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#2 クラウドファンディングの実施

おにぎり屋さんを開業するにあたって、クラウドファンディングを約1ヶ月間、資金調達と認知率の向上を目的に実施しました。
クラウドファンディングを実施するにあたって気をつけていたこと、実施してみた結果とその振り返りをつらつらと書いていきます。
今回もだいぶ長くなりそうなので、お茶でも飲みながら暇つぶし程度に読んでみてください。

実施するあたって気をつけていたこと


今回クラウドファンディングを実施するにあたって事前に気をつけるべきことがたくさんありました。

■ストーリーとターゲット
今回のクラウドファンディング内容をざっくりまとめると、「三重県出身の米農家がホテルマンを辞めて、思い入れのある地、那智勝浦に移住しておにぎり屋さんを始める」というもの。
米農家としての視点でストーリーを組み立てて行くか、ホテルマンを脱サラして一念発起するという視点か、思い入れのある地域を元気にしたいという視点か。
ざっと考えるだけでも3つほどのストーリーが出来上がりました。
そしてどのストーリーを選ぶかでどこの誰にクラウドファンディングで応援してもらいたいかとそのリターンも変わってきます。
結果的に、今回のクラウドファンディングは「米農家」としてのストーリーに重点を置き、部分的に「地域を盛り上げたい」ストーリーを入れて構成することにしました。理由としては、「自分がクラウドファンディングを通じて、さらにいえばおにぎり屋さんを通じて実現したい世界」を考えた際に、一番しっくりきたのが、米農家としてのストーリーだったから。当初は、上記の3つのストーリーすべてを盛り込んでHPを作成する予定でしたが、実際のターゲットとなる、那智勝浦町に住んでいる方と地元三重県に住んでいる方への相談で、すべて盛り込んだところでぼやけてしまうという結論になりました。
まとめると、今回のクラウドファンディングは、ストーリーを「米農家」、主なターゲットを「那智勝浦の方と地元三重県の方」という設定で実施しました。

■実施時期と期間
キャンプファイヤーは支援金が翌月支払いとなるので、今回の場合だと7月31日に終了したプロジェクトなので、支援金の振込みは8月末の予定でした。9月に入ると店舗の施工や什器の購入が始まるので、それまでに間に合わせる必要があり、私の場合はプロジェクト用の写真撮影や文章のチェックなど、外部委託することもあったため、準備としては5月頃から開始していました。また、キャンプファイヤーの場合は、自分で完成したサイトをすぐに公開できるわけではなく、事務局の校正が入り、最短で3営業日なため、7月10日より開始するプロジェクトですが、6月頭にはおおよそのプロジェクトページが完成している必要がありました。

■プラットフォーム選び
今回のクラウドファンディングではキャンプファイヤーを利用しましたが、他にもクラウドファンディングのプラットフォームは複数あります。キャンプファイヤーは業界内でも上位の手数料の高さであり(17%)、また企業案件も多いため個人のプロジェクトが埋もれてしまうおそれが他のプラットフォームよりも高いです。それでもキャンプファイヤーを選んだ理由は、圧倒的なユーザーの多さ。キャンプファイヤーは、クラウドファンディングのプラットフォームの中でもトップのユーザー数の多さであり、身内だけでなく不特定多数の方に認知できて、支援していただける可能性が高いため、手数料と天秤にかけても、こちらの方がよいという判断でした。この判断がどうでたかは後ほど記載します。

■リターンの発送時期と種類
今回のプロジェクトのリターンですが、発送時期があえて重ならないように注意していました。お店が開業すると、とても忙しくて、自分に余裕がなくなることは目に見えているので、
・お礼のお手紙:8月
・おにぎり引き換えチケット:10月
・1泊2日那智勝浦宿泊チケット:10月
・伊賀米コシヒカリ:11月
・生マグロ:2月
というように季節を分散させました。
リターンの時期が全て重なっていると、クラウドファンディングの方も、お店の方もおろそかになってしまいます。(自分の場合は!)


実施結果


では実際に実施してみてどうだっかを振り返ります。

(1)支援元地域別分析

上位だったのは、メインターゲットであった地元三重県と移住先の和歌山県。次いで前職である栃木県という結果でした。三重県からの支援者は予想通りかそれ以上の結果となりましたが、和歌山県からの支援者は、想定よりも下回る結果となりました。大きな理由としては、①リターンの内容、②認知度の2つだと思っています。
後ほど詳しく分析しますが、今回のリターンで一番メインとなっていたのは生マグロのブロック。終わってから振り返れば、当たり前なのかもしれないですが、地元の食材をリターンではいらないですよね。。
そして認知度については、やはりまだ定住しておらず2ヶ月に一度のペースでしか那智勝浦に訪れることができていなかったということもあり、なかなか広報活動ができていなかったというのも大きいです。

