26 仕事と人生、恐れなければ成功あり by Geshe Michael Roach（前編）

前回（記事25）、成功法則、願望実現の体験談について語ったが、今回はそれを裏付ける説明資料として

ゲシェ・マイケル・ローチ氏（Geshe Michael Roach）の「Fearless Success in Work and Life」

というパンフレットを紹介したい。

原文は英語のため拙訳にて、かつ分量の問題で前編、中編、後編の３回に分けての紹介であることを了承いただきたい。

作者の経歴については当人が文の最初に自己紹介されているし、この分野では著名人で日本でもセミナーが開催されたくらいファンも多いようなので、ネットを探せばいくらでも情報は得られる。従って、私からの紹介は割愛する。

誤解なきよう予めことわっておくが、私はこの著者や関連団体の回し者ではない。たまたま前回の話の裏付けになる内容だから紹介するだけである。そもそもこの著者のセミナーの参加費はけっこうなお値段のようで、今後開催されても私は参加するつもりはない。今回の記事を読んで興味をもたれた場合は、改めて著作の一冊でも買って読めば十分かと思う。

今回紹介するパンフレットは2009年に書かれたもので、当時はリーマンショックで株式市場は大荒れ、世界全体が不況に陥っていた時期であった。

2023年3月現在も、米国では利上げにより株価、債券価格が下落し、複数の金融機関の破綻を招いている。

そして個人生活においてもインフレ、ウクライナ情勢の影響等による品不足で物価は上昇し、賃金も横ばいで家計は圧迫される一方である。

つまり、パンフレットが書かれた当時も今も、世界規模での厳しい経済状況ということから、今回の紹介は非常にタイムリーで、その意味でも読む価値はあると思う。

なお、訳については基本的に原文に忠実に訳しているが、直訳にこだわりすぎると不自然な日本語になりがちなので、できるだけ読みやすい日本語になるよう心がけた。また、最後に作者が自団体のウェブサイトや著作を宣伝している箇所は不要なので省略した（その場所は明記してある）

原文自体が平易な文体で書かれているので訳文も読んで不明点はないと思うが、気になる箇所があれば、上記の原文タイトルで検索すればオリジナルは簡単に見つかるので、英語に抵抗がない方はそちらを確認されることをお勧めする。

さて、前置きが長くなってしまったが、以下がその翻訳である。

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仕事と人生、恐れなければ成功あり
（ゲシェ・マイケル・ローチ）

恐れないことと成功

私は単なる普通の人ですが、幸運にも人生でたくさんの成功に恵まれてきました。
私はチベットの寺院で20年のコースを合格した最初のアメリカ人で、Andin  International Corporation の起業を支援し、今では年間２億ドルもの売上高に達しています。
この会社は最近、米国で二番目の資産家であるウォーレン・バフェットにより買収されました。

今はとても厳しい経済状況ですが、こういう時こそ、この無料パンフレットを通じて、私の成功の秘密をあなたと分かち合いたいと思います。

このパンフレットには実際には二つの目的があります。
一つは、あなたに経済的成功を達成してもらうこと。
つまり、あなたの夢、例えば、良い家を購入し、家族を養い、子供たちを大学に入れるために必要な収入を全て得られるようにすることです。
二番目の目的は、厳しい経済状況に置かれている現在の世界においても、私の言葉で言えば、あなたに恐れない人になってもらうことです。

成功と恐れないこと、この二つの目的は明らかに関連し合っています。
もし、あなたが、私がここで分かち合おうとしている成功の秘密を本当に学ぶならば、あなたは間違いなく成功するでしょう。
あなたは成功の方法をしっかりと理解するならば、あなたに恐れもなくなるでしょう。
なぜかというと、あなたはもう何をすべきかを正確に知っているからであり、それがどのようにあなたのために働くかを正確に知っているからです。

もう疑いも不安もありません。恐れなければ成功するのです。

辛い時期には

米国は現在、経済的に厳しい時期に入っています。多くの人々が職を失い、まだ仕事がある人々でさえもう失いかけている状態です。

先が見通せないことがたくさんあります。オバマ大統領や彼のために働いている経済のエキスパートですら、この厳しい時代がいつ終わるのか分かっていないということを、誰もが知っています。

そしてこの困難が終わる時、世界は完全に異なるものになっているのではないかと、私たちはみんな感じているでしょう。
米国は最も重要な複数の企業を失いました。
Bank of America は450億ドルの負債の支払いに苦しんでおり、IBMはパソコン事業を中国系企業に売却しました。
General Motors は破産し米国民に対して650億ドルの負債を抱えました。
米国は世界で一番の経済大国としての立場を保持できているのか、もはや疑問です。

でも厳しい時期は良い時期にもなり得ます。
そういう時は私たち自身が行っていることに疑問を感じ、自分自身を改善しようと思うからです。
私はこの国が成功を取り戻すと信じています。それだけでなく、これまで以上にもっと成功することさえ信じています。
私たち一人ひとりが個人的に成功に向かうことで、この国も成功のスタートを切れるのです。
さあ、どのように成功するのか、新しい時代に向けての新しいアイデアを紹介しましょう。

全てのことに原因がある

科学はこの僅か100年くらいで私たちを遠いところまで連れて行ってくれました。
例えば、人類が月に降り、ポリオのような恐ろしい病気を治し、電灯や冷蔵庫の発明によりあらゆる人々の生活がとても便利になり、かつてより快適になりました。

