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金網の向こうに記憶を吐き出す

今日のタイトルはschool food punishment「egoist」の歌詞から。
記憶を吐き出したくなるような映画を見たので。

やっと『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(ジョーカー2)見てきた。
批判的な評を聞いたり、ネットで見た「痛いファンと非モテ芸人の恋物語」みたいな意見を見て、
もうこういう事なんだろうな、
もうこの評で『ジョーカー2』見たことにする、
って思ってた。

大好きなラジオ番組の、DJとリスナーが映画の感想を語り合うコーナーの、
来週の課題作が『ジョーカー2』だったので、見に行くしかないと思った。
見た気になってるんじゃないよ、とDJに言われてるような気がして。

見た結果は、意外とよかった。
レディー・ガガ演じるリーがひどすぎて、一転して痛快だった。
推しという呼び方が対象の人格を奪う、
みたいな事をツイッターで見たけど、それを具現化したみたいと思った。

ひどすぎる反面、リーがうらやましかった。
アーサーというかジョーカーが映ってるテレビを電気屋のショーウィンドウで見たら、
ショーウィンドウを割って、テレビを盗んで逃げたシーンがあった。
そのシーンを見て、
15年前、リーぐらいになってしまいそうな事があった。

当時猛烈に推してたミュージシャン(仮にQとする。日本人でQのつく苗字なんてないし。特定されないかなと思って)がいて、思いが強すぎた。

Qのライブにはmixiで情報がわかって、行ける限り行っていた。
ライブで演者とオーディエンスがフレンドリーに話せる世界もある、とその頃知った。
mixiでQのコミュニティの管理人をやっている女性に、
私も彼女に「よろしくお願いします」とちょくちょくライブハウスでご挨拶していた。
コミュニティ管理人はQの彼女とも知らず。
Qとも顔見知りにはなった。今、大好きなDJよりも気軽にしゃべっていたと思う。

その彼女はQと同棲してたのはすぐ分かった。彼女がまめに更新してたブログとQのブログを突合すると、彼女が作った/Qが食べた料理が同じだったり、レジャーに出かけてやったた事が同じだったから(ブログ投稿日時はずらしてた)。

私みたいなボンクラがわかるんだから、勘のいい人はすぐわかるはず。
売り出し中のミュージシャンが、
ここまであからさまに女の影を匂わせたら、売れるものも売れなくなる。
彼女もQの存在を匂わせてたし。

あの女じゃなくて、私がQの彼女とか妻なら、Qはもっとスターになれる。と思った。
私は結婚してるのに。そんな気持ち、もちろん夫には言うまいと思っていた。

Qにかいがいしく尽くし、ネットに強い彼女が羨ましかった。
ネットで調べてあれこれ手料理作ったり、画像に工夫を凝らしたブログを更新したり。
手料理もネットの工夫も、私には苦手なもの。会社でwordや簡単なExcelは使えても。            

私の唯一のプライドの拠り所だった仕事も失敗が続いて、Qの彼女には何もかもかなわない、と自分で自分を責めて仕事を辞めた。               
仕事を辞めた何ヶ月かあと、私はQが好きで、私がQと一緒にいたら、彼はスターになれると思ってる、と毎日泣いていた。

Qの彼女にもmixiのメッセ経由で、
Qと同棲してると匂わせるようなブログ記事を非公開にしろ、
そんな事してもQのためにはならない、と言った。
彼女は当該ブログ記事を消した。

今書いてて思った。
私、リーと互角じゃないか。
ただ警察のお世話になる事はしなかっただけで。
もちろんそのQからも、痛いファン扱いされて、
いつしかQのライブ通いもしなくなった。

その後Qたちは結婚して、彼もミュージシャンを辞めて一般人として過ごしてるようだ。
私が彼と駆け落ちしてたら、彼はスターになっていただろうか。
こんな事考える時点で、痛いファンなんだろう。






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