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翻訳できない
今日は日本語教師時代の短いお話。
ある日、私が受け持っていた中級クラスで作文の宿題を出しました。
テーマは「会ってみたい人」
「会いたい人」じゃないところがポイントで、「会ってみたい≒会ったことがない」
基本的に故郷の家族や友達のことは書けない仕組みになっています。
実は、死んだと思っていた友人が人体冷凍保存されていた!など特殊な場面では成立するかもしれないのですが、ややこしくなるので中級ではそこまで説明しません。
ベトナムから来たHさんの会ってみたい人は、韓国のアイドルJさんでした。
作文にはJさんに会ったらやってみたいことが綴られています。
「一緒に写真を撮ったり、」
うんうん。「たり」が上手に使えているね。
さすが優秀なHさん。
「抱いたり、署名を求めたりしたいです。」
…うん(笑)。ここは「ハグしたり、サインをもらったり」くらいに直そっか。
ハグもサインも日本語じゃないけど、日本になかった習慣は、ピタリとはまる日本語がないんですよねえ。ごめんよHちゃん。
言葉って単語ひとつとっても、母語話者たちの文化や価値観が現れていて面白いなあと思います。
今日はここまで!
この本好き。
翻訳できない世界のことば
Kindle版もあるみたい。