刀剣古書を「新しく・定価で・出版社に利益が行くよう」買う方法

刀箱師という新たな刀職を開拓しておられるパイオニアの中村圭佑さんによるこちらの記事、刀剣入門者には大変参考になりますね。

また、手に入れることはできなくても、国立国会図書館のデジタルコレクションで無料閲覧できるものも。

図書分類法であるNDC分類に、「金工芸」の分類番号である「756」を入れることで刀剣関連書籍をキーワードで限定せずに探すこともできる、というとても有用な情報を上げてくださっている方もいます。

ただし、実はこうした方法(デジタルでの閲覧は別として)を駆使しても、刀剣関連書を古書で手に入れることにはいくつかのデメリットが存在します。

刀剣関連書を古書で手に入れることのデメリット

1:古書は状態が悪いものも多い

なんといっても、これは大きなデメリットです。
古書は、前の所有者(場合によっては歴代の所有者)の保存・利用の方法によって状態が大きく異なります。
書き込みがあったり、全体的に変色していたり、においがあったり・・・

専門の古書店で購入する場合はまず無いとは思いますが、保管状態の悪かった書籍には「紙魚」(シミ。検索注意です!)という、古書などに発生する虫がついている可能性も。
そんな本を本棚においては、手持ちの書籍にまで悪影響が出る恐れも。

2:定価より高い場合が多い

いくら複数のサイトなどを駆使して探しても、今では入手困難になっている稀覯書はどうしても定価より高い場合がほとんどです。
中には、プレミアがついて定価の数倍という値段になっている場合もあります。

3:出版社には利益が行かない

最後に挙げましたが、個人的にはこれが一番デメリットとして大きいと思います。

古書としての購入では、せっかく素晴らしい内容の書籍を発行してくれた出版社や著者には利益が1銭も入らないのです。

利益が行くのは、元の所有者と古書店だけ。もちろん、それ自体は悪いことではありませんが、やはり発行してくれた出版社や著者に利益が入る方が、業界を盛り上げる意味でも望ましいですよね。
それが今後、刀剣関連の書籍を新たに発行してもらうための原資にもなるわけですから。

「新しく・定価で・出版社に利益が行くよう」買う方法はあるのか?

では、そうしたデメリットを回避するにはどうすれば良いのか?

もちろん、古書ではない新しい本として書店から購入することです。

「でも、そもそも新刊として買えない絶版本だから、手に入れるのに苦労してるのに・・・」

そうですよね。
では、どうすれば昔の刀剣関連書籍を新刊として手に入れることができるのか?

それは、「復刊」です。

刀剣界では、岩波新書の「日本刀」が76年ぶりに復刊した話題も記憶に新しいですね。(https://book.asahi.com/article/13284091

復刊ドットコムとは?

ツタヤで有名なカルチュア・コンビニエンス・クラブの傘下で、復刊ドットコム(https://www.fukkan.com/top/index)という会社があります。

この会社自体が出版社でもあるのですが、ユーザーからの投票に応じて絶版本の復刊を出版社などに働きかけるという独自の挑戦をしている会社なんです。

そんな復刊ドットコムで復刊リクエストのタグ「日本刀」を検索(https://www.fukkan.com/list/rsearch?tag=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%80)すると、


・佐藤寒山先生の『日本名刀大図鑑』(https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=27064)

・永山光幹先生の『刀剣鑑定読本 新版』(https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=64042)

・考古学者である末永雅雄先生の『日本刀の副小刀』(https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=74269

など、色々な刀剣関連書籍の復刊リクエストが上がっています。

会員登録すれば、既存のリクエストに投票するのはもちろん、新規でリクエストを登録することもできますし、プロジェクトに動きがあるたびに運営元から案内を受け取ることもできます。

新たに刀剣に興味を持った若い世代が必携とも言える関連書籍を手に入れられるよう、復刊を後押しするのも大切なことかと思います。
もちろん、復刊時には誤植の訂正や最新情報への更新、図や写真のよりきれいなものへの差し替え、内容の増補改訂などが行われる場合もしばしばあります。

あちこち探しても手に入らなかったあの本も、復刊されれば新品で、しかもより充実した内容で手に入るかも!
もちろん、刀剣関連書籍以外にも幅広い分野の本が復刊リクエストされていますので、ちょっと覗いてみるだけでも面白いかもしれません。

刀剣界・刀剣関連の出版界を盛り上げていくためにも、ぜひ名著の復刊を盛り上げていきましょう!

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