【入院6】一週間を振り返って。
こんにちは
九芽です
顎変形症の手術からちょうど一週間後の午前、私は退院を迎えました。
夜のできごと。
この日も未明に鼻血が出て1日が始まりました。
というのも、夜寝ている間、今日なのか昨日なのか分からないくらいの時間帯に、睡眠の邪魔をするかのように3日連続で出ていた鼻血。
さすがに最後の夜くらい、ゆっくり寝させてくれるだろうと思ってた。油断大敵です。
今まで同じ状況になりつつも、しっかりカバーして身の回りを汚さなかったのが自慢でした。
でも今回は、箱ティッシュに手を伸ばしたらそのまま突き抜けて床に落としてしまうという痛恨のミス。空のペットボトルもついでに共倒れ。
敗北。
そりゃあ汚れてしまいます。
「布団と病衣を汚さない記録」を保持していたのに、ここに来て連続記録が止まってしまう上、目が覚めてなかなか寝付けない夜でした。
ていうか、なんだろうその連続記録。
最後の一晩は、そんな思い出深い夜です。
最後の朝回診
毎朝受けていた回診も今日で終わりを迎えます。
「ゴムかけ自分でやったの?上手じゃん」
と開口一番に先生はそう言いました。
自分でやる以外に誰がやるのと突っ込みたいけど、もしかしたら決まり文句のような気もするけれど、大人に褒めてもらえるのは高校生の自分的に結構嬉しいものなのです。
ブラケットに9個の小さなゴムを掛けて、上下の顎を固定する作業。初めてやった時は、ゴムがどこかに飛んだり口の中で迷子になったり。慣れるまでは消えたゴムを大捜索したっけな。
発狂しなくて偉かった。
10分という時間をかけていたものが今では2分27秒。
誰にも言えないマニアックを極めた記録だけれど。入院中に手に入れた、努力の証でした。
その後すぐ「え……これどうした⁇」と先生がパジャマの血に気付くのは早かった。
「左右どっち?」「色は?」
「何時ごろだった?」「自分で鼻触った?」
「いびきかいてる?」
その他諸々の質問されたのですが。
真夜中で寝ぼけていたこともあって、はっきりと答えられるものがありません。
「寝てたので自分ではわかりません、暗かったので分かりません、結局全部分かりません」的な。
「そりゃそうだよね。笑」
先生も同情のひとことでした。
退院後の注意事項をしっかり叩き込まれます。
まず固いものは食べないで。ナッツとかするめとかね。病院食おいしくないからさー、退院したらみんな色々食べたくなっちゃうのよ。飴を噛んじゃう人もいるんだけど、それもダメね。
あとボールが当たったり、接触が多いスポーツもダメ。バスケとかバレーとか。転んだりするのも良くないから、スノーボードもね。
とのこと。
これが少なくとも3ヶ月。
骨が完全にくっついてプレートを取るのが1年後だから、それまでは気を付ける必要があるようです。
退院しても大変だなあ。
飴も噛めないのか。
ストレスの溜まりそうな話ではあったけれど、たくさんの人に支えられて、そして退院の日を迎えた今、これくらいの制限はどうってことありませんでした。
最後に「鼻血があまりにもいっぱい出るようだったら、外来に電話して」と言われました。
正直なところ、鼻血によって退院が延期になるんじゃないかとかなり本気で心配していた身なので、本当に嬉しかった。
鼻に挿管していたので、多少の鼻血はしょうがないみたいです。
もらった優しさ。
病室に戻って、帰る準備を始めます。
「元気でね、気を付けてね」と看護師さん。
「…昨日の夜も鼻血出ちゃった⁇ 大丈夫?」
「美味しいものいっぱい食べてね」と声をかけてくれたのは同病室の患者さんでした。
いろんな人が話しかけてくれます。親しくしてもらった人たちには感謝しかありません。自分の口でありがとうが言える。これほど嬉しいことって他にあるかな?
まあ、あるかもしれないけど。
たった一週間の中でこんなに素敵な人たち出会えたことは、本当に幸せなことなのです、今の私にとって。
迎えに来た母が到着すると、看護師さんが薬のこと、会計のこと、今日の外来のことを丁寧に説明してくれました。その後、忘れ物のチェック。
最後にリストバンドを切って、点滴の針が残っていないか確認してもらいます。看護師さんはいつでも頼もしかったです。
「お世話になりました」
挨拶して手を振ると、相手もちょっと笑いながら返してくれました。涙が出そうだった。
退院できて嬉しいから、だけじゃない。きっと。
この八日間で、私はいろんな世界を知りました。
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