見出し画像

今週のグッドデザインを紹介します(10/19 〜10/25)

今日は、10月3、4週(10/19〜10/25)に紹介した2024年度グッドデザイン金賞7点をまとめてご覧ください!



10/19 レンズ交換式デジタル一眼カメラ[α9 III]

新たなシャッター機能の搭載により、高速で動く被写体も歪みなく撮影できる。写真における「決定的瞬間」の概念を変える可能性を持つカメラ。

α9 III

受賞者によるデザイン紹介
世界初グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーの搭載により、高速で動く被写体でも歪みなく撮影できるミラーレス一眼カメラ。最高120コマ/秒という新次元の連写機能も実現し、肉眼では捉えきれない瞬間を撮影可能。さらに撮影時の即時操作性を追求したデザインで、決定的瞬間を狙うプロフォトグラファーの創造力を支えます。

審査委員からのコメント
グローバルシャッターという新しい技術に驚かされる。決定的瞬間を捉えた写真は図像のどこかが歪んでいるもので、それこそが速さの表現だったのかもしれないが、その歪みがなくなるとのこと。おそらくこの製品以降は決定的瞬間の写真の概念が変わることになるのだろう。それだけではなくグリップを始め、シャッターやダイヤル、おそらくはスイッチのストロークまで、カメラボディの随所に散りばめられた決定的な瞬間を撮るための工夫がさまざまに感じられる。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/23366

10/20 Laptop PC[ASUS Zenbook Duo (2024)]

多機能化、高性能化するこのジャンルにおいて、勇気を持って立ち止まり、製品本来のあり方を真摯に見つめ直した姿勢も含めて高く評価された。

ASUS Zenbook Duo (2024)

受賞者によるデザイン紹介
ASUS Zenbook DUO (2024)は、デュアル14インチ有機ELタッチスクリーン、取り外し可能なフルサイズキーボード、内蔵キックスタンドを備えた初のノートパソコンで、ノートパソコンの効率性とマルチスクリーンの汎用性を兼ね備えています。重さ1.35kg(キーボード含まず)で、優れた携帯性を提供します。Bluetooth®キーボード、一体型スタンド、スマートソフトウェアにより、さまざまなシーンでのモバイルマルチタスクがスムーズに行えます。

審査委員からのコメント
本プロダクトは、ユニットの中で最も応募数が多く激戦区であるノートPCカテゴリーの中で、ベスト100として選ばれた唯一のノートPCである。これまでデュアルディスプレイノートPCにおいて、様々なフォームファクターが提案されてきたが、本プロダクトは、片方の画面の上に薄いキーボードを乗せるという、シンプルな提案であるが、シンプルが故に原型とすら感じさせる説得力がある。ますます多機能化、高性能化するノートPCにおいて、その流れに流されず、勇気を持って立ち止まり、デュアルディスプレイノートPCのあり方を真摯に見つめ直す姿勢があったらこそ、正解とすら感じさせるこのデザインに辿り付くことができたのではないだろうか。このデザイナー、企画者の真摯なデザイン姿勢は、ベスト100に値する。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/23827

10/21 ナノインプリント半導体製造装置[FPA-1200NZ2C]

ナノメートルレベルの微細な回路パターンを刻み込んだマスクをウエハに押し付けて回路パターンを転写する、世界初のナノインプリントリソグラフィ方式の半導体製造装置。

FPA-1200NZ2C

受賞者によるデザイン紹介
FPA-1200NZ2Cは、ナノインプリント技術を使用した半導体製造装置である。従来の大規模なレンズを用いた半導体露光装置とは異なり、回路パターンを刻み込んだマスクをハンコのように押し付けてパターンを形成するため高出力の光源が不要である。これにより従来比で消費電力量が約90%削減され、大幅な環境負荷の低減に貢献する。

審査委員からのコメント
本製品は、ナノメートルオーダーの微細な回路パターンを刻み込んだマスクをウエハに押し付けて回路パターンを転写する、世界初のナノインプリントリソグラフィ方式の半導体製造装置である。従来の投影露光方式に比べ、3次元構造の低コストな一括成型、製造プロセスの消費電力約90%削減など、経済性とサステナビリティの両立を実現している。クリーンルームのイエローランプ下という特殊環境でも、白と濃いグレーの本体配色は印象が変わりにくく、高コントラストの操作パネルは視認性も高い。多岐にわたる技術課題に挑戦して達成した本製品のデザインは、非常に高く評価できるものである。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/27478

10/22 半導体製造装置[Adastra]

六角柱を基調とした魅力的なモジュール構成により出来上がった、技術と芸術の融合。複雑な構造を細部に至るまで高い精度で製造している点も高く評価された。

Adastra

受賞者によるデザイン紹介
本製品は生産性と環境配慮の両立が求められる半導体業界に向けたナノレベルの薄膜生成技術を「小型省スペース・省エネルギー」で実現した半導体製造装置である。多種多様な材料成膜へ対応するモジュール化、および再設計されたワークフローと作業動線により身体・学習負荷を低減、急拡大する半導体需要の裾野を広げて業界の成長に貢献する。

