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Oct.18, 2024:イカロス~飛翔と墜落の果て
スタジオエヴァ10周年記念特別企画の作品は
経糸に伝説のイカロスの物語、
緯糸に出演者の現実を背景とした人間模様で紡ぎ出された
濃密な90分。
飛ぶのが低すぎては、翼は海からの湿気に纏わりつかれてしまう。
日常生活での現実の厳しさ・苦難を背負いながら
重い体を引きずって生きて行く哀れな人間の姿。
しかし飛ぶのが高過ぎれば、翼の蠟は溶け落ちてしまう。
決して到達出来る事の無い高みを一生追い求め続けねば
生きて行かれないアーティスト。
どちらがいい・悪いという事ではなく、
それぞれが共に人間の業なのだろうと。
そしてだからこそ、人生は愛おしいのだろうと。
…と、まぁ、自分の足りない脳ではそう作品を解釈したのであるが、
実は作品そのものよりも気になったのは、
チラシの「瀕死」「虫の息」という言葉。
一応、軽口めいた表現になってはいるが、
綱渡りの厳しい運営状況になっているのが垣間見えてしまう。
表現のスタイルは異なるが、自分の所と似ているなぁ…
教えて下さる事の質の高さ
何とも言えぬ居心地の良さ
両立出来ている奇蹟的時空間が余りにも少な過ぎ、
更には今や風前の燈火に追い込まれているという現実。
無くしてはならない。
絶対に、決して無くしてはならない。
そこに、文字通り人生を救われた・救われている人がいる限り。
自分の通っているスクールも、
「もうダメかも…」という
危機的状況を何度も潜り抜けて、現在に至っている。
確かにイカロスは命を落としたかもしれない。
しかし、そのスピリットは、周りや次世代にしっかりと伝わっている。
並木先生の遺志を継いでいる方々が、これだけおられるのだから。
10年以上続けて未だ山麓にさえ達していない
自分の様なダメ生徒でも、
多くのイカロスたちが今まで受け継いできたスピリットの襷を
せめて次世代に繋ぐという
最低限の役割を果たすまでは
海に墜ちない様、湿気たっぷりの重い翼を
必死で羽搏かせないとなぁ…
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