳コピーも出来るようになってきて、中学の時は陰に隠れながらちょいちょいギターを弾いてた。高校はバンドが好きな人が集まる高校に行こう!て思って一生懸命勉強して、福岡県大野城市にある、武田鉄矢が出た高校に行った(笑)。
<H>海援隊を輩出した高校なんですね。
<ギ>そうそう、そこは音楽が盛んだって聞いてて。公立高校なのに(笑)。
<寺田さん: 以下 寺>音楽目線でその高校選んだんすか?
<ギ>比較的に自由な校風で選んだ。中学の時、抑圧されてた生活だったと思っていた。荒れていたヤンキー中学校を、更生のために厳しい校則で抑え付けた改革後に入学したのでしんどかった。窓ガラスが無い中学だったらしいけど、入学した時は窓ガラスもちゃんとあり、茶色のブレザーが制服。90年代の地方の中学校で学ランじゃないの俺たちだけ。毎月テストもあって、テストの時なぜか机持って皆、体育館に行ってテスト受ける。靴下は行事用と普通用で指定されていて靴も3種類あった…とにかく校則が厳しく、厳しすぎるから先輩たちも怒り出して漫画のROOKIESみたいなことが起きて、中学入学直後に入った野球部がすぐに部活停止となり草むしりから始まって…その後もずっと草むしりしか出来なくて、野球もやってないし…音楽しか無かったね救いは。(の記憶です)
<寺>なんかでも、それも良い話、って言ったら申し訳ないけど…。
<ギ>いや、でも巻き込まれるから…。友達が教室中に落書きして、共犯扱いにされて、先生に殴られて…。先生たちも竹刀も持ってたし。
<H>竹刀持ってる時代ですよね。
<駄目ヅマリ〉先生が竹刀持ってる時代ってあるもんなんすか?
<ギ>うん、遅刻したら校門の前で正座せないかんけん怖かった。で、高校行ったらもう天国で!これが学校生活か…!ってなった。
<H>良かったですね!!
福岡のバンドシーンやPUNK、オルタナ、EMOにのめり込んで行った高校時代
<ギ>で、高校で同じクラスにSNAREKILLSを一緒にやるベースのBUBBLEが後ろの席にいたり、福岡のレゲエ・DubバンドのTHE EXPLOSIONSのベース、イベントやTRESOLなどのお店を経営している後輩がいたり、色々と音楽を教えてくれる人が集まってて面白かった。ライブも友達と行ったりした。福岡にグラインドサアフ、SCREAMING FAT RAT、ロレッタセコハン、SNOPPY、BUTCH、PANICSMILE、人間など色んなバンドが福岡にいてライブをしていた。デラシネの前身、宇宙人死姦ツアーも観たことある。
<H>デラシネの前身の宇宙人死姦ツアー?
<ギ>うん。なんかその辺の人たちは"変わった音出す人たち"なんだと思ってて。メロコアのバンド、変わった音出すバンド、ハードコアバンドが同じライブで共演する事が普通と思ってた。当時、ライブを観たSNOPPY、宇宙人死姦ツアーは後から、学年が1個上の高校生なんやって気づいて、もうバリバリやってたからびっくりして。1個上では、JOHARRY`S WINDOWの前身バンド、もうちょっと後にU SPAN Dも出てきたり。
<H>じゃあもう高校生の時に、その後も関わっていくような人たちが周りでオリジナルバンドで活動してたんですね。
<ギ>そうそう、逆にナンバーガールはもうほぼ東京行くか行ったかくらいの時で、もしかしたら観たことあったかも?ってくらい。
<H>でもそのくらいから、ナンバーガールとか、モーサムトーンベンダーとか、それこそRUMTAG(アカデミーのVo/Gtのエイジさんが在籍していたバンド)とか、福岡のギターロックが熱い!ってなってる時期でしたよね。
<ギ>うん、でも俺は、ギターロック熱い事に気が付かずグラインドサアフのライブに行ってたね。
<H>高校の時は特にどんな音楽が好きだったんですか?
<ギ>アメリカやUKのオルタナロックバンドやメロコアバンドが好きでしたが、WRENCH、COWPERSとZK Recordsのリリースバンドが好きだった。大きなきっかけがビブレホールのWRENCHのライブで、高校の中でWRENCHが凄い流行ってて福岡来る!ってなってライブ観に行ったんやけど、その時初めて観たCOWPERSがめちゃくちゃカッコ良くてびっくりして、やられました。グラインドサアフもその時に初めて観てやべえってなって。
<H>その頃のCOWPERSはどの音源の時期ですっけ?
