彼女が雀士に育つまで:07
南場03局:破 彼女が雀士に育つまで
最初の構想では、実母がメキメキと頭角を現し
Mリーグのプロテストを受ける迄を追う、
フィクション・ドキュメンタリー・タッチで描こうとしていた。
先刻の小四喜のエピソードも実母のものにすり替えれば
王者の印と勝手に呼んでいる、箔のようなものが増えて行くカタチになる。
しかし、実母はビギナーズ・ラックと呼ばれるような
無垢なる時を脱していない状態だ。
どんなに型破りで、どんなに破天荒な偉業を成し遂げるか分からぬ時に
横槍を入れて邪魔をしてなるものか!
彼女が雀士に育つまで。独りで和了を成せるまで。
時間は揺蕩うように、漫然と残されているのだ。
もっとも、僕の方が長生きしないといけないのだが。
僕は理詰めで言うと上級者に属すると思う。
足りないのは、捨て牌からの読み。
和了牌の三点読み、一点読みが利く人は、
僕よりももう少し牌から得られる情報の質が豊かなのだと思う。
冗談で「藤井聡太七冠が麻雀打ったら
強いかな?」
って言う時があるけど、そんなの強いに決まっている。
麻雀打ちは1手先、2手先を読むことに怠惰になっている時がある。
藤井竜王は1手先に訪れるかも知れない展開に柔軟に対応して
最高の牌効率で受けられる手作りを心掛けると予測する。
頭を下げて(俯いて)
手作りすると「白」「發」「中」が場に何枚出ているか
と言う基本中の基本も見逃すことも。
通信対戦のように「副露しますか?」と呼び掛けられる内はいい。
現実にアナログな卓を囲んだ際に
自分が副露したい牌を見逃すなんて目も当てられないだろう。
雀鬼と呼ばれた桜井章一さんは、集中し過ぎて鼻血を出す位
卓を凝視して、思考を最大限に張り巡らせた。
そう言う絶対負けられない試合の雰囲気、味わったことがある。
どうも視点が、作者目線だな。もっと実母/実父寄りの話にしたい。
デジタルな卓=自動雀卓と言う意味では無いので、あしからず。