夜間救急(7日目)茶トラゆずとの幸せな日々 vol.38
7日目(金)vol.37のつづき
夜11時を過ぎた時間、ハウスから出して廊下で横たわっているゆずが、急に起き上がりヨタヨタとリビングの方に向かい少し歩いた所で崩れる様にフワリと倒れました。
液体がツーっと広がります。おトイレに向かっていたんだと理解し粗相した事で切ない気持ちになります。
その様子を初めて見た奈々は急いで近づくと、ビックリしたような大声で
「わっ!赤いよ!色が変」
倒れた様子も粗相した事にも驚きましたが、その色と量に驚愕します。私もお父さんも1日が終わる緩んだ気持ちに緊張が走ります。
ティッシュに吸わしてみると、赤黒い液体が何枚にもなります。濃い色の廊下でわからなかった液体が血尿である事実を確証します。
「病院、病院、タクシー」
奈々が速攻で決断。昨日もらったパンフレットを差し出し、受け取った奈々が電話をし、肺炎の治療中である事、血尿が出て連絡した事を告げています。
どんな薬か、注射の内容を聞かれた奈々に問われますが、薬名までわからないと答え、とにかくすぐに向かう様にと指示を受けました。
健康手帳と薬袋を鞄にいれ、血尿ティッシュも持っていきます。
タクシーは、前回呼んで慣れていたのでスマホの履歴から直ぐに呼べました。大急ぎで支度し、家の点検をしていると、
「お風呂が沸きました…」
のアナウンスが、
(わー!せっかく沸いたけど、スイッチオフ)
エントランスに向かうと既にタクシーが到着していたので、パンフレットからの動物救急病院名と住所を伝えます。
かなり年配の方で、ナビに住所をセットしています。おじいちゃんなのに夜中で大変だなぁっと言う気持ちで、心は焦っているのですが、
「安全運転でお願いします」
タクシーが走り出せば到着するまでは待つより仕方ないので、奈々とお私は後部座席でそれぞれゆずに小声で話しかけます。
「大丈夫、大丈夫、絶対治るからね。」
助手席のお父さんは沈黙に耐えきれず、車の話しや向かう途中にあったラーメン屋さんの話題を振ってきます。
奈々がブスッと怒っています。
道は到着寸前で少し迷いましたが、タクシーの運転手さんも降りて探してくれ、救急病院に急いで駆けつける事が出来ました。夜中なので渋滞はありません。
病院に入ると受付でゆずを渡します。とりあえず酸素室に入れて貰いました。
救急病院は開院したばかりで、綺麗な雰囲気です。先生も複数人いるみたいです。
さらに待合室は座れないほど混んでいます。きっと場所を変えて開院したのでしょう。
隣りには、猫ちゃんをリックに入れた若い女性が1人で座っています。
(こんな夜中でも猫ちゃんの異変に気付き来院してるんだ。大変だなー、心細いだろうなー)
診察室側の奥からは、診療中のワンちゃんの悲鳴が頻繁に聞こえます。
つづく
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