SMELLMAN 3RD:2
SMELLMAN 3RD
KINDERGARTEN SCRAMBLE:2
「ありわらくん、ちょっといいかな?」
「どうしたの? せんせい」
「このハンカチをクンクンしてほしいんだけど……」
「(くんくん、くんくん)アイスクリームのにおいがするね」
バニラエッセンスを嗅ぎ分けるありわらくん。
「じゃあ、おさかながのっかってる、おすしはすき?」
「あまりすきくない。あのツーンにがてだもん」
ワサビに対する適応能力あり、か。
「せんせい、これからだいじなおはなしをするよ」
「うん、だいじなはなしって?」
「もみじ組のみんなは、クンクンすることができないんだ」
「できないってどういうこと?」
「アイスクリームのにおいや、おさかなのツーンがわからないんだよ」
「それはそんをしてるね。においはいろいろをおしえてくれる」
大伴恭平は無作為に一人の園児を抽出。
名前は……小野真理子ちゃん。これも六歌仙つながり。
「まりこちゃん、このハンカチはなんのにおいがする?」
「(くんくん、くんくん)……なにも、しないよお?」
「おさかながのっかったおすしはすき?」
「まりこみどりのクリーム、へいきだよお?」
こうなって然るべきかあ。
これからは、ありわらくん目線、まりこちゃん目線で
物事を考察していこう。
バニラエッセンスに関しては、俺も若い頃試したことがある。
その時は全く知覚することができなかった。
嗅覚が死んでいると不安になるし
何より食事が楽しくない。ありわらくんからの働きかけで
まりこちゃんは正常な知覚を手にすることができるだろうか?
六歌仙KINDERGARTEN
泰明の自我よりも、難しい自我に戸惑う恭平。