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遺伝?(8日目)茶トラゆずとの幸せな日々 vol.41

8日目(土)
眠ったのか眠っていないのかわからないまま朝が来ました。
隣りの奈々も起きている様子なので小声で話しかけます。

「心臓疾患の事調べた?」
「うん」
「治らないって書いてあるね。治せないって書いてあるね」
「うん…」
「心臓が止まった時、蘇生しなくていいです、なんて諦めた事言ってごめんね。奈々の気持ち考えてなくてごめんね」
「大丈夫だよ」

猫の心臓疾患をスマホで検索してみると、肥大型心筋症の症状がゆずの症状に似ています。
・のどに引っかかったものを出そうとするようなカッカッというせきをする
・ぐったりしている
・食欲がなくなる
・眠くてもスフィンクスのような姿勢で横にならない
・呼吸のたびに胸やおなかが大きくペコペコと動く
などです。
驚いたのは、私が疑問に思っていた、フッフッフッというせきの仕方です。中期になると肺に水が溜まり出しこのせきがでるようです。このせき(せきと思っていなかった)に気付き、ゆずに
「なにそれ!なんか詰まったの?ぽんぽんしてあげるよ」
と、背中を手でぽんぽんたたいてあげたのは随分前だったように記憶します。
ほとんどが1回限りでその後のせきとの間隔も数週間は開いています。しかし病気の発症に気付く少し前に2、3回立て続けにこのフッフッフッというせきをした事を覚えています。お父さんも不思議そうに見ていました。
病院に行ってから現在までそのせきはありません。症状のなかには、口を開けてハアハアするとありますが、それは全くありません。個体によって様々な違いはあるのでしょう。
これらの症状は中期から後期になって現れるようです。また、健康に見える猫の約15%に肥大型心筋症が見つかったという報告もあるほどです。人間の場合は0.2%と書いてありますから、人間の1,000人の中の2人に比較すると猫は100匹に15匹で異常なほど多い確率です。
もっとも、発症率は低いようで、わからないまま長生きしたり、反対に突然死する事も多いようです。
また若くして発症してしまう事も多いようです。これらの事は、スマホでサッサと調べ納得しただで真偽の程はわかりません。

救急の先生が心臓病を指摘した時から、どうやって治療するのかと考えていたので、すぐに治療方法を調べます。
残念ながら猫の場合、症状の進行を遅らせ、なるべく楽に暮らせるようにサポートする薬はありますが、治癒する事は不可能で、症状が末期までいくと月単位の短命で、呼吸が出来ずとても苦しいようです。
私としては、早く発見し、病院に連れて行ったつもりだったのに、飼い主がわかる程度の時はかなり悪くなっているようです。猫は弱さを隠すからです。
(治せないんだ!苦しいんだ!)
また涙が溢れます。
(ペットなんだからその治療が限界なんだよなー)
発症が早い猫は先天性の事が多く、遺伝で病気を引き継いでいるようです。
調べる事は出来ませんが、ゆずの見たこともない両親、保護施設にいた、4匹のきょうだい猫はどうなっているんだろうと思います。気をつけて!と教えてあげたい気持ちです。
こんな時の為に、猫の家系図や遺伝情報の引き継ぎがあるシステムがあれば役立つのにと考えます。
しばらくして、それだとゆずのような疾患を抱えている猫は保護してもらえないんじゃないか、ゆずと出逢えてなかったんじゃないかと思い直し、システムの考えは却下します。

偶然出会い、長生きして欲しいと願い、精一杯お世話し、癒して貰う事がペットと共に暮らすという事だと考えます。

昨日まで通院していた病院に電話をかけ、手短に昨夜の出来事と入院している事を伝えます。言いたい言葉は沢山あるんですが、口にすると涙声で震えてしまうので我慢します。主治医も驚いたようです。
「あちらの病院に任せましょう」
精算はいつでも大丈夫だからと言われ電話を切りました。
昼過ぎに、ゆずに会いに行く奈々に
「一緒に行く?」
と誘われましたが、
「ゆずが帰って来たらまた頑張るから、家にいるよ」
と断り眠れないのに横になり、またスマホで検索をくりかえりします。
奈々が帰宅し、ゆずの様子を教えてくれます。昨日と変わりないようで、1人でゲージに入っているゆずが可哀想て涙ぐみます。

その頃は、病院で亡くなってしまうなら、治すことが出来ないのなら、家で、皆んなで囲んだ布団の上で別れたいとそれぞれが想っていたと思います。

             つづく

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