科学が成功したのは一つの基本原則「全てのことに原因がある」からです。
私たちが何かを起こしたいなら、その原因を見つけるだけでよいのです。

昨今の米国および世界全体における経済的危機を考えてみてください。
この危機が起こる前は、私たちの国、そして世界中にかなりの額のお金がありました。
そのお金は消え去ったわけではないのです。
それは今も私たちの周辺のどこかにあるのです。誰もドル紙幣をこっそり盗んだわけではなく、燃やしたわけでもありません。
でも今、私たちはみんな、同じ額のお金に対して何かが起きてしまったと感じています。
仕事も私たちの国も危機にあると感じているのです。

あらゆる出来事には必ず原因があります。
私たちは医療検査のように、その問題の奥に潜む真の原因を発見して治さなければなりません。
そうすればその問題はストップするのです。
真の原因を見つけるまでは、目に見えている症状だけを治そうと努力し続けることは可能ですが、基本的な問題を治すには至りません。
治したように見えても、その問題は何度も何度も現れて私たちを脅かすでしょう。

この国の運営をサポートしているあらゆる専門家ー財務関係者、銀行家、証券会社ブローカー、そして政治家が、私たちの経済的問題を正確に理解していないことは明らかです。
もし彼らが真の原因を理解しているならば、それを治すことができて私たちはトラブルから脱却できていたはずです。

実際にもし私たちが、お金が発生する原因を知っていたならば、仕事を得てたくさんのお金を手にし、多かれ少なかれ現在の経済不況に打ち勝っていたはずです。
もし私たちがお金の発生する原因を知っていたならば、私たちは恐れることなく望むだけの経済的成功を獲得していたことでしょう。

そこで、実際に何がお金を生み出すのか、このことについて、個人的に大きな成功を収めて何億ドルもの価値ある会社を築き上げた人物が活用してきた考えを、今から紹介します。

隠されている可能性

物事の奥に潜んでいる真の原因を見つける最初のステップとして、いわゆる「隠されている可能性」というものを理解しなければなりません。
その「隠されている可能性」はあらゆるものに存在します。
この「隠されている可能性」の活用方法を実際に理解すれば、あなたは仕事を得るか、ビジネスを起こすなどして、とてつもなく大きな成功を収めることができるのです。

その「隠されている可能性」をホッチキスの内部の空間に例えてみましょう。
二枚の紙を綴じるために使う、あのホッチキスです。
ホッチキス自体を考えてみると、針をセットするスペースが最も重要な部分です。
もしこのスペースが、たとえば紙やチューインガムなどが詰められていたならば、もうこのホッチキスは使うことはできません。
ホッチキスの針をセットすることができないからです。

あらゆる種類の仕事、またはあらゆるその他の方法、たとえば株の購入、住宅の購入、その他の資産の投資等を通してお金をつくることができます。
それらの内部には「隠されている可能性」が存在します。
それがものごとを起こすスペースなのです。

例をあげてみましょう。
あなたはいくらかの退職金をもらったとします。あなたはそれを元にして良い利息を得る方法を探しています。
なぜなら、あなたが働くことをやめた後も、その利息で様々な支払いをして生計をたてていく必要があるからです。
あなたはいくつかの株を買うことに決めました。でも、どの株を買えばいいか確信がもてません。

あなたは、全ての株がお金を生む可能性を持つことを知っています。そしてまさにその同じ株があなたのお金を失わせる可能性があることも知っています。
全ての種類の株の一つ一つがホッチキスのようなものであり、その内部にどちらの方向にも向かうだけのスペースがあります。

もしあなたがホッチキス内部のスペースに針を適切にセットするならば、それは機能します。つまり成功するのです。
しかし、もしあなたが内部のスペースを正しく使用しないのであれば、つまり、ホッチキスに針をセットしないのであれば、それは機能しません。

私たちの周囲にある全てのものが、それとまさに同じです。物事はどちらにでも動くのです。それらはどれも内部にスペースがあるからです。
もし私たちがこの「隠された可能性」を正しく使うなら、私たちは間違いなく成功します。
そしてもう恐れることはなくなるのです。

もし私たちがこの「隠された可能性」の正しい使い方がわからなければ、現在の大統領付の経済専門家のようになってしまいます。
何が起こるのか全く確信がもてないし、そのためそれをどのように改善すればよいのかも確信できません。

私たちのホッチキスを機能させる

ここでのポイントは、私たちがそれを機能させない限り、つまりホッチキスに針を正しくセットしない限り、何かを起こすはずの発生原因はその原因としてなり得ないということです。
株式はあなたにとってお金を得るための原因にもなりますが、あなたのお金を失わせる原因にもなり得ます。
私たちが知りたいのは、お金を得る原因になると完全に確信がもてる株式を、ホッチキスの針同様にセットする方法です。

そしてこのことが私たちの機会となります。

ある人々は新聞を広げるか、オンラインで証券市場のサイトに入り、他の人々が得られていない機会を見出します。
あなたが彼らに、何年も前にGoogleにたくさんのお金を投資すべきだとどうやって知ったのですかと尋ねたら、彼らは「単に、自分にいいように見えただけさ」と言うでしょう。

他の人々は同じ証券のリストを見て、良い投資機会だと思い実際に投資しますが、大損します。
「しまった！　General Motorsはブルーチップ（優良株）の中でも最も優良だったのに。米国史上、最も古くから成功している企業の一つに投資してどうして全財産を失うことになったんだ？」

全てには原因があることを思い出してみてください。
ある人々が証券リストを見てお金を得る機会とする一方で、それとまさに同じ証券リストを見て退職金を投資してその全てを失った人々がいます。
それには必ず理由があるのです。

最初の人々は購入した株に「隠された可能性」をホッチキスの針のようにセットしたに違いありません。
でも二番目の人々はどういうわけかそれをしなかったのです。

私たちはどのようにして、物事をいつも自分たちのために働かせることができるのでしょうか。

（中編ー記事27に続く）