二百万円貯まった

あれほど欲しかったんですよ。もうほんとに、なによりも、二百万円が欲しかった! 二百万だよ、二百万って。どうすればいいんだよーと思ってたよ。その、二百万円が。きょう銀行のアプリひらいたらさ体重ぐらいあっけなく、載ってた。二百万、二百二万三千六百六十六円が。にひゃくまん、にひゃくまん、と思いながら電車に乗って、にひゃくまんにひゃくまんと思いながら仕事して、にひゃくまんにひゃくまんにひゃくまん、と思いながらトイレ行った。二百万、使ってもまだ二万三千六百六十六残る。二万三千六百六十六円あったらさ。水着買えるよ。可愛いやつが。でもさ‥‥! それで私は我に返りました。水着、着れないんだ。私みずぎ着れないよやっぱり。だって、そのまえに、豊胸しないといけないから。待って、違う違う! だから、いまの私には、二百万円があるんだって。だから豊胸、しようと思えばできるんだって。それで、残ったお金で水着買えばいいじゃん! 二百二万三千六百六十六円使い切っておっぱいと水着買えばいいじゃん! でもさ、でも違うんだよ。私さあんなに、あんなに苦しくて吐きそうくらい、吐きそうで吐けなかったけど、それでほんとは苦しくないんじゃないかって自分のこと疑って余計吐きそうになったけど、豊胸したかったけど、でも二百万、貯めてる間に、豊胸のことけっこうどうでもよくなっちゃったんだよ。寓話みたいですけど。でもほんとに、だって、私、この二百万、バイトと会社でもらったんだ。それで働いてるうちに、自分のことけっこう好きになっちゃったんだよ! ほんとにさ、怒るかもだけど、てか、怒っていいけど! だってこんなにがんばれて、根性あって、かわいいよ。まあ胸のうすさは変わってないけどさ、その点だけだよ逆に私の変わってないとこって。二百万、浮いた。二百万円、私ががんばって貯めた二百万円、ねえ、何に使う。

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