誤診(7日目)茶トラゆずとの幸せな日々 vol.39
7日目(金) vol.38のつづき
しばらく経ってやっと何部屋もある診察室から男性の方が現れ、呼ばれました。お父さんは席を外して居ましたが、呼びに行くのも面倒で、奈々と2人で向き合います。
胸の名札は医院長です。
観察した所、とても危険な状態であると告げられ、私との問答が始まります。
肺炎だと言う事ですが、レントゲンを見ましたか?薬の種類は?風邪の症状はあったのか?咳は?などです。
最初の病院で答えたのと同じ様に伝え、健康手帳を開き書いてある事を説明します。
薬も出して見て貰います。先生からは、直球で胸に水が溜まっているから抜くのも大変だけどやってみます。
さらに心臓疾患が原因である事とすでに心臓が弱っている事も伝えられます。
(えっ!肺炎じゃないの!)
です。
肺炎でも病気としてはかなり重病と考えているのに、心臓病なんて本当に衝撃的な言葉です。
1週間も検討はずれの処置をして怒られている感じだったので、強気で対応していた私と、反対に横で奈々は涙が溢れます。
血尿の事なども聞きましたが、とにかく一番重症な所の処置からで、後の症状は次の段階ですと説明されました。
待合室に戻り、お父さんに心臓疾患である事を伝えて、また長い待ち時間となりました。
隣りの女性は先に来院していたのにまだ座っているので、奈々に伝えると
「トリアージだよ」
っと、掲示板の貼り紙を指差して教えてくれました。
(ゆず最優先で処置してもらっているんだ、ごめんなさい)
先生に託すしかなく、祈るように手を合わせ言われた言葉を噛み締めます。
(どう言う事?危険な状態って、死んじゃうの?)
最初に病院に連れて行った時は、死ぬなんてゼロ%、治療の効果が見られず体力が無くなってしまっても、それでも治ると信じていたのに、一気に逆転してしまいます。
強気だった心が萎んで涙がボロボロ溢れます。
(何やってたんだ!1週間もゆずを苦しめていただけなのか!肺炎じゃないなら、抗生物質も炎症剤も意味ないじゃん!)
もっと早く気付いて対処していたら、体力のあるうちに…セカンドオピニオンを検討している矢先に…
(行動が全部遅いんだよ!命がかかっているんだぞ!)
後悔で祈っている両手は頭を抱えます。
ゆずに謝り、奈々の大切なゆずをこんな状態にしてしまった事を心で謝ります。
ゆずのいない生活を思うと…毎日、24時間一緒に過ごしているのに、いなくなるなんて、
(まだ6年しか生きてないんだぞ!)
涙が溢れ、嗚咽が抑えきれません。わーっと叫びたい気持ちです。奈々も私の肩を摩り、ゆずといつも一緒にいる母を気遣ってくれます。
隣りの女性はまだ診察待ちですが、尋常でない3人を感じて、席を離れて行きました。
つづく
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