(2)リターン別分析

リターン別で見ると、1口1,500円の「お気持ち支援」がトップの31名。次いで「生マグロ約4名分」が19名。3番目に「炊きたておにぎりサービス」が15名という結果になりました。「お気持ち支援」の支援元地域はまんべんなく、和歌山や三重、栃木など様々な地域からご支援いただきました。
次の「生マグロ約4名分」は先述したように、ほとんどが和歌山県以外の地域からのご支援でした。
3番目の「炊きたておにぎりサービス」はそこまで地域のかたよりはないものの、今回のリターンの中で数少ない現地に足を運ばないといけないものだったため、関西周辺の方からのご支援が多かったです。
リターン別の分析を見てみると、個人的にはクラウドファンディングにおいてリターンは最重要事項ではないように感じています。
それでもリターンで支援するかどうかを決めるという方も一定数いることがわかり、さらにそこに自分の居住環境などが絡んでくるため、リターン選びはより慎重に時間をかけてやるべきだと感じました。

(3)総支援額

約1ヶ月の実施期間で皆様に支援していただいた合計金額は526,500円で、手数料と消費税を抜くと420,000円ほどでした。
多いと感じる方もいれば少ないと感じる方もいらっしゃるかと思います。私の率直な感想としては「上出来すぎる」です。
キングコングの西野さんが「クラウドファンディングは金の成る木ではなく信用をお金に変えるだけ。実施することで自分の信用度がわかる。」とおっしゃっていました。実施してみて、まさにその通りだなと感じていますし、それを踏まえてみても、この金額は自分とっては上出来すぎる結果だと思います。
もう少し「信用度」という言葉を深掘りすると、その地域による信用度だと思います。
例えば、今回のクラウドファンディングにおいて、事業実施先の和歌山県にお住まいの方からの支援は合計10名で10,500円。支援者なら全体の7分の1、支援額なら全体の5分の1程度という結果でした。まったく誰かわからない人にも関わらず、期待を込めて10名もの皆様に支援していただき、一方で、一番フックさせる必要がある和歌山県で10名という結果でもありました。
これに関しては、やはり和歌山県那智勝浦町における自分の信用度が表れた結果だと思います。
そして繰り返しになりますが、見ず知らずの若者にもかかわらずご支援していただいた皆様には感謝しかありません。

反省点

最後に、今回クラウドファンディングを実施てみて結果的にどうだったか(特に反省点)を振り返ります。

まずプラットフォーム選びですが、ここは少し間違えたかなと実は思っています。先述したように、キャンプファイヤーを選んだ理由は業界最大のユーザー数だったため、不特定多数の方に認知と支援をしていただけると思ったこと。しかし実際には全体の9割以上が身内であり、見ず知らずの方はごくわずかでした。このような結果であれば、もう少し手数料が低い別のプラットフォームでもよかったのではないかと思っています。

次に実施時期と期間についてですが、時期については完璧だったと思います。移住前と移住後が重なる期間であり、移住先と実家と移住前の3つの地域で直接宣伝活動を数は少ないものの、できたことは良かったと思います。ただ期間に関しては、支援金の入金期間の関係で7月中で終了しましたが、8月の1週目(あと1週間)まで伸ばしても良かったと思います。理由は終了直前でシェアしてくれる人がかなり多かったため、プロジェクトが終了してから「支援したいんだけど」という声が何件かありました。
最後に目標金額の設定についてです。実は今回のクラウドファンディングでは、最初の目標金額を100,000円にしており、そこからネクストゴールとして、徐々に金額を吊り上げていこうと考えていました。が、これが裏目に出てしまいました。
当初の予定では、開始3日ほどで100,000円に達成する見込みでしたが、良い意味で裏切られてしまい、なんと開始4時間で到達してしまいました。それが金曜日ということもあり、ネクストゴール300,000円を記載したホームページに変更したくてキャンプファイヤーに申請するも、3営業日でのチェックが入るため、開始初日〜5日目までのいわば一番大事な期間に「目標金額に達成済」と表記され続けることになりました。
人によっては、心理的に「目標金額に到達しているのだったら支援する必要がない」と思うこともあるかと思うので、ここはある意味一番の反省点だったと思います。

まとめ


初めてのクラウドファンディングでしたが、想定をはるかに上回る結果となりました。
ご支援していただいた88名の皆さま、そしてSNSや口頭で拡散してくださった皆さま、本当にありがとうございました。支援額以上に、認知率がかなり上がったと感じており、実施してよかったなと感じています。
10月以降、リターンの発送を順次行って参りますので、ご支援していただいた皆さまは今しばらくお待ち下さい。

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