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「イバラートの世界」に行ってみた!!!!



イバラートの世界へ 

 今回、銀座三越で行われている井上直久さんの「イバラートの世界」という絵画展に行ってきました。ジブリオタクのわたしとしては、「耳をすませば」で井上さんの作品と出会っています。もう一つジブリ作品で「星をかった日」というジブリの森美術館で放映されている短編映画にも携わっていらっしゃいます。ジブリ好きとして恥ずかしながらまだ「星をかった日」を見たことがないので、来年こそは必ず見てハウルと荒地の魔女の危ない関係を堪能してきます。

気になった作品「忘れ難き学舎」

 絵画展で気になった作品がいくつもありました。そのうちの一つは「忘れ難き学舎」という作品です。「学舎」とあるからには学校などの建物を想像すると思いますが、学舎らしきものは両端に見切れていて、画面には青い空が描かれていました。淡い青色で、線のような雲を引いていました。青空の絵に「学舎」という題をつけたのか違和感がありましたが、自分自身学生生活を送っていると、小中高大学生どの時代でも、授業中に黒板や自分の手元のノートより窓の外側にある空を見ていたなと思いました。試験に出てくるであろうものを聞き逃すまいと神経を尖らせて先生の話を聞いていた一方で、ふとした瞬間に晴れた日の窓の外を見ると緊張感から解き放たれ、青い空に魅入ってしまうことがありました。もしかしたら、井上さんも授業中に見た青い空が学生生活の中で印象深く残っているのかなと思いました。

わたしが思った作品の特徴

 絵画展ではおそらく20点以上の作品が飾られていたと思うのですが、20作品のうちはとんど夕方のような雰囲気か晴れた日の絵が多かったと思います。
大体、町並みや市場を描いたものは夕刻の時間帯の様子を描いていたと思います。そして、「耳をすませば」の月島雫の創作物語に出てくるような宝石が散りばめられていて、夕日の光や雰囲気も相まってとても美しい異世界を表現されていると思いました。また、ちょっとした山や塔、丘などが作品に登場するのですが、その時は決まって快晴の真っ青な空模様を描いていらっしゃると思いました。フランスの田舎の風景に近いものや、宝石に加え「多層界で友を探す」と言う作品など異空間を感じさせるような作品もありました。
 さらに登場人物も特徴的で、人間だけでなく擬人化した動物や妖精もいました。みんな来ている洋服が本当に可愛くみんな印象深かかったので、描かれている登場人物がどんな背景があって、市場で何を買おうとしているのか考えるのが楽しかったです。見ていて気が付いたのですが、井上さんの作品には眠っている「バク」と思われる架空の動物がいることが多いです。寝ている姿が可愛らしく、魅入っていました。

作品の「エモさ」

  多く散りばめられた宝石、妖精などファンタジーな世界が作品の中で繰り広げられていますが、どこか「エモさ」を感じます。「エモさ」は、若者の使うネットスラングですが、わたしなりにこの言葉を定義してみると「心揺さぶられる」といった意味だと考えました。さらに「懐かしさ」と言う意味合いも含まれていると思います。わたし自身Instagramを使っているのですが、写真を撮ってストーリーに投稿する時色んなフィルターをかけます。デジカメやチェキで撮ったようなフィルターをつけて友人と「エモくて良い感じ!!!」といつも盛り上がっています。Instagramを投稿してはしゃぎながらいつもなぜ「エモい」という言葉を使ってしまうの考えます。「懐かしい」と言う言葉は、過去に経験したものに再び触れ合うことで呼び起こされる感情、言葉ですが、「エモい」と言うZ世代の我々は実際にデジカメなど使って写真を撮った人はあまり多くないと思います。経験したことがないのになぜ懐かしいと言う意味を含む「エモい」と言う言葉が使われるのでしょうか。ある意味Z世代などの若者は「古き良きもの」と言われるものを受け入れているのかもしれません。上の世代からテレビやSNSなどを通して伝わった「古き良きもの」が若者の中に残っていて、実際に触れたときに「”懐かしい”」と思うのだと推測します。つまり、「エモい」と言う言葉は実際に経験してから生まれた感情ではなく、媒体などで「懐かしいもの」と言う情報が頭の中にありそれを目の当たりにした時出てくるのかもしれないと考えました。実際、ジブリ作品を視聴して綺麗な女性が来ている昔の服や町並み、男性が持っている巻きタバコに憧れていました。そしてイバラートの世界を見たときに、ジブリを見て憧れた小物や服を見て心の中で「エモい」と感じたのです。あまりうまく自分の思っていることを言語化できていないので、色んな意見を聞きたいです。

「イバラートの世界」と「耳をすませば」の関係

 わたしがこの絵画展に赴いたのは、冒頭にもあるように「耳をすませば」に関連があるからです。井上直久さんは主に、月島雫の作った物語の部分で「イバラートの世界」を描いていました。雫の物語の中では、バロンとルイーゼは工房の見習いによって作られた設定となっています。バロンたちが作られている場面はまさにイバラート世界の市場で沢山の宝石がキラキラと輝いていました。また攫われたルイーゼを助けるためにバロンと雫が異世界の中を飛ぶシーンがあるのですがそこも井上さんが携わっています。「耳をすませば」は学生生活を通しながら天沢聖司と月島雫の恋模様を描く作品で、普段の日常を描く一方時折そのイバラートの世界を見ることができるので、もっと雫の物語を見たいなと思わせてくれます。「猫の恩返し」は雫の物語とされていて個人的にバロンが本当にかっこよくて好きなのですが、イバラート世界な感じも良かったのかもしれません。
 ちなみに、井上直久さんは絵の制作だけではなく、声の出演もされています。天沢聖司と雫が「カントリー・ロード」のセッションの中に飛び入り参加してくるおじいちゃんたちがいますが、その人たちの声を当てているのが井上直久さんとジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんです。こういった遊びがあると作品鑑賞がもっと楽しくなります。


 

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