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【入院5】美味しい食事

こんにちは、九芽です

顎変形症の術後3、4日目の経過をまとめたものです。

術後3日目

さよならドレーン

下顎の傷口から出ていた血を抜くドレーンを抜去することができました。

「抜いたら全部一気にこの袋に入れるから」
と用意された大きな透明の袋は、学校のゴミ箱に入れてるやつに似ていました。いやそれにしか見えない。

管の先に繋がった小さなケースは、排液まみれのちょっぴり見苦しい見た目ではあったけど、これも一応頑張りの証です。専用のバッグに入れて肌身離さず持ち歩いていたこともあって、捨ててしまうのはなんだか寂しい感じもしました。

ま、トイレと病室の往復しかしなかったけど。


糸みたいなのを切ってドレーンはでゅるるんと抜けました。抜く前も抜いてる時も本当に怖くて、恐怖に滲んだ表情をしていたと思う。

「大丈夫だから」と何回も言われるし、そんなに複雑ではない処置のはずですが、「え、だって骨髄に管が刺さってんでしょ⁈」と考えたら怖がらないでいる方が無理でした。

というのも、この時私は月に一度の女の子の日が来ていて、手術後とあってか体力的にも精神的にもかなりキツかった時期。
今の自分が想像しても、見苦しいほどのイヤイヤ期みたいな態度だったことでしょう。
抜ける時の感覚が気持ち悪い、重くずきんとした、じわじわする痛みでした。


パノラマ

同じ日に、レントゲン撮影がありました。
一度延期になった撮影ですが、あまり体調がすぐれず、車椅子での移動です。

座った状態で乗るエレベーターはまるでタワー・オブ・テラーのようでした。姿勢が違うだけでこんなに感覚が変わるものなのか。スリルがあって楽しかった!


シャワー浴

ドレーンが抜けて、点滴も外れたのでシャワー解禁です。嬉しすぎる。

スタッフステーションにいた看護師さんが「点滴外してもらった?頭のバンドは取ってから入ってね」と声をかけてくれました。

顔も耳も髪もベタベタ。皮脂と溶けたリンスが混ざって変に甘い匂いもしていたので、やっぱりお風呂って凄いんだなーと思う今日この頃。

とは言ったものの、髪に水が通らなさすぎて焦ったし、シャワーだけなのに異常なほどのぼせて、結局あたふたしながら制限時間の30分が過ぎました。

鼻下からほっぺにかけて貼っていたテープの下の肌荒れが思ったよりひどかった。

…なんかベタつくんだよな、シャンプーしたのに。
汚れとの闘いはしばらく続きます。


術後4日目

バンドが外れた

手術が終わった時から、腫れどめのために問答無用でつけられていたバンドを外してもらうことができました。

「よかったねー、これで楽になるから!」
と口腔外科の先生。

「今日は矯正歯科の方でゴム掛けを教えてもらうと思うんだけど、それは真面目に習って。ゴムをちゃんとかけないと後戻りしてきちゃうのよ」
とのこと。

バンドをしているとどうしても髪型がキマらないし、なにより見た目が違和感の塊なので、ずいぶん身軽になりました。


話せるようになった。

矯正歯科に行くと、こちらも問答無用でされていた顎間固定が解禁になりました。

もともと外来で作っていたプレートを上下の歯で挟みゴムでガッチリと止める、という荒技。
プレートのせいで舌を動かせず、全く話せない時期が続いていました。


「元気そうで」と矯正の先生。

 ハイ、おかげさまで。

ゴムが外れ、軽く掃除をしてもらって、開放感に浸ります。でも口を大きく開けられないのがストレスでした。

そして、これで終わりではありません。
プレートは外れますが、これからは自分でゴムを掛けなければいけないのです。食事のたびに。

大変そうだな…なんて先生の前じゃ口が裂けても言えません。でもサボるとカンタンに後戻りしてしまうらしい。

大変そうだな。
でも人間の筋肉って、すごい。
後戻りなんて、絶対イヤだ。


病室まで帰りながら、誰にも聞こえないくらいの声量で喋ってみました。

「ナツカワ先生、Aライン抜くとき痛かったよ」

……。なんだその発言のセレクト(笑)

別に根に持ってるわけでは全くないです。
ただ忘れられない思い出の一つとして、印象に残っていただけのこと。
つい最近の出来事なのに、なんだか懐かしいです。
(【入院4】病棟へ戻ろう。参照)

すごい、話せる。

これで言いたいこと言える!


お昼ご飯

お昼ご飯から、すりつぶしのミキサー食が出ました。

もはや何が何だかわからない見た目。
確かに味は美味しいです。家で食べるご飯より少し味が薄めかな、と言う感じ。

でも食べていくにつれて量が減ると、相対的にお皿の面積が広くなってしまい、薄味ゆえに口でしっかりビーフシチューを食べているにもかかわらず、鼻からはお皿の匂いがしてくる。
終いにはお皿を食べているような感覚になって、3分の2を食べるのが限界でした。

その後にはゴム掛けも待ち構えています。

お昼に食べた中で一番美味しかったのは、水に溶かされた飲み薬、だったかも。
嘘じゃないです。




一筋縄でいかないことの方が多かったですが、一歩ずつ前に進んでいる手応えを感じながら過ごしていました。
まるで宝探しをしてるみたいに。


日を重ねるごとに、ご飯らしいご飯が食べれるようになって、それでもまあ離乳食みたいな感じで味気なかったけれど、

なんていうのかな「噛める」っていう感覚。
私はそれをしっかり感じたことがなかったので。

いくら味が薄くても、お粥に対するおかずの量が圧倒的に少なかったとしても。

その「噛める」感覚を1番初めに体験させてくれた病院食は「美味しい」という記憶とともに、私の思い出の中に残り続けています。




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