かわいい旅は妖怪にさせよ
こんばんは。宵待と申します。妖怪です。昼間は人間のフリをしています。
可愛い子には旅をさせますが、可愛い旅は妖怪にさせましょう。
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旅に行ってきました。新幹線で。
と、言うと聞こえがいいですが、数駅なので乗っていたのは数十分です。
馴染の景色を、身一つでゆらゆらと。
小さい小さい、そりゃあ、かわいい旅でした。
そんなかわいい旅を記すきっかけとなったのは、頭の中に流れてきたある曲。
この印象的な歌詞から始まるのは、星野源「時よ」です。
疾走感あふれるこの曲は、新幹線にぴったり。MVが、駅で撮られているのも印象的です。
しかし、あの頃より少しだけ大人になった今聞くと、また違った印象になります。
今は馴染な道ですが、そうではない時もありました。
ちゃんと降りられるか、改札を通ることができるかと、ドギマギしていたあの頃。
もっと遡れば、新幹線が通過するのも恐怖だった幼少期。
そんな気持ちも、成長とともに薄れていきました。
思い返せば、バイバイした想いは、他にもたくさんあります。
しかし、時は進んでいきます。意味もなく。
あんなに楽しみだった誕生日も、気がついたら来ているようになりました。
あんなに長かった一年も、気がつけば終わっています。
こんなふうに、もうあの頃のような新鮮さは持てないのかもしれません。
そう思うと、楽しく、気分が上がると思っていたこの曲も、切なさを帯びてきます。
そんなことを考えているうちに、小さな旅は終わってしまいました。しかし、なんだか自分にとっては大きい旅だったような気がします。
いえ、本当は、旅に大きいも小さいもないのかもしれません。
どんなに願っても、時は止まってくれない。自分も変わっていきます。
しかし、いつか降りるその時まで、どんな時も楽しめる妖怪でいたい。
そう思える、不思議な旅でした。
「にしても、なんでこの曲が思い浮かんだんだろう…?」
学生時代にお世話になった先生を、新幹線で見かけたからでしょうか…?
その先生の左手には、光るものが…。
「ああ……時が流れている……。」
そんなことを思った、妖怪なのでした(笑)
では、今日はこの辺で。皆さん、よい宵をお過ごしください。