真鶴「道草書店」行ったよ。後編
わーい!後編も見てくれて、どうもありがとうございます。
ちなみに前編はこちらをご覧ください。
こんにちは。しろくまです。
神奈川県真鶴町の「道草書店」という複合書店に行った感想です。
後編は定年後、副業など生業として複合書店ってどうなのだろうと思われた方への記事です。
書店概要は前編をお読み下さい。
はじめに
前提として、ざっくりとした私のプロフィールはこんなです。
神奈川県の静かな町で夫が起業して夫婦で自営業をしていました。
昨年、夫が急に他界して、未亡人となりました。
夫の仕事は残った私が継ぎましたが、そもそも夫の趣味をいかした起業で、私では、継続しても今後の先細りは明らかです。
人生100年時代。
50代なら、あと30~40年近く生きることになるらしい。
いやはや。長生きはいいけど、なんか仕事しないと。
とりあえず、にわか社長として残務は継続しています。場所だけは残ったので、自分がやりたいお店に少しづつ変えていけたらと試行錯誤しようと思いはじめました。
人に雇われない職住接近の仕事に慣れてしまうと、もう他の人の下で働こうという気持ちが減っているのに気が付きました。
ハローワークで求人票を見てきました。
地元にある仕事は飲食、介護、保育関連ばかり。50代という年齢を考えると、長続きしそうにありません。
自分の興味が子ども、本、おいしいものだったので、近所の子どものサードプレースになるような、お母さんたちも集まれるような場所ができたらいいなと思いはじめました。周囲に学校があるのに、徒歩圏内にカフェのような場所が少ないのです。
ボランティアで学校で工作をしたり壁面掲示もしているので、子どものアトリエもいいな。
色々考えてみたいので、イメージに近い、似たような場所の見学に行くことにしました。同じようなことを考えている方の参考になれば幸いです。
店内の様子は前編に詳しいです。
後編はオープンの経緯、収益化、アドバイス、感想です。
道草書店は両思いの書店だった!
1書店オープンまで
「道草書店」は、この地に都内から引っ越してきた中村竹夫・道子さんご夫婦が2020年6月から経営している。真鶴から徒歩5分くらいの場所、古民家を改装していて景観にしっくり溶け込んでいる町の本屋さんだ。
書店を開く前は、夫の竹夫さんは整体師、妻の道子さんは会社員として都内で働いていたそう。自然豊かな場所で子育てしたいと縁あってこの場所に移り住んできた。
引っ越してきて、町の人と話すうちに「この街には本屋がない。」という言葉を何度か聞くうちに「それでは自分たちでやってみようか」と新刊書籍を車に積んでイベントや店頭で移動本屋さんをスタート。
町の人に喜ばれるうちに、実店舗をオープンしたそうだ。
2収益化について
収益の柱は3種類。
1本を売る。(新刊書籍)
2スペースを売る。(ひと箱本棚、貸しスペース)
3飲食物を売る。(ドリンク類がメイン)
まだ2階は環境整備中だそうだが、今後は竹夫さんが整体サロンとしての使用も考えているそうで、サービスを売るという柱も増えてゆくようだ。
ひと箱本棚で売れた本はボックスオーナーさんにいくので、道草書店さんには貸しスペース代は入るけれど、本の販売手数料は取っていない。
たたみでくつろぎながら、本を読んだり、店主やほかのお客さんと話したり。飲み物だけでなく、対話をうむ空間が魅力的だ。
町の人と外部の人の割合は6対4くらいだそう。
まちの本屋さんとしては、今の割合に満足しているとのこと。
3オープン前のアドバイス
自分たちのコンセプトに沿った場を作るのは大切だけれど、それ以前の制約にも気を付けたほうが良いというアドバイスをいただいた。
例えば、真鶴町には町の風景を保つための「美の基準」を定めた日本でも珍しい条例があり、新しい建築物はその基準に沿ったものしか認められないこと。
たとえ飲み物だけでも、保健所の申請を受けキッチンなど衛生面の基準を満たした建築でないといけない。コロナ後、基準が厳しくなっているそうだ。
店舗設計に詳しい設計士さんを選べば、色々教えてくれるので、設計士さん選びも重要だそう。
4広報について
ネットにはなるべく出すようにしているという竹夫さん。インスタ、ツイッター、フェイスブックなど発信は沢山するように心がけているそう。
神奈川新聞の朝刊「まちを耕す本屋さん」などの掲載があったからか、ネットで紹介されたのを見て遠方から訪ねてくる方も多いとのこと。
感想
まだオープンから3年とは思えないくらい、道草書店さんは町の風景に溶け込んでいた。道子さんと私が話していると小学生の男の子が道子さんに何やら話しかけている。
そのリラックスしたしぐさ、言葉から、てっきりお子さんだと思ったら、近所の常連さんらしい。子ども図書館か2階の秘密の遊び場に来たのだろう。
道草書店には絵本や児童書がおかれた子ども図書館もある。多くの絵本や児童書は、長年湯河原町で運営されていた「こみち文庫」から受け継いだものだ。2020年3月にスタッフの高齢化で閉館した際、お二人の活動をしり寄贈された本だそうだ。
「町に本屋がない」ということで困っていたネットで本を買わないお年寄りの方たち。その声を聞き始めた移動本屋さん。
ただ本を買うだけでなく、誰かと話したいというお客様の気持ちを感じて、クラウドファンディングで資金を集めた店舗。その半数は真鶴や湯河原の近隣の地元の方々の支援。みんな、そんな本屋さんがほしかったんだ。
お店が始まる前から、応援したいという気持ちや期待が町の人にあった。
ひと箱本棚のオーナーは、店番することができる。
貸しスペースではワークショップや打ち合わせが出来る。
スペースを売ることで、出会いやワクワクも売っている本屋さん。
人と人が出会える、多世代が交流し楽しい場所にしたいというお二人の思いが町の人に受け入れられている。町の人も喜んでいる。
誰でも立ち寄ってほしいという思いが、こんなところにあふれてる。
子育て中のママが立ち寄りやすいように授乳・おむつ替えスペースがある。お湯ももらえる。大人と話したい、一息つきたいという小さいお子さん連れのママが歓迎されているのがわかる。
本屋さんと町の人、両想いの本屋さん。幸せな本屋さんだ。
人口7000人の真鶴で、本を読む人は少ないかもしれない。
でも、リピーターがいる本屋さんだからこそ継続できる。
心がほっこりする場所だから、なんか面白そうだから、誰かと会えるから、また行きたくなる。
そういう場所にすることの大切さを学べました。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました!
少しでも参考になれば幸いです。