希望的観測(2日目)ー茶トラゆずとの幸せな日々 vol.32
2日目(日)
薬が効いたのか、少し改善している様に見えるのは希望的観測でしょうか、お腹のヒクヒクは変わらないけど…、食欲はあまりないけど一応食べたし、うんちは夜中にしたみたいです。
利尿作用の薬が効いたのかオシッコの量が多くてトイレの中の固まる砂は小山のようにズッシリ重たいです。
昨日のLINEで驚いた奈々は、今日も用事があるけど、ゆずに会いたいから病院に行く時間に合わせて来る事になりました。
昨日は友達の結婚式でドレス着て帰れないし、肺炎だなんてビックリで涙が出ちゃったよ…ゆず大好きが止まらない奈々は、とにかくゆずの顔を見ないと心配でいられない様子です。
ゆずの様子を観察した主治医は、「昨日より良くなってるね。でもお腹のヒクヒクが治らないといけないよ。熱は38.5度でまだ少し高いから昨日同様、点滴注射と皮下注射を打ちましょう。」
注射をする際に嫌がり私の身体に這い上ってくる力も昨日より強く感じてこのまま良い方向に行く安心感があります。
今後の薬の相談をします。
猫に薬を飲ませるのが如何に大変かと先生もおっしゃいます。犬は簡単らしいです。
シロップ、粉、錠剤があり、そのまま口に突っ込んでの無理矢理作戦から、ご飯や、チュールなどおやつに混ぜて食べさせる騙し作戦です。
まず、無理矢理作戦は無理でしょう。ゆずの逃げる力は相当なもので例え病気で弱っていても確保するのがやっと、それに口をこじ開けるなんて1人でできるはずはなく、速攻却下です。
また世の中の猫は皆んなチュール好きと思われているようですが、食べない猫もいるんです。
消去法でご飯に混ぜ込む騙し作戦をする事になります。
ゆずのごはんは、朝はカリカリの固形タイプ、夜はカリカリとウエットタイプのカルカンを混ぜたもので、病気になってからはカリカリは横に退けてウエットタイプを食べていたので、ここに忍ばせる事でなんとかなると思います。
とにかく3日分で様子を見ます。朝と夜の2回、今夜から始めます。
処方された薬は、6包で利尿剤、抗生物質、消炎剤の混ぜたものとシールが貼ってありました。
精算し、少しでも役に立ちたい奈々がリュックを持ち、駐車場から少しこちらに向かっていたお父さんに終わった事を合図します。
横浜といっても外れに位置する我が家です。病院の駐車場のすぐ前には中位の川があり、時々散歩するコースです。ボラ、オシドリ、カモ科の鳥などがいるので観察が楽しい場所です。お父さんがニコニコ顔で
「カワセミみたよ」
「えー、こんな所にいるの?」
奈々はちょっとビックリしています。
カワセミは超特別な綺麗な鳥です。以前、私だけが一瞬この場所で遭遇した鳥です。カワセミを見られた事が嬉しかったお父さん。皆んな、何だかラッキーな気持ちでこのままゆずの回復につながる気持ちになります。
(はやく治ればいいな。)
家に帰ったゆずは、私たち家族に甘える事も無く、また静かでひんやりした床、廊下、洗面所、台所などで横になったり、スフィンクス座り(箱座りよりやや脚の形がクッキリした座り方)になったり、ツチノコの様な伏せ寝になったりをします。
奈々は日向が大好きなゆずが少しでも気持ち良くなるよう、ベランダの陽だまりに連れて話しかけるのですが、ゆずはお尻を向けたままじっと病気と戦っている様子にみえます。奈々はもう涙が溢れて止まりません…
夕方、用事があるので帰宅する奈々に、LINEで状態を知らせる約束をします。
私は、絶対治ると信じているので、娘に持たせるものは無いかとあれこれ探して世話をやくいつものお母さんになります。
今日から薬を飲ませる戦闘モードに突入した私は、最初の試みとして、スプーン三杯ぐらいのご飯に、半分の粉薬を混ぜ込み様子見です。
薬の匂いは人間の鼻では無臭です。朝から少しのご飯しか食べていないのでお腹は空いているはず、なんとか食べて通院という負担からひと段落つけたいものです。
「ごはんだよー」
の声に反応してゆっくり近づくゆず、こちらの作戦を気づかれないようにしらばっくれてひっそり見守る私、少ないご飯の量に怒ることなく、鼻で匂いをクンクン……します。
(ばれたかなぁー)
ゆっくり食べてくれます。
ペチャペチャという感じでもう勢いはありません。それでもあと少しを残して半分の薬は食べてくれたので残りの半分をお腹の空いた夜中にでも食べてくれないかと用意だけして出しておきます。
(ゆず、がんばろうね。大丈夫だからね)
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