(風呂の)心地よさと(サウナの)気持ちよさと(己の)みみっちさと
最近サウナにハマっている。
……いや、わかっている!
サウナが健康に良いワケがない!
でも今の精神治療にはこの快楽が手っ取り早いんだよ許してくれ!
最終的に頻度は半年に一回ぐらいにまで抑えるから!
頼む!
では、サウナアンチへの魔除けも済んだところで本題へ入っていく。
まず、サウナにハマった理由とかそういったものは今後どこかで書くので一旦割愛させてもらう。
私は今年に入ってサウナにハマった結果、どうしても人気で評価の高い施設ほど高く、一回の入浴で2000円以上が当然のように吹っ飛ぶ事実に頭を悩ませていた。
流石に月に1回だとしても飲食店で2回定食を食べられる額をホイホイ出すのは経済的に厳しい。正直割に合わなかった。
ならばと、ケチを極めてケチんぼエンヴィー(存在しないボカロ曲)として、近所の銭湯にすべて出向き、そこのサウナで一番気持ちの良い場所を見つければ良いじゃないかと目論んだ。
そして、この目論見は大成功し、総当りによる入浴料なんて合計しても3000円程度で済み、向かった店の数だけ家とは比べ物にならない湯質と湯加減の湯船に浸かり、アッツアツのサウナを浴び、水風呂にも入り、可能なら施設なら外気浴も行い、極楽のような気分へと至ることができた。
やったね!
何よりサウナだけでは終わらない。銭湯でリラックスをする人々とその細かな年齢層、番台との会話から感じ取れる地元に愛された人情を五感で体感することができるのだ。しかもそれを一回の入浴が最大でもサウナ代込700円程度でこれを毎度味わえるのはコストパフォマンスが壊れているなといつも思っている。
これはどの銭湯だろうが変わらず、当たり外れを感じたことは本当にない。
もちろん一度の入浴で2000円以上必要な施設は何倍も上質なサービスが待っておりこれはこれで楽しいのだが、「サウナに入りたい」という欲求と「良いサウナに入りたい」欲求は別であり、基本前者を取れれば私は充分なのである。
だから私は奮発したいとき以外、地元の銭湯を選んで入浴している。
そして今回の記事では、その銭湯巡りの末に起きたみみっちい話がメインとなる。
地元にある銭湯巡りを続けた結果、一軒だけ見逃していた銭湯が存在していた。
そこはサウナイキタイ(※)で調べている限りかなり好評で、しかも公式サイトではサウナを推しているなど、地元銭湯にしては現代的なブームを意識している印象を強く覚えた。
どのみち行くがモチベーションを上げるには充分な事前情報であり、比較的移動に困らない場所であるためとりあえず行ってみようと決意した。
……だが
番台のおじいちゃんに「大人一人サウナ付きでお願いします」といつものように声をかけたとき、
妙に悪態付いた顔で嫌々サウナ用のバスタオルを渡されたのだ!
そう、これは地元銭湯あるあるで、一見さんの客がサウナを口にした途端に対応が悪くなることがある。
それもそのはず、一応子供の頃は通っていた地元銭湯でもこの対応をされたので、銭湯内の番台によって対応は変わるだろうが今後も行く場所を増やしていけば必然的に何度もぶち当たる対応だと確信しているレベル。
この銭湯の場合、公式ホームページでは番台の息子らしき人物の写真が印象強かっため、私はメインの経営こそ暫定息子が回しているが、暫定先代オーナーの父も番台として働いていると、だから彼は乗り気じゃないまま番台や風呂の手入れを行っていると考察した。
当たってなくても、そういうことにした。
だが考えてみて欲しい
確かにサウナブームは偉大ではある。
若年層が新たな名目を得て地元の銭湯に通うきっかけにもなり、健康の是非に目をつぶれば非常に経済を回してくれる素晴らしい現象と言える。
しかし、あえて悪い言い回しをするが、経営者側に後期高齢者も多い環境の中で、彼ら彼女らがサウナにウェイトを置いて「整った」などと自分たちにはない価値観で感想を述べている姿を受け入れられるだろうか?
