B@CK HΦME S6:03
水湊「あなたが即興でプレゼンした5人は、
近い将来、夢見る少年少女の希望の光になるわ。
私だったら、正座してTVに齧りつくと思うの」
桜時「行き詰ると思っていたけど、確たる5人が、
この河川敷で産声をあげたね。
丁寧に肉付けして、もっともっと魅力的で、強固な戦士に鍛え上げたい!
このアイデアで、北条時雨の栄光に挑んでみせる!」
水湊「挑む頂は果てしなく高いけど、あなたの瑞々しい発想力は、
ブレない登頂を後押ししてくれるはずよ。
頂上から眼下を見下ろして、
無事を祈る私を見つけて、元気一杯に手を振って欲しいの」
桜時「未来虹ちゃんが寄せてくれる期待は、
応えるだけの大きな価値があるよ。
もう地面は見詰めない。生涯、挑戦者であっても、
僕は文壇のリング上で、表現の正拳を、
相手の核に撃ち込み続けるんだ!」
水湊「世界王者は億万長者作家、北条時雨さんね。
与えられた遺伝子を凌駕するほどの化学変化を、
息づく細胞の一つひとつに働きかけるイメージで」
桜時「こんなに希望を与えてくれる未来虹ちゃんが目指す次回作は?」
水湊「王道の恋愛小説かな。難病には極力、頼りたくない。
主人公には作品を生み出して欲しいと、漠然と夢想するわ」
桜時「美しい劇中劇が、パッケージングされるんだね。
世界中で一番に感想をいうよ。お互い、作品が完成したら、
この、出発の河川敷に原稿を持ち寄って高め合っていこう!」
水湊「真剣に読んで下さる敬虔な読者が傍にいてくれる安心感は、
良作を紡ぎ出す、この上ない原動力になりますわ!」
桜時「親の七光り、客寄せパンダと、後ろ指を指されても、
僕は文芸部部長の申し出を受けようと思うよ。
副部長は水湊未来虹ちゃんだ。
可能性しか残されていない一年生が、革命を起こす口火を切ろう!
きっと、父さんも、迷いと焦りの中で、鉛筆を握り続けたんだ」