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air_mezzanine
少女は戦場にて散らず#01
TIGER LILYの咲く丘で
LOVE IS A BATTLEFIELD.
第一話『邦人はファンタジーの中にも』
第二日本:BOOK END
巨大なシェルターを模した書庫の一つ一つは
人の生活を支えるねぐら、穴蔵になっているが
第三日本:BOOK MASTER
情報を所蔵したエリアでは書籍という至ってアナログ的な様式で
重要問題を記録している。
山崎苺花は、BOOK ENDの神童と呼ばれ
自由にBOOK MASTERに行き来することを許された。
彼女には護衛が必要だった。とびきり最上級の。
白羽の矢が立ったのは百田愛子という少女だった。
百田兄妹は鬼神と恐れられるほどの合気道の達人だったが
山崎苺花が指名したのは兄ではなく、妹のほうだった。
「……で、BOOK MASTERにはどんな脅威が?」
「カンダタ蜘蛛が絶えず糸を垂らしていますし」
「クモってスパイダーマンのアレ?」
「ええ、タランチュラかも知れませんが」
「その、タランチュラはアンタを襲って来んの?」
「そう、ですわね。ボディーガードは貴女で4人目です」
ええ! 先代の三人の行方を聞くのが怖い……。
「へええ、案外骨が折れそうな仕事じゃん」
「宜しくお願い致しますわ、お名前は……」
「愛子、百田愛子だ。呼び捨てでいいよ」
「愛子さん、檸檬爆弾の解体経験は?」
苺花の口から飛び出す瑞々しい果実=檸檬。
「なんだよ、その爽やかそうなBOMBは!」
「ないんですの? なかったら大変だわ!」
「酸っぱいスプラッシュで爆発すんのか?」
Dr.KAJIIの最終兵器。炸裂したら、最期の悲劇。