<ギ>LOST DAYSの頃で、めちゃくちゃ仕上がってた。そこから結構EMOとかにハマり出したっていうのはある。でもその前に、FUGAZIやUNWOUNDが福岡に来てたけど、当時、理解出来なくて行ってなくて、それは今、後悔してる(笑)。そういうきっかけでバンド始めて、高校はコピバンしてた。
高校を卒業してオリジナルバンドを開始
高校を卒業してオリジナルバンドやるのだ〜となった時にバンドやったけどうまくいかなくて解散。それから1年以上バンドをせず、音楽もあまり聴かず、大学へ時々行く、夜は冷蔵倉庫で働くだけ。特にこれと言ってない日々が過ぎる中、従兄のYUTAKA君から、いいメンバー見つけてバンドを始めるからバンドしようやって言ってくれた。それからスタジオに入ることとなり、紹介されたのがkabacくん(現アカデミーや、THE CENTERHITSのDr)とか、ASDくん(次回の新音源のレコーディングエンジニア)だった。
<H>じゃあほぼ初めてのオリジナルバンドがSTRANGE OVER THE SUNだったんですね。
<ギ>その前に1回、その後にSNAREKILLSのベースになるBUBBLE君とかとオリジナルやってるんだけどね。一応デモテープもある。
<H>それはなんて名前なんでしたっけ?
<ギ>タウアっていう…綴りは今思い出せんけども。(”Tahoua”だったようです)国の首都の名前からつけたと思う。
<H>ちなみに、givegiveって名前はどこから来てるんですか?
<ギ>TEST MUSTARD DISCOのメンバーよ。TEST MUSTARD DISCOのバンド名を決める話の時に、俺が「givegivesが良くね?」て言ったら、メンバーのマキヤマくん(infro)やニッシー(4hou8pou、SLYDINGMAN)から「は?クソダサっすね。」て言われて却下されて、わかった、じゃあ俺それを芸名にする!って言ってgivegiveになった。同じタカユキの名前の先輩がいたり、外国人発音し辛いなどあり、芸名がほしくなった。今は、givegiveって呼んでくれなくなった(笑)。タカユキでもgivegiveでも、どっちでもいいです、もはや。
<H>分かりました・・!!
特に影響を受けた音楽やバンド
<H>今回のアカデミーのアルバムでも、Rick Froberg(Pitchfork、Drive Like Jehu、Hot Snakes、Obits…)に捧げるgivegiveさんメインボーカルの曲も収録されていますが、これまでどんな音楽に特に影響を受けましたが?
<ギ>やっぱDrive Like Jehuは仰る通りだけど、影響を受けたっていうと…もうキリないよね。あとやっぱりMike Kirsch(Sarah Kirsch / Bread And Circuits、 Torches To Rome、Fuel、JOHN HENRY WEST…)のバンドは全部好きですね。でも今のアカデミーのベースには反映されてないけど。ギターの時は影響受けてたと思う。アカデミーのベースのことだけで話すと、影響はどちらかというと日本のバンドと、Dischordのバンドかな。元々俺はベース始めたきっかけはTHE MSGSっていうメロディックバンドでプレイしたことだったけど、アカデミーやり始める時にこのバンドでは自分が弾きたいフレーズをもっと弾けるなって思ったのと、アカデミーのGt/Voのエイジさんがやりたいっていうものに合わせられるなあって思って。この人に合わせるには何を聴いたらいいんかなとなり、JAWBOX、JAWBREKER、FUGAZIの曲を参考にしたりした。アカデミー始める時にエイジさんがHOT SNAKESが好きだって言ってて、これまで福岡にHOT SNAKES好きで一緒にバンドやろうとなった人いなかったんでうれしかったですね。
<寺>えー、HOT SNAKESそんなに認知されてないんすね。めっちゃ好きですよ。
<ギ>福岡で自分にHOT SNAKES好きって言ってくれる人は、あまりいなかった。最初、アカデミー始める時にブッチャーズとHOT SNAKESのカバーをやろうとなり、俺がブッチャーズのベースがあまり、耳コピできなくて(笑)HOT SNAKEは弾けますって。アカデミーの始まりはそんな感じだったはず。その後、数年前に映画を公開する前から何かのきっかけでfOULにハマり、今までなんで聴いてなかったやろとなった。それからfOULのベースラインも参考にした。あとベースのプレイスタイルで影響受けてるのは90年代の札幌周辺のバンドやサンディエゴの好きなバンドかな。
<H>givegiveさんはアカデミーでも歌っていて、ストレンジの時から確立されていた超個性的なボーカルですけど、このスタイルになった理由とかはあるんですか?
<ギ>いや、あれしか出来ないから。何も言えないなあ。
<寺>あれが出来るのが凄いすよね。
<ギ>今はもう自分がメインで歌うよりバックで歌うのも結構多いから、普通の音程でもやるしね。
地元でバンド活動を続けること
<H>ギブギブさんも、地元でやることへの思いとか、地元でやってるからこれが出来たとかありますか?
