なぜ統失 第4部「2度目の強制入院」⑩車椅子に拘束された男。
前回のお話🔽
今回は、僕が病棟で見た中で、
最もおかしくなっていた人の紹介をします。
車椅子に拘束された男。
見た目は40〜50代位のやせ細った男性です。
男は車椅子に皮のベルトで拘束されており、
立ち上がる事が出来ません。
車椅子自体も動かないように柱に固定されています。
近くによると、
「ガァッ!、、グゥ・・・グァッ!」
と凶暴な唸り声を上げながら、
さながらバイオハザードのゾンビの様に、
こちら目掛けて襲いかかろうして来ます。
喉はとうの昔に潰れている様で、
かすれた唸り声をあげることしか出来ません。
この病棟には個室が2部屋ほどあるのですが、
そこの住人となっていました。
個室の扉には小さな窓がついているので、
中を窺い知る事が出来ます。
廊下を散歩する時に、さり気なく中を覗いていました。
男は車椅子に縛り付けられたままですが、
個室の中に居る時は大人しくしていた様でした。
ちなみにこの個室、一泊8000円だそうですよ?
ビジネスホテル並みの価格ですが、
一人部屋というだけで、
中は狭くベッド以外何も置かれていません。
たまに看護師さんにロビーに連れ出され、
車椅子に固定されたまま放置されています。
大抵、就寝時間前の夜8時頃は、
いつも廊下の柱に、
車椅子ごと固定され、
そのまま放置されていました。
もう時効だから告白しますが、
この人と毎晩、就寝時間まで遊んでいました。
恐らく、理不尽に縛り付けられる事への怒りでしょうか、
男は、柱に縛り付けられている間、
履いているスリッパを手に取り、
バンバンと何かに叩きつけ暴れています。
男が持っているスリッパを奪い取り、
手が届くか届かないかギリギリの所へ置き、反応を見て楽しんでいました。
他にも、
スリッパを目の前まで差し出し、
奪い取られない様におちょくる遊び。
手を掴まれたり噛みつかれたりされない様に、
男の頭をスリッパでタッチする遊び、
もちろん看護師さんに見つからない様、細心の注意を払いました。
他の患者さんにも見られない様に気をつけていました。
就寝前の夜8時過ぎには、
夕食後の薬で眠くなるのか、
ほとんどの患者さんは布団の中なので、
この夜遅くを狙って遊んでいたんです。
ここには他に何も娯楽がなかったんです!
今考えると、とても悪い事をしてしまいました。
ごめんなさい!
この患者さん、
昼間でも、
僕の顔を見ただけで、
激しく興奮する様になってしまいました。
看護師さんが、
「なんで、にゃぶりえるさんが来たら興奮するんじゃろうねぇ」
と、ちょっと不思議がっていました🤭
反省しております…
最後までバレなくて良かった😮💨
次回へ続く。