それは急に現れて私を包んでしまう
大きく憂鬱な色の布みたいな不安が青く晴れた空から現れて地上の私に向かってゆっくりと降りてきてやがて自分を包んでしまう。
そんな心境になることが時々ある。
頭の中ではそういう映像で捉えていて、それが脳裏にチラつくと、不安な、憂鬱な気持ちに自分で気づき、やがてすっぽりと包まれてしまう。
若い頃は、例えば飲み会のような「今、人生で一番はつらつとして楽しい瞬間!」という時、一方、友達とごくフツーに遊んでいる時にも陥っていた。
突如不安に襲われ、急にその場から気持ちが遠ざかり、笑うことも人の話を聞くことも難しくなる。
同時に自分の視線カメラが、主観的なものから客観的ものに切り替わり、自分が抜け殻になった自分を見ている。
シャボン玉の中から周りを見ていて、自分が地面についていないように感じることもあった。
時間を経て、視線カメラの切り替わりはほとんど無くなり、不安になるまでにはタイムラグが生じるようになった。
その場で不安に気づくのではなく、その時間は楽しくし過ごせた、またはトピック的なことがない普通の日の余波と思われるものが、帰宅してから、もしくは、翌朝目が覚めた時などに不安の布となって降りてくる。
それでも年をとって図太くなり不安に襲われる時間はだいぶ減ったし、タイムラグのお陰で今まさに楽しい時間を過ごしているという時に不安の布に邪魔されることが少なくなった。
その瞬間に不安に包まれてしまうと楽しい時間は変容してしまうけれど、タイムラグがあればその時間は既に過ぎ去っていて変えることはできないという意味では、不安の布に人生が左右されることは減ったかも知れない。
おそらく自信を失っている時や、生活の中で何か計画的にやらなければいけないことがあってプレッシャーを感じている時にも起こっていると思うが、理由が分からないことも多い。
突然世界から引き離された、というか、自分が他の人たちと一緒にいる権利のない惨めな人間のように思えて苦しくなる。
今朝目が覚めた瞬間にまたそいつがやってきた。
しかしこれは何なんだろう?いつまで経っても空からやってくる。
こうならない暮らし方がどこかにあるんだろうか?
それとも無くなることはないんだろうか?
昔は若い頃特有の感情なんじゃないかと思っていたけれど、50になる今でもまだ起こる。
ただ起こるだけなら良いのだけど、明らかに自分の生き方に影響を及ぼしているので無視できない。
こんなことを言うと、注目されたい不思議ちゃんムーブか?とウザがられそうだから最近は人にも言わなくなったけど、吐き出すと形が変わることもあるし一回外に出してみようと思って書いてみた。
ただそれだけ。オチとかまとめとか、ない。