なぜ素早い切り替えを求める人が多いのか?
【テクニックブック Vol.11】
前回、エッジの切り替えは早くなくてもいいですよ。
とお話ししましたが、なぜ「素早い切り替え」がこんなにも推奨されているのか?
今回はこの検証を進めてみたいと思います。
後半は言い過ぎた感じの「ブラックレイ」が出てきますが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
まずは、エッジの切り替えが遅くなるデメリットから考えてみます。
切り替えが遅いということは、切り替え期が長くなることで、連続ターン自体は大きくなる傾向です。
もし通るところが規制されていた場合、それ以上に大きなターンになってしまうのはデメリットになります。本来通れるラインよりも遠回りすることになるので。タイムを計ると遅くなります。
そうです!
『素早いエッジの切り替え』はアルペンのレーサーから発信されることが多いです。
そしてアルペンレーサーの乗り物は『セッティングし尽くされたマシン』と言えます。
なんのためのセッティングがというと、速く滑るために、強いエッジングをメインとしたセッティングになるのは想像出来ます。
アルペンレーサーは『エッジングが最強化された乗り物』
一方、フリースタイルカービングは『エッジングを強めるテクニック』が必要です。
キレ過ぎる『アルペン』
キレを目指す『フリースタイル』
ここから、適切なエッジングという目的を考えたら。
アルペンは「エッジングを弱める」になり、フリースタイルは「エッジングを強める」になるのです。
噛み過ぎるエッジをタイミングよく解放するために、長く乗りすぎないことを推奨し、切り替えも早くすることを良しとするのがアルペンです。
以上のことから。
『素早いエッジの切り替え』=『強いエッジングが可能な場合』
となってきます。
セッティングされたアルペンレーサー。
カービングテクニックがハイレベルなデモンストレーターなどは、この『素早いエッジの切り替え』が適切なレベルになります。
例えば全日本テク選のミドルターン種目。
『素早く切り替えた方が良い』が適切な滑りをしているのは全体を見ても3割ほど。
『素早く切り替えた方が良い』と思っているので点数にならない方が半分くらいいるように思います。ちょっともったいないですよね。
ターンはミドルなのに、切り替えがショートのようになっている。このアンバランスな感じは、大会ではデメリットになりやすいです。
きちんとミドルターンの切り替えをすれば、もっと深さもスピードもアップするのに、素早い切り替えのために落下してしまい、軽いエッジングで滑る方が多いと感じています。
こう整理すると、『素早い切り替えをやめる』が適切なレベルアップになる場合も多いです。