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入院(6日目)ー茶トラゆずとの幸せな日々 vol.36

6日目(木)
「入院させて下さい」
なかなか回復に向かわない、むしろ悪化しているゆずの状態をじっくり観察してもらおうと思い提案してみます。
「そろそろ、回復してもいいんだけど…」
と言う先生に
「このまま、死んじゃうなんて事ないですよね〜」
決して使いたくない死という言葉を初めて口にします。

私の必死さに、
「治療をもう1段階上げましょう、日に2回打ちましょう。でも飼い主さんも、ゆずちゃんの負担も大変でしょう。ゆずちゃんは、人見知りで家で安静にしているのがいいでしょう」
ゆずの気持ちを思ってくれるのはありがたいのですが…覚悟がわかるように答えます。
「大丈夫、通院します。」

相談の結果、朝から夕方まで酸素室で入院し、夜は先生も自宅に帰るので引き取り、翌朝また来院を繰り返す事となりました。
とにかく注射を打つ数分の観察ではなく、じっくり診て欲しかったのです。

空手で戻る私は、駐車場から病院に向かい歩いて来るお父さんに入院させた事と夕方また来る事を告げます。
今日はカワセミはいない様です。

家に帰り、天気も良く手持ち無沙汰なので、この間に丸クッションの中身まで取り出して洗い、ベランダに広げます。少しでも清潔で気持ちいい環境にしてあげたいとの母心です。

家族LINEで奈々に、ゆずが入院した事を伝えます。良い知らせがなかったのであまりLINEを送っていなかったのを、便りがないのはいい知らせ、とばかり回復を疑っていなかった奈々は、寝耳に水状態です。
LINEの最中にも泣きが入り、仕事が終わり次第直行帰り、明日はリモートワークをお願いしてみると言っています。
「入院しているから家には居ないんだよ」
の言葉にも、顔だけでも見たいから…夕方の引き取り時間前に待ち合わせし、病院に行く事になりました。

引き取りに向かう途中に奈々をピックアップ、これまでの経過を伝える車内は暗い雰囲気ですが、3人いる事は、私にとっては心強くもあります。
酸素濃度を調節したハウスで伏せ寝しているゆずは、私達の姿を感じ、嬉しそうな顔と待ちわび不貞腐れている顔の半々です。
帰れる嬉しさを爆発させる元気もありません。
ハウスから抱き上げキャリーバッグに移します。リュックでは横になれないので今日から変更しています。
「どうでしたか?」
私達の期待と裏腹に主治医は答えます。
「変わらないねー…」

家でも酸素ハウスがあると随分楽になるからと、レンタル酸素ハウスのパンフレットをいただき、念のため、24時間診療の救急動物病院のパンフレットもいただきます。
「夜間に病院を探すより、ここに行けばすぐに診て貰えるから」

キャリーバッグを持つ奈々に、パソコンの入った奈々のカバンを持つ私は
「このカバン、ゆずより重くない?」
「リモートワーク出来るセットを全部入れて来たからね」
持ち手が引きちぎれそうな重みに、奈々の心配の重みが反映しているかの様です。

ゆずはいつものように、床や廊下で伏せています。
奈々は早々に酸素ハウスのレンタル屋さんに電話をかけて
「でないよー」
もう一度かけて繋がらないので、パンフレットで確認。
「6時までだったー!」
6時を少し過ぎています。
少しでも早く用意してあげたかったから残念でしたが、もっと前にスマホで調べてレンタルする事は十分出来たのに、それをしていなかった自分に腹が立ちます。
他のレンタル屋さんも調べた限り6時まででした。奈々の対応の速さに、さすが現役だなぁ…っと感心します。
ゆず、奈々も来たからね。
(大丈夫…)

母作、カワセミ




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