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インドネシア鉄道が日本の中古電車輸入禁止!!その結果…

2023年6月、インドネシア政府は
衝撃の発表を行いました。
 
「日本からの中古電車の輸入は一切認めない」。
半年以上の議論の末、インドネシア政府は
このような決断を下したのです。
 
6月22日、インドネシアの
ルフット・パンジャイタン
海事投資調整大臣は、
 
報道陣に対し、
「最終決定として、日本からの
中古通勤型車両導入の禁止を下した」と発表。
 
また同時に
「新車は3編成(36両)のみの輸入を許可する」
とも発言しました。
 
大臣がこの発言をした場所が、
中国が手掛ける、
 
あのジャカルタ―バンドン間高速鉄道の
試運転への乗車を終えた後ということで、
嫌でも中国の影を感じさせます。
 
現政権下で事実上の最高意思決定権のある
ルフット海事投資調整大臣の口からの
公式発表であるため、
 
これは決して覆らない最終決定だと
報じられていました。
 
これで、日本製中古車両の
インドネシアへの輸出の道は
完全に閉ざされることに。
 
高速鉄道計画と同様、
この件についてもジョコ大統領の意向が
大きいとされています。
 
何かにつけて国家が第一という
聞こえの良いナショナリズムを掲げている
ジョコ大統領は、
 
中古車両だけでなく、あらゆる外国製品に対して
規制を強化しています。
 
つまり、2014年にジョコ大統領が
就任した時点で、
 
中古車両の輸入ができなくなるのは
ある意味では既定路線だったとも言えるのです。
 
しかし、そんな大統領の意向はともかく、
現実問題として、車両不足が深刻だった
インドネシア。
 
殺人的なラッシュに悩まされる国民としては、
輸入だろうと何でもよいから
 
車両を増やしてほしいと、
世論は輸入に賛成していました。
 
にもかかわらず、ジョコ大統領は
国産に拘り続け、日本製の
中古車両の輸入禁止を決定しました。
 
今回の中古車両輸入禁止が決定したために、
2024年に29編成の導入予定が、
わずか3編成に激減することになります。
 
利用者団体からは怒りを通り越して
呆れる声が漏れたと言いますが、
もうこれは覆ることはありません。
 
大規模な輸送改善は、本格的に
国産新車が導入される
2025年以降まで見込めなくなり、
 
利用者は殺人的な満員電車に
さらに耐えなければならなくなりました。
 
政府のプライドが優先され、
利用者は置き去りにされたのです。
 
ジョコ大統領政権下においては、
中国への忖度で国民のための判断が
下されることはないようですね。
 
 
そんなインドネシアの様子を
「明日は我が身」と注視していた、
あるタイの男性の話をご紹介します。
 
僕はタイ人のアルン、25歳の会社員だ。
 
最近「インドネシアが
日本の中古鉄道車両を輸入禁止」
というニュースを見て驚いたよ。
 
インドネシアは自国で鉄道車両を製造する
金銭的余裕がないから、
長年日本の中古車両を輸入していたはずだ。
 
日本で30~40年ほど使われた車両を、
新車の10%ほどの値段で
購入できるというのだから、
 
インドネシアからすれば
相当助かっていただろう。
 
だって、日本といえば、
家電でも建築物でも、何を作らせても
「故障が少なく、長持ちする」と有名だ。
 
これは日本人の技術力が
高いのは言わずもがな、
 
使用する人のことを考えて
丁寧に作っているからだと
世界中から評判が高い。
 
これはどこの国でも知っている話だろ?
 
