私のカルテ
「ただいまー。ママー寝てる?どこー??」
娘の声で目が覚めた。
寝室の遮光カーテンの威力は絶大で、爆睡してしまった。
階段を降りながら、
「おかえりー。手洗った??」
おやつを出して、お茶タイム。
「ねーねー、昨日一緒にご飯食べたお姉ちゃんってどんな人?」
「んー、パパの仕事の人って言ってた。可愛い人だったよ。」
小学2年生にしては、おませな我が子は、なかなかに鋭い。
「パパの目がハートになったかと思ったわ。」
(フボッ!ゴホッ!ゴホッ!)
「ママー大丈夫?汚いー。」
コーヒーを吹き出した私をみて無邪気に大爆笑している。
娘の目から見ても、そう見えるということは、そうなんだろう。
旦那は病院の作業療法士。
旦那は作業療法士を目指す大学や専門学校からの実習生を受け入れる担当ということもあり、若い子に関わることが多い。
そして、自分はまだまだイケる、若いと思っている。
実際、年齢よりは若く見えるのも事実、調子に乗るから本人には絶対言わないけど。
実習先で一人不安になっているときに、紳士的な年上男性に優しくされたら悪い気はしない。
かくゆう私も、看護学校の実習先で出会い、7歳上の彼のリードにやられ、連絡先を交換し付き合い始め結婚しているわけだから、繰り返されている。
初めての浮気が発覚したときは逆上したし、浮気相手問い詰めて土下座させて離婚してやる!などと考えたこともあった。
けど、これは病気だな、と思うようになってからは、あまり気にならなくなっていた。
年老いた時に、
「全部知ってたよ。 若い子と付き合って楽しい思い出作ってもふられて、
気づけばおじいさん。誰にも相手してもらえんくなったねー。」
って笑い合えればいいか、とさえ思える私って仏かな?なんて笑える余裕さえあった。
子どもには優しく、共働きでも家事、育児は協力的、基本的にはイクメンと呼ばれる存在の旦那に感謝してくらいだし。
まあ、女の子とLINEしてドキドキ恋愛をよそでしていても、家族というテリトリーを犯さないのであれば、知らない振りしてる方が楽だし、こんな夫婦の形があってもいいのではと思うくらい家族仲はよかった。
本当はパート看護師だったけど、夢のマイホーム建てて、車も買っちゃったから収入は多い方が良いと、夫婦で話し合って正社員で夜勤交替制に復帰し協力しようと決めた。
私は月1回は職場の人と明け方まで飲んでも何も言われないくらい自由を許してもらってるし、私も急に職場の人を夕飯に呼んだり、飲みに言っても何も言わないし、お互いの距離感が丁度良い。
そう思っていた。