ＳＭＥＬＬＭＡＮ　２ＮＤ：２

ＳＭＥＬＬＭＡＮ　２ＮＤ
ＲＯＣＫＮ　ＲＯＬＬ　ＭＵＳＩＣ　ＳＴＡＲ：２

スメルマンが泰明の意識に紐付けして数カ月が経過したが
事態は、依然として平行線を辿った。
外崎兄弟は２曲目の収録に取り掛かっていた。
「水無月の爆弾」六郎が持ち寄った素材だ。
ＲＯＣＫＮ　ＲＯＬＬ　ＭＵＳＩＣ　ＳＴＡＲなんて
断ってみせたが、外崎兄弟には確かなスター性が存在した。
演奏の正確さ、歌唱の華やかさ、メロディの意外性
歌詞に込められたメッセージ、ＭＶの技巧技術
何を挙げても天才的だった。超新星。

外崎兄弟は、学業に苦戦を強いられた。
音楽大学に入学できれば
光る生徒に成れたかもだが、音大には音大の規範がある。
兄弟は反りが合わず、外に弾かれる結果に。
普通の大学に通い、普通に単位が取れずに苦悩した。
普通大学にも軽音楽サークルは存在して
兄弟揃って同じサークルを志したが
同じＢＡＮＤには属さなかった。
ベーシストの長兄泰明と
ドラムス担当末弟六郎。将来目線で行けば交点のある分類だ。

泰明はエレキギターも弾けたので
リズム隊は末弟に任せて、あとの組み立ては自由におこなった。
ドラムスは汗をかくポジションだが
六郎は制汗剤がどんな爽やかな匂いかも知らなかった。
ひんやりする感覚が、脇に作用していると勘違い。
一般的に脇の臭いなんて知らない人のほうが多い。
ワキガ＝腋臭と呼ばれる病気の人も
ワキガ＝腋臭に自身が罹っているなんて気付かないのだから。
そういう意味ではスメルマン人口は案外多いのかも知れない。
なかなか嗅覚に覚醒しない末弟六郎。
洗い晒しの頭髪も、彼にかかれば無味無臭？
第五感でいい、正しく機能して、何かを悟れよ！