トイレ事情ー茶トラゆずとの幸せな日々 vol.9
ゆずが我が家にやって来たのは、3ヶ月余りの仔猫でしたが、すでにトイレの躾が身に付いていて、間に合わせの洗面器のトイレに貰って来たゆずの匂いのついたトイレ砂を入れただけで、粗相する事なく用を済ませる事が出来ました。
(なんてお利口な猫ちゃんなんでしょう)
猫のトイレは猫の数プラス1つが必要と本に書いてあったので、我が家には玄関辺りと、リビングの隅においてあります。
少しでも匂いが残らない様に、檜の粒と紙の粒をブレンドしたものを使用しています。
どちらも自宅トイレに流せます。
最近では自動で綺麗にしてくれる猫トイレもありますが、我が家はそんなセレブではないので、常に在宅している私が自動トイレの役目をし、綺麗にしています。
トイレをしている姿を見られるのが苦手みたいなので、長方形の木を四つ蝶番で互い違いにつなげ、即席屏風をDIYし隠す様に工夫してあります。
ゆずがトイレしている姿も、空中を見つめ下半身に集中している様子で可愛いのですが、隙を見られる事は動物の本能が許さないのでしょう。
ソワソワして用をたすのは可哀想なのであまりみつめないように気を配ります。
朝ごはんを食べ終わると屏風の隙間からゆずの頭がチラチラ見えます。
しばらくすると、前脚で無心に砂をほりほりしてうんちを隠してる姿が見え隠れします。執念深く続いています。
(そこまでほりほり隠さなくてもいいんだよー、ほりすぎてこぼれちゃうんだよー)
毎日毎日快便で羨ましくもあります。
ゆずと暮らして少しすると、ゆず語が理解できる様になりました。
『ニャー、お母さんお母さん、ゆずうんちしたニャー
隠しておいたけど敵に見つかる前にこの匂いとうんち、片付けてくれニャー』
時には恥ずかしいのか、急に全速力でいろんな部屋を走り回り、勢い余って体当たりされることもあります。
『スッキリしたけど、恥ずかしいニャー』
『わっわっわっ!なんだか知らないけど急に体が爆発するニャー』
猫ってホントに面白い生き物です。
「わかったよー、教えてくれてありがとねー、後で綺麗にしておくからねー」
私が返事だけして、動く気配がみえないと
『えー、今綺麗にしてくれないの…。仕方ないなー、次にゆずがトイレする時までには絶対綺麗にするニャー。
ゆず、うんちの上ではオシッコでないんだから、気持ち悪いニャー』
(私はトイレおばさんではありません)
一通り騒いだあとは静かに元に戻り、お腹がスッキリしてまた食べに行ったりもします。
この毎日のルーティンとは別に長い時間の留守番をしたゆずのトイレ事情は笑います。
ひとりぼっちで寂しくなるのか、ストレスで催すのは人間と同じです。
『なかなか帰ってこないニャー、うんち出たくなって来たぞ。ちきしょう、ちきしょう』
『あー、夢中でほりほりしすぎちゃったニャー!こんなに散らかしちゃった。怒られちゃうかなニャー』
私が帰宅し、留守にした事を謝りながら部屋を眺めると、大抵リビングのトイレ周辺は悲惨な事になっています。
1メートル四方に砂が散らばり、うんちまでもトイレから外に出ています。
足についた砂はさらに遠くに運ばれ、点々と落ちています。
(寂しいとうんちが出ちゃうんだね、可愛いねー)
一番悲惨だったのは、毛糸を食べてしまった数日後の出来事です。
想像通りの結果となりました。
私の趣味にしている手芸事で、編み物をし、少し長い毛糸の切れ端を放置したのが原因です。
食に対し非常に神経質で同じ物しか食べないはずなので、油断したのが運の尽き、さっき置いた毛糸の切れ端が見つかりません。
(えー、ゆずたべちゃったの!なんで食べるかなぁー)
毎回トイレ後に様子を見ていたのですが、2、3日たってから近づいて来たゆずが匂います。
「あれーなんか臭いよ」
ピンと来て急いでお尻を調べると、お尻の穴から10センチほどのうんちにまみれた毛糸が垂れ下がっているではありませんか。
(やっぱり)
急いでティッシュを掴みお尻の穴目がけて摘み出そうとするのですが、日頃お尻の穴をしつこく拭こうとする私の行為が裏目に出て、ゆずが逃げてしまいます。
追いかけるとさらに逃げて、その間もどこかにうんちがついてしまうんじゃないかとヒヤヒヤです。
絨毯についてしまわないかと心配しながら追いかけると、ゆずお得意のベッド下に逃げ込みました。
猫の方がすばしっこく、お手上げ状態なので諦めた態度で、肝を据えてしばし放置してみます。
暫くして様子をみると、ゆずは毛づくろいに忙しく、毛糸は取れ近くに落ちていました。
匂いを嗅ぎながら雑巾、消臭スプレー、床は全部クイックルワイパーです。ゆずのおかげでいつもは掃除しない所まで綺麗になりました。
(やってくれるよ、まったく)
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