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日本語教師としての気づき 1
…対面レッスンの打診…
オンラインで教えている私の元に地域の日本語支援している日本語支援の団体の方から対面でのボランティアによる日本語指導の可否について打診を受けたのは一昨年の夏のことでした。そして、紹介を受けて教え始めた学習者さんは彼が3人目でした。
…レッスンの開始とその後…
来日して5年を経過しビザの更新を済ませて間もない南アジア出身の既婚男性でした。
同じ国の同郷の人が日本で立ち上げた会社で働いている彼には仕事上で日本語を求められることはありませんでした。だから、5年間日本で暮らしているにも関わらず彼はゼロ初級だったのです。
まったくのゼロ初級の人は初体験の私が選んだのは『NIHONGO FUN & Easy(アスク出版)』と『ナラティブで学ぶ日本語160時間(凡人社)』という教科書でした。
これらを選んだのは『FUN & EASY』の方は、英語が分かる学習者であり自習に使って
もらいやすいだろうと考えたこと、『ナラティブで学ぶ日本語160時間』の方は集住都市の
浜松で一般社団法人グローバル人材サポート浜松の代表である堀久乃先生が作られた本であり、この本について著名な西口光一先生のお話を伺う機会も有ったからでした。
実を言えば学習者さんから指定された教科書があったのですが、それは英語と彼の母国語で書かれた彼の国で買った本で、基本的なことを習得するために私もレッスンでこの本を大いに活用させてもらったのですが。
試験目当ての勉強でなく日本にいるにも関わらず日本語が分からないことで疎外感を大いに感じているとレッスン開始前の面談で話していた彼とのレッスンは私にとって試行錯誤の連続
でした。
教科書を使いつつ、私の指示語を分かってもらいそれ以降の学びをスムーズに進める為に「平仮名」を1ヶ月半やる事になったのです。
そして、2ヶ月後には再び最初からという事もありましたが会話を通して文法の基本にも触れながらレッスンが進んで行ったのでした。
…レッスン中止の申し出とその理由…
ところが、昨年春にレッスンを辞めたいと申し出を受けたのでした。
理由を確認してみるとコロナ禍の為に中止せざるを得なくなっていた家族の呼び寄せが出来るようになったこと、今後は私に日本語の先生としてではなく、日本語と日本のことについて日本人の友人の1人として交流させてもらいたいからということでした。
私の願い
この申し出は日本語を通じて夢を応援したいと考えている私には願ってもないことだったので快諾して今に至っています。
このことを通して学習者さんの心情にまで思いを巡らせた上で日本語の支援をしていきたいとの思いを一層深めたのでした。
そして、お互いの文化などをわかり合う為にも彼らと交流し、彼らが日本語で発信する場を創り出すことの努力を惜しまない者でありたいと願うのです。
2023/01/17
Luke