<ギ>いやあ、もうさっきの寺田君の(地元でやることへの思いの)話聞いてびっくりして…俺はもう引っ越して、地元がどこかも分からないし(笑)。
<H>まあ、福岡県という括りで(笑)。
<ギ>住んでるから、たまたたまそこでやってたとしか言いようがないもんね。うーん…ちょっと変わったのは本当コロナが始まったくらいからレコード屋が福岡に増えてめっちゃ楽しくなって。
<駄目ヅマリ (以下 駄)>それめっちゃ感じるっすね。福岡の盛り上がりみたいなのを。
<ギ>コロナ直前くらいの2019年ごろは、福岡市から去りたいって思っていた。自分の努力不足なのに福岡市に魅力を感じておらずで…でも、コロナ時期を前後してRECORD POLIS、BAGISM(2024年12月閉店)、Far Apart Receordsといった、新しいレコ屋が出来た。POLISは、なんでもある。うっかり何枚も買ってしまう。BAGISMでは、集まっているDJの人たちがめちゃくちゃ良くて。絡みがなかった人たちだけど、センスも良いしマジで音楽に貪欲なんだなって思った。特に20代の人たちが凄い面白い。Far ApartはFar Apartで、やっぱEMO、オルタナみたいなものの最新をずっと追いかけてるし、そこに反応するお客さんも来るし、面白いなってなって。で、やっぱ福岡いいよねって思い始めた頃くらいにアカデミーも始まった。
<H>最近、福岡でのライブも人も沢山来てそうですよね。
<ギ>もちろん日によるけど、有難いことに来てくれるね。ちょっとこの前、駄目ヅマリくんが観に来たライブみたいな日(10/12の福岡六本松Heart Strings studioでのoffseason 2nd album Release Show w/I WANT CITY, Academy Fight Song, futurina)でのあんな盛り上がりは、レアなはず(笑)。なかなか楽しかった。
<駄>あの日めっちゃ最高やったすけどね。あのスタジオではよくやってるんですか?
<ギ>昔はめっちゃやってた。20年前から有って。
<駄>アカデミーはメインでよくライブやる場所はあるんですか?
<ギ>今はUTEROが多いね。そうね、今は自分の周りの音楽の環境が良くなったなって思う。
最近良かった音楽やバンド(地元含む)
<H>最近、地元でもワールドワイドでも良かった音楽、バンドとかはありますか?
<ギ>いや、俺は最近はTexas3000ばっかり聴いてる。ライブはまだ観たことないけど。
<駄>アカデミーとTexas3000一緒にやったら最高やろうなって思います。
<ギ>アカデミーのGt / Voのエイジさんが2023年のHAMMERED HULLSの東京ライブ観に行っててTexas3000観て凄えって言ってて、それで聴き始めたねえ。2022年に一緒にライブしたCONGRATULATIONSのライブがかっこよかったね。昨年、一緒にライブしたHAMMERED HULLSもかっこよかった。あと、岡山のTILL EWINGは、めちゃ仕上がってるね。ほんといつでもかっこいい。生のライブ以外の音源は最近色々生活が変わってあんま聴けてなかったけど、BIG CROWNってレーベル知ってます?BAGISMとかで推されて買い始めたけど。いわゆるチカーノ・ソウル系っていうんすかね。Bobby OrozaとかPale Jayとかいるんすけど。
<駄>Bobby Oroza観に行きましたよ、僕!
<ギ>えっ観たんすか!いいな〜・・・凄いよね。流しっ放しで良いってなりますね。あと地元や近隣のお勧めのバンドでいうと、アカデミーの今回のアルバムと同じレーベルkültti kasettiからリリースしてるThe Shrikes、dryacidと、熊本のfuturinaも最高のバンドっすね。
<駄>futurinaは今年10月にライブ観て良すぎて、マジ最高で、人生でもベストくらいに思ってます。
<ギ>あーそれは、僕と一緒です。俺もファンです。良かでしょう。ドラムが惹き込まれるよね。futurinaのテラモトさんのドラムはkabac(アカデミー Dr)の影響らしいけん。2年前くらいに、佐賀の海でPOINTっていうイベントにアカデミーが出た時に観てて、こんなドラムの人おるんや!って思ったらしくて。
<駄>師匠だって言ってましたよね(笑)。
<ギ>Cohakuっていう20代前半のバンドが、荒削りで熱いギターサウンドをかましてて良いですね。Moetheinは素晴らしい歌とバックの演奏、プロになるんじゃないかと思います。Bellbottom From 80'sは、サイケとニューウェーブみたいな感じでめっちゃかっこいい。グランドサアフやMortalizedのメンバーが在籍する、ハードコアキッチンから音源もリリースしているKillseductionが衝撃的でした。あとは佐賀とか山口とかの良いバンドも挙げていくともうキリないからね(笑)。
今後の音楽活動の野望や目標
<H>今後、音楽活動やる上で、実現難しそうなものでも良いので目標や野望みたいなものありますか?
<ギ>え、無いなー・・・(笑)。でも、FUJIROCKには1回出たけど(2009年のROOKIE A GOGOに、kabacさんと共にTHE CENTERHITSとして出演)、応募するんじゃなくてFUJIROCKのようなデカ系フェスに1回くらい呼ばれてみたいな。あと、アカデミーはエイジさんがリードして曲を作ることが多いので、また自分がリードするギターを弾くバンドもやりたい、または再開したいですね。
【パート④最終章 THE ANCHORS、ACADEMY FIGHT SONGのニューアルバム、メンバーの魅力と2/8のWレコ発について】に続く…)