ラピスラズリ

左手首にラピスラズリのブレスレットをつけるようになって4年くらいになる。正確にいうと、ラピスラズリの玉25個、水晶の玉5個で編まれたブレスレットだ。母親からもらった。9月生まれの守護石かつ戌年の守護石ということでうってつけだと言われて。きれいだね、と褒められる。なんか宗教的な意味があるの?とも時々聞かれる。
3年くらい前、なんとなくこれをつけていかなかった日、好きだった職場の先輩が無断欠勤した。私が彼に好意を書いた手紙を渡して1ヶ月ぐらい後のことだった。ショックだった。相当仕事ができる先輩だったから。
しばらくしてその先輩は職場をやめた。私とまた話すことはほとんどなかった。一回コピー機のそばにいるところに話しかけたら不安そうに手を組んでいた。いつもいつでも私は好きになる人が本当はどんな人かなんてわかってはいないみたいだ。
それからなんとなく毎日このブレスレットをつけるようになった。嫌なことが起こらないように。少しでも嫌なことが減るように。
ネットで調べるとラピスラズリは持ち主の魂を成長させるために試練をもたらすことがある、と書いてあった。あの出来事は私にとっての試練というよりは、先輩にとっていずれは起きる出来事だったのだと認識しているが(その日はつけてなかったし)果たして私みたいな豆腐メンタルがこんな試練を呼ぶとかいうものつけてて大丈夫かな?と時々不安になる一方で、「自他の邪念を消す」という効果もあるらしいので、これのおかげで嫌なことが減っている部分もあるんだよ、という気持ちにもなって、なんだかんだ4年つけている。人がくれたものだし。
そもそも私もラピスラズリの色は好きだ。濃い青に雲みたいな白や星みたいな金粉が浮かんで、手首に星空の一部をまとってるみたいでいい気分になる。仮にこのブレスレットがパワーストーンでもなんでもなくてただのアクセサリーだとしても、これが自分に似合うと思って贈ってくれた人がいる、という事実がなんだか嬉しくてずっとつけてしまう。

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