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B@CK HΦME S3:06
MLL:早熟作家との対談
馴鹿乗絵【乗】と安住絢香【絢】の対談。
きっかけは安住絢香の著書に由来する。
乗「安住先生、今日はありがとうございます!」
絢「先生なんてやめて下さい。
何についてお話しすればいいですか?」
乗「ペトリコールと恋愛ホルモンの
フェミルエチルアミンについて、です」
絢「ああ、カノ雨後のアレ、ですね」
乗「恋する女性は、雨後の匂いに
過剰反応する、と断定してもいいですか?」
絢「断定までは行かないかもだけど
恋してる時って、感受性が高まりません?」
乗「そうなのかも知れませんね。
強い感受性は、意識障害レベルの反応を?」
絢「タイトルに突っ伏すと置いたので
私にとっては強烈な反応だったと
思いました」
乗「参考意見にします。
意欲的に名著を書かれて下さいね」
絢「はい! それが私の使命ですから」
稲川京のラブレターは、確かに
吉谷美紗知、藤林望愛の二人の心に届いていた様だ。
恋する女性の感受性の強さは、
表情を輝かせる、肌の色艶を整える効用がある反面
雨後の匂い成分「ペトリコール」と過剰反応を起こすらしい。
香りのスペシャリストが選んだ三枚だったから
余計に「ペトリコール」が前面に押し出された結果も否定出来ない。
稲川に明確な殺意はなかった。これは断定出来る。
しかし、MLLを巡る一連の流れは、意外な方向に舵を切る事に。
MLL:模倣犯 Shuoh Miura
捜査本部
会議室に担当者全員が集まる
「いわゆる稲川便箋事件は
意図しない犯行と言う見方で
大方の収束を迎えようとしていました。
しかし、模倣と呼べる様な犯行が
又起こってしまったのです」
見解を言い切った後で、
机の下でゴソゴソする英国刑事。
「結果としては未遂ですが
真犯人は三人目の犠牲者を生もうとしていました。
被害者の名前は葛西玲良さん」
次に立ち上がった乗絵が、冷静に告げる。
「これが動かぬ証拠です!」
机の下に用意されていた
大量のMLLを机上に置く英国刑事。
文頭に【FOR REIRA】と書かれている。
「参考資料と謳いながら、
私用でMLLを使用していた人物が
警察内部に居たんです!
そうですよね?
三浦秋桜刑事!」
机のMLL群を凝視した後
髪をゆっくりかき上げて、
狂った様な高笑いをする三浦刑事。
「ククク、カカカ、ハハハハハハハ!
いやあ、傑作だね! 傑作だよ、全く。
真実を暴く組織の人間の企みが
いとも簡単に看破されちまうとはな。
いいだろう、全て話すよ。
事のあらましの全てを」
警察全員の視線が、三浦刑事に集中する。
指を組み替え、俯きながら始まる、三浦秋桜の独演会。
「善の僕……悪の俺……」