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今週のグッドデザインを紹介します(11/18 〜11/22)

今日は、11月4週(11/18〜11/22)のとれたてグッドデザイン5点をまとめてご紹介します!



11/18 コミュニケーションファニチュア[クロスコ]

テーブルとラックを組み合わせてチームでも個人でも作業ができる作業台。拡張性の高いラック構造ならではの多彩な使用環境を構築できる。

クロスコ

受賞者によるデザイン紹介
オフィスや大学などの工房エリアで使用する家具として共同作業から個人作業までをカバー出来るラック型の作業台です。長きにわたり使われてきたラックをリニューアルし、堅牢さと使い勝手はそのままに、多彩なオプションと色仕様で人が集まる「場」を自由にカスタマイズできます。

審査委員からのコメント
ゼロからアプローチするのではなく、既存のラック構造をベースに展開している点は、初見で容易に理解できた。それは同時に、拡張性や強度においても実績が担保された「親しみのある信頼できるもの」であることが直感的に伝わってくる。また、オフィス空間や周囲の家具との違和感なく共存できるデザインを検討し、カラーリングにも注力している点は非常に効果的である。さらに、近年販売されたポータブルバッテリーを使用した電源環境を取り入れることで、利便性を高め、現代のニーズにスマートに対応している点も評価に値する。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/22032

11/19 小さな村のみんなの家[丹波山村役場]

人口減少が進む村のコミュニティの場として、木造の大屋根に覆われた“みんなの家“の役割を持つ村役場。

丹波山村役場

受賞者によるデザイン紹介
人口減少に直面する山村の再生を目指した、自然と文化が調和する村役場のデザイン。この村役場は、森林と水源の保全や地域文化の継承などの地域の価値を再発見し、コミュニティの持続可能な発展を支援する拠点となることを目的としています。

審査委員からのコメント
小さな自治体にどのような町役場が望ましいのか。これは、設計者が建築の本質を考え形にしたものだと感じられた。ハコモノにならない多大な工夫と労力がさかれたまさに“良いデザイン”の一つである。人や活動と形としての建築の結びつきが強くなる一方で、建築としての形が見えづらくなっていくことも昨今の流れのようにも思われるが、この計画においては、おおらかで力強い木造のフレームにある種の永続性を感じられる空間が生み出されている。プレゼンテーションの中にあった“神社を建てるような思い”にはこのプロジェクトが持っている、これから建築設計者が立ち向かっていくための“旗”のようにも感じられた。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/20778

11/20 インタラクティブサイネージ[香りを言葉にするAI「KAORIUM」 - 香り体験デバイス]

数ある「香り」を「言葉」にして可視化し、その印象に紐づく香りを見つける、言葉と香りがつながる新しい嗅覚体験。

香りを言葉にするAI「KAORIUM」 - 香り体験デバイス

受賞者によるデザイン紹介
香りと言葉が融合した新感覚の体験を通じて、香りとの出会いやあたらしい楽しみ方を提供するインタラクティブサイネージ。香りを言葉にするAI「KAORIUM」によって香りの特徴を可視化し、香りを自分がどう感じたかを掘り下げながら、求めているイメージを言葉を辿っていくことで感性にマッチする香りを見つけることができる。

審査委員からのコメント
香りと言葉を通じて、香りとの出会いや新しい楽しみ方を提案するインタラクティブサイネージの提案である。香りの特徴は初心者には言語化しづらく、それが香りの商品や体験に関するハードルを上げている。また、非言語であることが香りの特徴であることから、非言語を前景化した香りの商品・サービスも多い。本システムでは、あえて香りと言葉を体験として組み合わせることに加え、自然言語処理により、香りに関する難解な表現を平易な表現に置き換えることにより、スムーズな導入体験につながっている。また、RFIDを活用した香りのボトルとコースターを通じたシステムのインタラクション設計もスムーズで、体験を通じて体験者間のコミュニケーションが滑らかに誘発される点も評価された。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/20666

11/21 カクテルシェーカー[バーディ]

バーテンダーの声を徹底的にヒアリングし、半世紀以上にわたる自動車部品の製造で培われた職人の手作業の研磨技術を活用して完成したカクテルシェイカー。

バーディ

受賞者によるデザイン紹介
シェーカーの標準的な形に対し、流線形の新たなフォルムを提案。特筆すべきはシェーカー内面の仕上げ。職人が手作業により0.1ミクロン単位の精密な凹凸を施すことで、きめ細かな泡が生まれ味わいをまろやかに。前例のないアイデアから、新たな味わいを表現できるツールとして受け入れられ、世界中のトップバーテンダーに愛用されています。

審査委員からのコメント
まず、開発者の並々ならぬ熱意と、ターゲットを明確にした妥協なき製品づくりの姿勢に感銘を受けた。0.1ミクロン単位の研磨精度ということで、正直そこまでやるか?というレベルである。でも研磨技術の高さが自社の強みであり、世界トップクラスのバーテンダーのための製品を作ると決めたからこそ、そこまでやるのだ。この特徴的な流線型のフォルムも、元々カクテルツールメーカーではなかったからこそ辿り着いた外観であろう。バーディが生まれ、育った10年間から私たちが学べることは多い。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/23667

11/22 本を通した新しい寄付活動[ブックサンタ]

「あなたも誰かのサンタクロース」。本を通した新しい寄付活動として、書店で購入した本が子どもたちのクリスマスや誕生日プレゼントとして届けられるプロジェクト。

ブックサンタ

受賞者によるデザイン紹介
生活困窮などによる体験格差を抱える子ども達に、新品の本と思い出を届けることを目的としたプログラム。賛同書店で寄付者が購入した本が全国のNPOなどを通じて、対象の子ども達にクリスマスや誕生日のプレゼントとして届けられる。寄付者にとっては「贈る本を自ら選べる」という楽しく幸せな寄付体験となり、口コミで輪が広がり続けている。

審査委員からのコメント
当事者の立場をしっかりと踏まえたプログラム、誰でも参加できる仕組みづくり、これまでに27万冊もの本を届けた実績、書店との連携強化、贈って終わりではない関係性づくり。このどれもが、単独でも十分に評価に値する活動である。それらがすべて一つの活動の中で実現されていることに驚いた。運営者のこれまでの努力に深い敬意を表し、高く評価したい。本に支えられ救われてきた一人として、この活動がさらに充実し、誰もが自らの必要に応じて読みたい本を手に取ることができる世界の実現を心から願う。今後も多くの人との関係を築きながら、活動が目標に向けて発展していくことを期待したい。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/26786

この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
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