40代主婦が未経験の仕事をして思ったこと

私は43歳で、簿記の資格を持っているという理由だけで、未経験で会計事務所で働くことにした。大学生の頃に取った簿記2級の知識は、ほぼ忘れていたので、何も頼りにならなかった。
雇用形態はパート勤務だったが、週4回の一日8時間勤務だったため、ほぼフルタイムに近かった。

30名ほどの職場で、私は2番目に年長者で、大学生のインターンも含め、かなり若い人が多い職場だった。

都心にあるおしゃれなオフィスで、いつも最新の音楽が流れていた。接客ルームには、バーカウンターがあり毎週水曜日18時以降は、誰もがそのカウンターでお酒を飲むことができる(私は一度も使ったことがない)。社内の電話はアウトソーシングしているため、基本的に鳴らない。着信があれば、アウトソーシング先からSlackで折り返し電話連絡するようにメッセージが入る。座席は固定ではなく、毎日好きな場所にPCを持って行って仕事をする。基本的にみんな自分のPCと向き合って黙々と仕事をしているため、音楽が流れてはいるが、話をするとみんなに聞こえてしまうような静かな環境だった。同じオフィスにいながら、直接会話をするよりもSlackを使ってやりとりすることも多かった。(コロナ禍という理由も大きかったと思う。)
出産前の20代・30代前半は営業やキャリアコンサルタントと人と話す仕事をしてきた私には、静かすぎるオフィスということだけで戸惑い、色々と驚くことばかりだった。

未経験で出社した1日目に、かなり複雑な会計処理をしているクライアントの引き継ぎを受けた。
ほとんど0に近い簿記の知識を振り絞って、必死にメモを取っていたが、1日目にして、会計事務所で仕事をすることに後悔していた。

ただ、人間関係はとても良好で(私にとってはとても静かすぎるオフィスで話しかけるのも勇気が必要だったが)わからないことを質問すれば、誰もが丁寧に答えてくれた。
おかげで2ヶ月ほどで大体の仕事の流れが分かり、いくつかのクライアントを任されるようになった。

会計ソフトの設定方法や使い方のマニュアルなどはほとんどなかった。そのため、いくつもの会計ソフトや申告ソフトを覚えるのにとても苦労した。学んだことを忘れないようにマニュアル化するように心がけた。自分が忘れないためでもあるし、同じように未経験で入ってきた人が苦労しないようにマニュアルを作ることにした。

仕事が慣れてくると自宅でのリモートワークもできるようになり、どんどん働きやすくなった。
自宅から電車を使っての通勤だと40分くらいの場所だったが、私は30分かけて自転車通勤をしていた。出社するときは、朝8時にはオフィスに着くようにしていた。9時過ぎくらいから出社する人がほとんどだったため、1時間は誰もいないオフィスで過ごすことができる。朝一に出社すると好きな音楽をかけたり、好きな席で仕事をすることができるメリットがあったからだ。それだけでも自由な働き方ができているようで気持ちが良かった。

新しい仕事にチャレンジするとき、「資格を取ってから」「しっかり学んでから」と思う人は多い。しかし、学びはずっと続いていくため、どこかで区切りをつけないと仕事を始めることはいつまで経ってもできない。私のように無計画すぎるのもよくないが「まずはやってみる」「やりながら学ぶ」ということが大事なことだと思う。

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