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国家試験から学ぶ!臨床検査技師の仕事⑥-感染症対策!の巻-
こんにちは!
臨床検査技師のあきまるです!
国家試験から学ぶ!シリーズ第6弾です!
今回の問題は
第69回臨床検査技師国家試験問題の8問目
です!
ようやく寄生虫から離れますね・・・。
それではLet's Go!
問題
標準予防策に追加の感染予防対策が必要な感染症はどれか。
1. 梅毒
2. B型肝炎
3. C型肝炎
4. 帯状疱疹
5. HIV感染症
簡単な解説
標準予防策とそれぞれの感染経路を把握しておこうね!
という問題です。
梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIV感染症はいずれも血液や粘膜を介して感染します。性病としても有名ですね(C型肝炎以外)。
一方で帯状疱疹は患部に触れたり、咳やくしゃみの飛沫を浴びたりすることで感染します。生体の免疫力低下が低下したときに、感染したウイルスが暴れて帯状疱疹を発症します。
標準予防策については後述します。
解答
というわけで、正答は4. 帯状疱疹です。
裏解答
標準予防策と感染経路について少し深掘りしましょう。
標準予防策
感染対策の理想を言えば、完全防備が一番です。
白衣ではなく宇宙服
病室は二重扉で完全個室
医療器具は火炙りで滅菌
でも、そんなのあまりにも非現実的ですよね(笑)
感染リスクを低減し、それでいて現実的なものとして提唱されたのが標準予防策なのです。その詳細を厚生労働省のガイドラインから紹介します。
標準予防策はすべての患者に対して適用される基本的な感染対策である。
・ 手袋を着用する。手洗いをする。
・ マスク・ゴーグル(またはフェイスシールド)・ガウンを着用する。
・ 汚染された器具・器材は適切に洗浄あるいは消毒して使用する。
・咳エチケットを指導する。
医療施設での対策になりますが、普段皆さんがしている手洗い・うがい・マスク着用にプラスアルファした内容になります。医療従事者からすれば、業務の中で実施している日常的な感染対策です。
感染経路と対策
感染症の通り道は大きく3つに分けられます。
接触感染・飛沫感染・空気感染の3つですね。標準予防策はこれらの基板になります。それぞれの特性に合わせて追加の処置を施すことが感染対策に不可欠になります。
それでは3つの経路を順番にみてみましょう!
接触感染
読んで字の如く、病原体に直接的または間接的に触れることで感染するものです。血液や粘膜感染は接触感染になります。予防策は手袋・ガウンの着用と手指消毒です。感染患者は個室で管理します。飛沫感染
咳やくしゃみ、会話によって飛び散った病原体を含む粒子(唾の粒)が他者の口や鼻に入り込むことで感染するものです。予防策はマスクの着用です。感染患者は他者と2m以上離す、カーテン等で仕切ることで必ずしも個室管理するに固執する必要はありません。空気感染
飛沫感染と似ていますが、粒子が小さなものが空気感染となります。大きな粒子は飛び散っても重力に負けて落ちますが、小さな粒子は遠くまでとんでいきます。予防策はN95マスクという強固なマスクの着用です。患者は陰圧室に収容します。標準予防策に追加の対策が必要になります。
それでは、今回の選択肢の感染経路をみていきましょう。
1. 梅毒 血液・粘膜感染 → 接触感染
2. B型肝炎 血液・粘膜感染 → 接触感染
3. C型肝炎 血液・粘膜感染 → 接触感染
4. 帯状疱疹 接触・咳くしゃみ → 接触・飛沫・空気感染
5. HIV感染症 血液・粘膜感染 → 接触感染
血液や粘膜を介した感染は広い意味で接触感染になります。帯状疱疹も患部を触ることで感染しますが、飛沫あるいは空気感染もします。そのため、帯状疱疹には標準予防策に追加の感染予防対策が必要になるわけです。
余談
帯状疱疹を引き起こす病原体は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。
VZVは多くの場合、幼少期に初感染します。感染経路は飛沫または空気感染で水疱瘡(みずぼうそう)を発症し肌に水疱(水ぶくれ)ができます。水疱瘡は感染力が強いため、水疱がかさぶたになるまで学校では出席停止になります。
治癒とともに免疫ができます。VZVは身体に残りますが、ある程度健康であれば免疫により症状がでることはありません。加齢や疲労等により免疫力が低下すると、VZVが暴れ出して帯状疱疹を引き起こします。
一つのウイルスが異なる症状を生み出すという、ややこしいようで興味深い話ですね。
というわけで今回はここまで。
最後までご覧下さりありがとうございました!