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国家試験から学ぶ!臨床検査技師の仕事-ALPの特徴を覚えよう!の巻-
こんにちは!
臨床検査技師のあきまるです。
国家試験から学ぶ!シリーズ!
臨床化学が続きます。覚えるの大変ですが頑張りましょう!
さて今回の問題は
第69回臨床検査技師国家試験問題の40問目
です!
それではLet's Go!
問題
ALPアイソザイムについて誤っているのはどれか。
胎盤型は耐熱性である。
骨型は成人より小児で高い。
小腸型は高脂肪食で上昇する。
高分子肝型は閉塞性黄疸で上昇する。
免疫グロブリン結合型は電気泳動で最も陽極側に検出される。
簡単な解説
ALP(アルカリホスファターゼ)の特徴を押さえておこうね!という問題です。
そもそもALPってなんやねん!?って方のためにザックリ説明します。
アルカリ環境下でリン酸化合物を分解する酵素で、胆管・肝臓・骨・胎盤・小腸に分布しています。分布の順にALP1からALP5と番号がふられています。5つの分類をアイソザイムといいます。それぞれの分布元が傷害されると、血液中の対応するアイソザイムが上昇します。
なんとなく分かるでしょうか?
これだけだと正答には辿り着けませんが、細かいところは裏回答で解説します。
解答
正答(誤っている選択肢)は
5.免疫グロブリン結合型は電気泳動で最も陽極側に検出される。
です。
裏解答
ALPのアイソザイムをそれぞれ解説します。
アイソザイムの紹介
ALP1型【胆道のスパイ】
高分子型の秘密エージェントです。胆管が閉塞されると増えてきます。
「胆管内圧上昇中!緊急事態発生!」
と密告するんですね。ALP2型【肝臓のサイレン】
成人の血清ALPの主役です。肝臓に何か問題があると増えてきます。
「肝臓傷害あり!衛生兵!衛生兵!」
と教えてくれます。ALP3【骨のダンサー】
骨の踊り子です。骨の新生に伴って優雅に増加します。
「骨でダンス中!成長真っ盛り!」
小児や思春期のように骨が成長すると爆上がりします。ALP4【赤ちゃんからの贈り物】
妊娠後期に現れる胎盤性ALPです。赤ちゃんからのプレゼントですね。
「もうすぐ会えるよ!」
というメッセージかもしれません。心が熱くなりますが、熱に強いのが特徴です。ALP5【小腸のグルメレポーター】
小腸性ALPです。食事を摂ると小腸から出てきます。
「今日のディナーは素敵ですね!」
と中継してくれます。ALP6【ALP2の擬態型?】
潰瘍性大腸炎の極期に現れます。ALP2に免疫グロブリンが結合したアイソザイム?です。潰瘍性大腸炎で増えます。
ALPの結果の考え方
基準範囲より高い場合は、アイソザイムで紹介した臓器・組織どこかの傷害を意味します。
多くの病院検査室ではALPを測定しますが、アイソザイムまでは検査していないと思います。他の検査結果と患者情報からどこが傷害を受けているか考えつつ、必要に応じて外の検査センターにアイソザイム検査を依頼します。
アイソザイム検査
アイソザイムを検査するには電気泳動を用います。電気泳動を超簡単に説明すると、
ゲルに血清を入れて電気を通す。
陽極(+)側に血清中のALPが流れる。
陰極(−)側から順にALP5から1に分離される。
分離された量の割合を計算する。
ザックリこんな感じです。流されやすいアイソザイムは陽極へ進みます。ALP6のように余分な成分が引っ付けば流れにくいため陰極側に留まります。
というわけで問題選択肢の1から4は正しいですが、5のみ誤りとなります。
余談
ALPに関する豆知識を紹介します。
薬の副作用で上昇する
抗てんかん薬や結核の抗生物質といった薬物は、ALPの値を上昇させることがあります。長期間服用する患者では、定期的に血液検査を行い、ALPの変化をチェックすることが重要になります。薬の副作用を見逃さないためのヒントになるんですね。
日本国内と海外の値が違っていた?
数年前まで国内の測定方法は日本独自の方法(JSCC法)でした。しかし2020年度を境に国際的な方法(IFCC法)に完全に切り替わりました。IFCCはJSCCと比較して1/3程度に数値が変わりますが大きな混乱なく移行しました。
これにより海外の論文と数値が合うようになりました。
あと全然関係ないんですが、検査室ではALP(アルカリホスファターゼ)をアルホスと略して読むことが多いです。人によってはアルファベットそのままエーエルピーと呼びます。
ちなみに私は学生時代アルピーと呼んでいました。
芸人コンビのアルコ&ピースさんの略称ですね(笑)アルピーさんの片割れ平子さんは体格が良く、日本テレビ・シューイチ内の1コーナーで体格ブラザーズとして出演しています。今回の選択肢にある免疫グロブリン結合型は分子量が大きい=体格が良いため、体格ブラザーズの仲間かもしれませんね。
・・・くだらない話はこの辺にしておきましょう(笑)
というわけで今回はここまで。
最後までご覧下さりありがとうございました!
また次の記事でお会いしましょう!
臨床検査技師のあきまるでしたノシ