24.むすめ
やはり 娘は そこから 大学にいけなくなっていった。
ずっと そばにいるほうが良いのか
一人にして あげたほうがいいのか
わたしは 戸惑っていた。
あなたが 19歳だったら どんな風になるだろうか?
想像してみてください。
娘を目の前にして
いつ “どこの癌なの?” と聞かれるのではないかと
いつも緊張していた。
ある日
『私に言えない親の事情があるんでしょ?言えないならいいよ』
今度は 娘に気を使わせてしまった。
娘は 過食と拒食を繰り返し 太ったり痩せたりして
とうとう過敏性胃腸炎になり 大腸の検査。
おどけてみたりしている娘をみて
いつも何も言えなくなっていた。
”普通に生活していてくれよな”
平然を装い 何事もないとふるまうことで
この出来事を少しでも忘れていてほしいと主人は望んでいた。
そこまで 娘に望むのは 酷(コク)なことで
30年も経験値のあるはずの私も 立っているのさえやっとだった。
もちろん 主人に報告などできない。
時が過ぎるのをまった。
主人が奇跡をおこしてくれるのを 本気で待っていた。