審査委員からのコメント
六角柱を基調としたモジュール構成が非常に魅力的だ。その外観は少量多品種への対応、省スペース、作業負荷軽減など、装置に求められる多様な課題を合理的に解決するものであり、まさに技術と芸術の融合が実現している。六角柱の造形を採用したことが成功の鍵といえるが、その可能性に着目した点、そしてこの複雑な構造を細部に至るまで高い精度で製造している点も高く評価された。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/20950

10/23 1.5T超電導MRIシステム[ECHELON Smart ZeroHelium (エシェロン スマート ゼロヘリウム)]

液体ヘリウムを使わずに超低温環境を実現する高い技術力は、未来の様々な技術革新の基盤となり、新たな産業を活性化するものとして期待される。

ECHELON Smart ZeroHelium (エシェロン スマート ゼロヘリウム)

受賞者によるデザイン紹介
液体ヘリウムを全く使用しない、1.5T(テスラ)超電導MRIシステム。専用の冷却機構を持ったZeroHeliumマグネットと磁場コントロールシステム”ZeroHeliumテクノロジー”を採用。液体ヘリウムが入手困難になったとしても安定稼働が可能。また、超電導状態を失った時の爆発的なヘリウムの放出は発生しない。

審査委員からのコメント
現代の医療に不可欠なMRI診断技術において、ヘリウムを使わない機器の開発は、その取り組み姿勢と技術革新の両面で高く評価された。地球上のヘリウム資源が限られてこと、また国内での生産がないことを考えると、この開発の重要性が一層際立つ。液体ヘリウムを使わずに超低温環境を実現する高い技術力は、未来の様々な技術革新の基盤となることで、新たな産業の活性化が期待される。また、この新技術を採用したことによって、ゼロヘリウムの実現だけでなく、クエンチ管不要のメリットや、新しい磁気コントロール方式が可能とする安全性など、さまざまな課題の解決を実現している点も見逃せない。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/24782

10/24 日中放射冷却素材[SPACECOOL]

放射冷却の原理を利用して、地上の熱を温室効果ガスによる吸収が少ない波長範囲の光エネルギーに変換し、大気の窓から放射することで、日中でもゼロエネルギーで温度を下げることができる。

SPACECOOL

受賞者によるデザイン紹介
日中放射冷却素材「SPACECOOL」は宇宙に熱を捨てることでゼロエネルギーで冷える革新素材。独自の多層構造でしなやかな形状を持つ厚さ0.1mm未満の光学シート。表面にエンボス加工を施した白・銀の2色展開は洗練感・未来感を覚えるとともに自然や建物等の空間に調和。地球温暖化の緩和・適応策として世界中で試験や実導入が進む。

審査委員からのコメント
地球の温暖化が深刻化する中で、「大気の窓から熱を宇宙に捨てる」という発想とその実現が刺激的だ。現在、地球が生命を持つ唯一の場所として知られる中で、生命が存在できる要因の一つは、太陽エネルギー、大気、放射冷却のバランスによって気温が安定することだ。この宇宙と生命のメカニズムの中で、0.1mmほどのフィルムが放射冷却の原理を利用して温暖化対策に貢献できる可能性には、ときめきを感じずにはいられない。入射光を反射するだけではなく、地上の熱を温室効果ガスによる吸収が少ない波長範囲の光エネルギーに変換し、大気窓から放射するという技術解説も興味深い。フィルムやシートの実用は既に進んでおり、今後さまざまな分野での応用が期待される。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/21357

10/25 自動倉庫ソリューション[ラピュタASRS]

需要に応じて迅速かつ柔軟な対応ができるシステム設計を実現した自動倉庫。簡単に構築可能で、フレキシブルにレイアウトでき、拡大や縮小が容易であるうえに、垂直移動用エレベーターまで任意の場所に設置できる。

ラピュタASRS

受賞者によるデザイン紹介
柔軟性と高生産性を兼ね備えた、全く新しい自動倉庫「ラピュタASRS」です。アンカーレスでネジを使わずブロックのように自由に形をくみ上げ設置ができ、あらゆる倉庫に導入が可能で、独自設計のピッキングステーションにより歩行レスで作業することで高生産性を実現しました。物流課題の解決に寄与する画期的なソリューションです。

審査委員からのコメント
物流倉庫の自動化は他にもさまざまな提案があるが、簡単に構築可能で、フレキシブルにレイアウトでき、拡大や縮小が容易であるうえに、垂直移動用エレベーターまで任意の場所に設置可能と、需要に応じて迅速かつ柔軟な対応ができるシステム設計に感心した。そのうえでデザインの統一感にもこだわっており、支柱は赤、棚やロボットは白と黒でまとめることで、革新的なシステムであることを視覚面でもアピールすることに成功している。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/21817

2024年度グッドデザイン賞受賞展 開催

11/1から11/5まで、今年のグッドデザイン賞1,579点をすべて展示するGOOD DESIGN EXHIBITION 2024を東京ミッドタウンで開催します。
会場では、来場者が金賞受賞作からお気に入りの1点に投票し、「みんなの選んだグッドデザイン」を決めるイベントを開催予定。お近くにお立ち寄りの際はぜひお越しください!

GOOD DESIGN EXHIBITION 2024
会期:11月1日(金)-11月5日(火)
11:00~19:00 (11月5日は18:00閉場)
会場:東京ミッドタウン各所
入場無料


この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
インスタグラムもあわせてご覧ください!
https://www.instagram.com/good_design_award/