少し古くても、品質が良く安心して乗れる鉄道を
使用できるのだから、インドネシアにとって
素晴らしい条件だったのは間違いない。
 
それが、突然輸入の禁止だって?
一体何があったのか、
 
気になった僕は、
インターネットは駆使して調べてみた。
 
結果は、僕の予想した通り、
中国への依存が激しいからというのが
理由のようだった。
 
インドネシアと言えば、
ジョコ大統領もそうだけど、
 
外交関係で力のあるインドネシアの大臣が
親中派として有名らしい。
 
インドネシアが今後、中国との関係を
良好に築きたいと思っているのであれば、
 
大臣が日本と距離を置こうとするのも
理解はできる。
 
だけど、タイ人である僕の
個人的な気持ちとしては、
 
なぜ日本より中国を選ぶのか、
全く理解が出来ないんだ。
 
特に、鉄道関係の問題だというのなら尚更。
 
だって、インドネシアは
中国製の鉄道のクオリティを
一番知っているじゃないか。
 
そして、僕の国、タイも。
 
なぜならインドネシアとタイは、
「高速鉄道計画で中国を選んだ仲間」だからだ。
 
もともと日本が受注直前だった契約を
ギリギリで中国が奪う形で受注した経緯は
ネットで調べて知ったよ。
 
このインドネシアの選択は、
結果的に大間違いだったよね。
 
何故なら、結局中国を選ぶ
一番の魅力であったコストも膨れ上がり、
 
日本の計画よりも早く開業予定だと言っていたのが、
4年も遅れていたからだ。
 
でも、僕の国も人の事を言えないんだ。
 
タイの高速鉄道計画が持ち上がった時、
インドネシアほどの受注競争はしていないけれど、
 
日本も興味を示してくれていたのに、
最終的に選んだのは中国だった。
 
その時は中国製がどんなものかなんて
知る由もなかったから、
 
自国に高速鉄道ができると知った時、
僕を含めタイ人は皆大喜びだった。
 
当時は受注先の良し悪しに対する情報も
一般化していなかったので、
 
僕だって普通に中国への
感謝の気持ちを持っていたさ。
 
しかし、先に計画を進めている
インドネシアが、あまりにもひどい状態なのを見て、
だんだん中国への信頼感がなくなっていった。
 
そして、自分の国の計画も
こうなるんじゃないか…と
不安になったよ。
 
実際、2021年に開通する予定だったのに、
着工から6年以上経った2024年2月時点で
進捗状況は31%だって!
 
タイ政府当局者からは
「開業は早くて2028年」
 
という声が出ているらしいけど、
それも本当なのかどうか。
 
高速鉄道建設の現状については、
タイでも不満が大きくて、
 
ネットでは
「6年で30%!あと13年か」
「早くしてくれないと寿命が尽きる」
 
なんていう皮肉のコメントも書いてあったよ。
本当に中国を選んた政府を恨んでいるよ。
 
 
インドネシアはその失敗があるのに、
日本製の中古車両を輸入禁止にするなんて
本当にどうかしているよね。
 
日本の中古車両輸入を禁止した後、
インドネシアは
どうやって車両を作るつもりなんだろう?
 
調べると、どうやらインドネシアは
自国生産に切り替えるらしいけれど、
 
しかしそもそもインドネシアは、
自国で鉄道車両を造ることができないから、
日本の中古車両を輸入していたはずだ。
 
ここ最近のインドネシアに、
自国で車両を生産できるほど
金銭的余裕があっただろうか?
 
それに、もっと深刻な問題があるよね。
それは技術面だ。
 
仮に金銭面に問題がなかったとしても、
果たしてインドネシアに
 
日本までとはいかないにしても、
きちんとした品質の鉄道車両を製造する
技術があるのだろうか。
 
日本は今までに、インドネシア国内に
円借款で鉄道開発施設を造ったり、
 
現地住民に技術を
伝える取り組みをしてきたらしい。
 
でも、多くの先進国が熱心に研究をしても
太刀打ちできない、数年先の技術を
持つとされる日本の技術を、
 
発展途上のインドネシアの人々が、
そっくりそのまま受け継ぐことが
できるというのは、ちょっと考えにくいよね。
 
もちろんそれはインドネシアだけでなくて、
僕の暮らすタイも、その他の多くの国も
そうだと思う。
 
それくらい日本人の技術は繊細で
確実で唯一無二なんだよ。
 
だから、インドネシアの自国生産が
上手くいくとは思えないし、
結局は日本に協力を求めるんじゃないかな。
 
でも、散々な目に合ってきた日本が
協力してくれるとは思えない。
 
最終的には、インドネシアは
事故が起こるのを分かっていて、
中国に頼らざるを得ないよね。
 
僕の国もそうだけど、
政府っていうのは国民のことを
考えてはくれないみたいだ…。

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