国家試験から学ぶ!臨床検査技師の仕事② -パニック値を覚えよう!の巻-
前回の記事に引き続き、臨床検査技師国家試験の解説いきます!
2回目ですがタイトルを変えてみました。単純な国家試験解説だけじゃつまらないですもんね笑
それでは第69回臨床検査技師国家試験問題の2問目です!Let's Go!
問題
パニック値として報告すべきなのはどれか?
1.K 7.0 mmol/L
2.Na 130 mmol/L
3.LD 300 U/I
4.血小板数 50万 /μL
5.ヘモグロビン 15.0 g/dL
簡単な解説
項目ごとの基準範囲とパニック値を把握しておこうね!という問題です。今日の検査業界では、共用基準範囲といった全国共通の基準範囲が設定されています。
参考:日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲-解説と利用の手引き-
ではパニック値はというと…実は明確な基準は設定されていません。
ただ施設間で多少の違いがあれど、似た数字になっています。特定の施設や法人の数字を明示するといらぬ争いが起こりますので、ここではchatGPTに聞いてみました。
あきまる「Hey!chatGPT!問題にある項目のパニック値はどんな感じ?」
chatGPT「大体こんな感じだよ!」
1.カリウム(K):
< 2.5 mmol/L または > 6.5 mmol/L
2. ナトリウム(Na):
< 120 mmol/L または > 160 mmol/L
3.乳酸脱水素酵素(LDまたはLDH):
> 1,000 U/L
4.血小板数:
< 20,000 /μL または > 1,000,000 /μL
5.ヘモグロビン(Hb):
男性:< 7.0 g/dL または > 20.0 g/dL
女性:< 6.0 g/dL または > 18.0 g/dL
AIの進歩は凄いですよね。キッチリ回答してくれました。当院でも似た数字で管理しています。
解答
というわけで問題の選択肢と簡単な解説から、解答は
1.K 7.0 mmol/L
になります。
裏解答
今回の問題では裏回答は無しです。簡単な解説で他の項目のパニック値書いちゃってますからね。
余談
基準範囲・パニック値の定義
ところで皆様は、基準範囲やパニック値を言葉で説明できますか?
これらには定義がありまして、
上記資料によると、問題にある項目の基準範囲は以下の通りです。
1.K 3.6 〜 4.8 mmol/L
2.Na 138 〜 145 mmol/L
3.LD 124 〜 222 U/I
4.血小板数 15.8万〜 34.8万 /μL
5.ヘモグロビン 男:13.7 〜 16.8 女:11.6 〜 14.8 g/dL
こういった数字って覚えるの大変ですよね…。私は語呂合わせ(時には強引なもの)で無理矢理覚えました。この件はまた別の記事にてお伝えします。
ちなみに国家試験ではトラブルを避けるため、あからさまなパニック値を提示してきます。基準範囲を把握しておくことで、自ずと答えが見えてくることがあるので参考にして下さい。
検査値を診るときの注意点
検査データが基準範囲を外れていれば、何かしらの異常を考えます。またパニック値があれば臨床検査技師から医師へ緊急の一報をいれます。
但し注意点があります。
・基準範囲を外れてるから病気・・・
・今日測定した項目にパニック値があった!?この人今日死ぬの!?
と、全ての検査結果(検査値)に対してシンプルに考えすぎないようにしましょう。食事や薬、体型、運動といった様々な要因で検査値が変わることがあります。
私自身が経験した事例を紹介します。
比較的健康であった28歳の夏、健診で肝臓傷害があるというデータがでました。酒も飲まない・肝炎の病歴もない。何故肝臓が傷害(細胞が壊れた)が起きたのか?
実はこの時、頭痛に悩まされていました。ひたすらに市販薬を飲むという日々を過ごしていたのです。
薬によっては肝臓が傷つきます。件の肝機能が悪くなった原因は、恐らく薬の飲み過ぎでした。
ほどなくして頭痛も良くなり、薬を飲まなくなったためか、次回以降肝機能は正常(基準範囲に戻った)となりました。
なかなかに奥が深い検査値ですが、読めるようになると面白いです。次回以降の問題でも一緒に見ていきましょう!
というわけで今回はここまで。
最後までご覧下さりありがとうございました!