ロリ服の女性をボロクソに言いながら憧れの目で見つめていた父
「何だあの格好は……ッ!」
前を歩いていた父が、ふいに足を止めた。
忌々しそう舌打ちをして、コートのポケットに両手を突っ込み、ウーッとうなっている。
噛みしめた歯の間から漏らしたのが冒頭の一言だ。
母と私も足を止めた。
とある冬の日。真っ青に晴れ渡る空。歩道は広く、人は少ない。両脇の街路樹は、枯れた枝をのびのびと空に伸ばしている。
私たちは中華料理屋でラーメンを食べ、店を出たところだった。
この穏やかな景色の、何が父の逆鱗に触れたのか?
父の視線を追っ