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1.

これは友人のまどろみちゃんのはなしである。
まどろみちゃんは深いスミレ色の髪の女の子。
メガネをしていて、その奥の目をいつも好奇心でキラキラさせていた。

彼女はその日、幻想図書館にいた。
幻想図書館は四方がガラスでできていて、天井のほうになるとあわいピンク色の空になっているふしぎな図書館だ。

そこにはいろんなふしぎな本があって、いろんな人が図書館を利用している。
たとえば魔法使いや占い師。
冒険家や、そういう仕事とは関係なしに読書が好きな人など様々な人がやってくる。

まどろみちゃんも占いを嗜んでいて、ちょっと評判もいい。
でも本人はあんまり重大なことは占いたいと思っておらず、やっているタロットもわくわくしたりときめいたりすることのひとつとしていた。

そんな彼女が幻想図書館のろう下をいそいそと歩いている。
胸には分厚い本を抱いていて、ガラス張りのろう下からこれまたガラスでできた階段の脇に身をすべらせた。

「これは魔法のインスピレーションブック。むらさき色のタロットのページ」
そう言って床に本を下ろした。
本はあわい青紫色の表紙に、四隅に太い赤紫のりぼんがかれられたような装丁だった。

「めくれば魔法にあえる。ときめく予感が動き出す」
まどろみちゃんはドキドキしながら厚い表紙をぐっと持ち上げた。
と!

ビュー!!



今回はここまで。
次回をお楽しみに。

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