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山にて

山に来た。ようやくだ。鳥の声と雨の音。山で飲む暖かいお茶の至福なこと。

前の会社を辞めるとき、後輩の子がくれた木製のカップ。自分で紙やすりを使い仕上げるようになっているもの。この作業をずっと山でやりたいと思っていた。

紙やすりは80番から400番まで計4枚。コツコツとやすりをかけた。自然の中でやるこの作業がたまらない。

じっくり休みながらも1時間〜2時間。ようやくやすりが終わった。

仕上げに調理で余ったオリーブ油を紙に含ませてすり込んでいく。やわらかくて優しい丸みのわたしだけのマグカップが完成した。

「わたしにぴったりの贈り物だと思って」といいながら渡してくれた彼女の笑顔を思い出し、その思いに感謝をし、こうして山にわたしはいる。

山でたくさんのギフトを受け取った。

美味しい空気と豊かな気持ちをありがとう。おやすみなさい。

おわり

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