少なくとも私は自分をその立場に置き換えたとき、寛容な立場を取れる自信がなかった。
だから、こういった接客を受けることは「不愉快」ではなく「必然」だと私は解釈している。
なのでここは図太く、「細かいことは気にせず風呂の中身だけを楽しもう!」という単純な思考で乗り切ることにした。
そしていざ入浴してみると……
浴槽は少し狭いが揃うべきものはジェットバス複数種から揃っていて、露天風呂も湯船が比較的広めで開放感が強く、湯の内容が定期的に変わるようで風呂だけでも通い甲斐があるクオリティの高さ。
客層はこの手の地元銭湯ではよく見る中年~高齢者が中心で、たまに私のようなサウナ目当ての若年層がいる程度。
大雑把に言って、正直風呂だけでも最悪サウナが微妙だろうが元が取れるレベルだった。
その上……サウナに入ることでコストパフォーマンスが完全に崩壊を始める。
なにせ、10人程度は入れる広さかつオートロウリュが付いているのだ!
そのくせサウナ代はなんと別途200円! というかここは高齢者の顧客が比較的多い近隣住民に親しまれている銭湯でもあるため、何故そんな場所にこのクオリティのサウナがある事自体が世界観から離れていている気がしてしまうレベル!
しかもサウナから出てすぐの場所に露天風呂がある上に水風呂まで配置されており、その水風呂の眼の前には水シャワーまで付いているのだ! 当然露天風呂には所謂整いスポットも完備!
こんなSSR銭湯が家からササッと行ける場所にあるなんて思いもしていなかった……
エルデンリングで例えるなら、序盤の草原で一箇所に『黄金樹に誓って(戦技)』と『火よ、力よ!』(※)のバフセットが当然のように配置されているようなものである。
もはや、この銭湯を守ってくれた経営者や従業員、支えてくれた近隣住民、あらゆる存在に感謝するしかない。
そうして大満足の状態で浴槽から上がり、着替え、番台のいるソファのついた休憩所に座り込むこととなった。あとはミネラルとビタミンを飲料で補充し、少時間のリラックスと洒落込むだけ。
あぁ、ここは回数券も買ってしばらく通おう。
そう心に決めたのだ。
だが始まりがあれば終わりが必ずある。どのような施設も入店すれば退店する。
飲料を飲みきれば銭湯からいよいよ退店することになるのだが、私はとにかく、
とにかく、
番台に嫌われたくなかったのだ
考えてみて欲しい。
これから回数券を使い切るまで週に一度、最低でも月に一度は行くことになるであろう施設で複数いるにしても高確率で対応されるであろう番台に嫌われていたら銭湯で行うあらゆるリラックスの質が下がる。
何よりも私自身が彼のことを嫌いにはなりたくなかった。
そこで、退店時にこう言ったのだ。
「お風呂が気持ちよかったです。ありがとうございました」
そう、私は! サウナを褒めず風呂だけを褒めた!
この言葉には嘘が入っていない上に、サウナ目当てだけで来た客じゃなかったと認識してもらえる魔法の言葉選びだ。
実際この言葉への接客返事は初対面のときよりも遥かに心地よいものに変わっており、この日以降の入店でも私への態度が露骨に良くなっていたため悪印象を完全に回避できたのは間違いない。
よしんばこれらの心理推移が全て私の妄想だとしてもここで私が満足したなら誰も困らない行動だし、いいだろう!(は?)
こうして私は新たな行きつけの銭湯を確保することが出来た。
なら、今日はラッキーデイということにしていいだろう。
どれだけみみっちい行いだとしても、そういうことにしておいた。
こういう生き方も別にいいんじゃないかと、図太い真剣で生きたい。
まあぶっちゃけ、嘘ついてないだけでバリバリサウナと水風呂と外気浴を3セットやってるサウナ目当ての客なのだがな!
あと、住所を特定されたくないのでここの銭湯が具体的にどこにあるのか、その他店名などについて教えるつもりはない。許してほしい。
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