ＳＭＥＬＬＭＡＮ　２ＮＤ：４

ＳＭＥＬＬＭＡＮ　２ＮＤ
ＲＯＣＫＮ　ＲＯＬＬ　ＭＵＳＩＣ　ＳＴＡＲ：４

外崎泰明に課せられた使命は、六郎の嗅覚を解放した上で
達観させることだった。
匂いってこういうもんだったんだ、ふうん。
くらいのテンションでいい。
確かに五感を駆使した食事は楽しいが
必要以上に気持ちを盛り上げる必要はない。
甘美な匂いがあれば
醜悪な臭いもあることだろうから。
スメルマン泰明は洗い晒しの頭髪の濡れ雑巾のような臭気を
今でも恨めしく感じている。
これが自分の身体の一部と思うとぞっとする。

六郎の報告。以前よりも味に深みが増した気がする。
「～気がする」だから、未だ感覚的には浅い。
「～気がする」だから、もう嗅覚の片鱗はないのかも？
スメルマン泰明は、何度も米をタッパーに移し
冷蔵庫で冷やしてから、長時間レンジで加熱した。
何かの作用で感覚に訴えかけることを信じて。

ＲＮＣさんのＬＩＶＥ配信がもうすぐ始まる。
今日も兄弟は別室で同じ配信につながろうとしている。
どちらからでもないが
外崎兄弟は、いつかＲＮＣさんにゲストボーカルを
依頼しようと思っている。
１２時５９分、通常配信よりも１分早く開始。
大部屋を貸し切って歌枠を盛大に開く。
賑やかに始まり、兄弟もアイテムを遠投していく。
神推し１０８０ｐｔ　好きすぎてごめん７７７ｐｔ
かんちがいしないでよね１１１ｐｔ
好きリズ１０ｐｔ×３　夜空のハート１ｐｔ×２
日計２０００ｐｔ　ＴＯＴＡＬ１４０００ｐｔ
ノンアルコールビールを傾けながら
最高の配信に酩酊する秋分の日の午後。