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『怨霊JKの異世界革命』あらすじ&1話

~あらすじ~
悪霊の女子高生、キズコ。
その怨みは甚だ強く、死の呪いを振りまく大怨霊である。

そんなある日、キズコは別の世界に飛ばされてしまった。
そこは剣と魔法が支配するファンタジー風世界。
その世界では罪を犯した者がアンデッドとなり、司祭の「討伐」を待つ。
だがキズコはこの世界の神や勇者の力で討伐できない。
呪いの質が異なる上、キズコの力はより圧倒的なのだ。

そこでアンデッド達はキズコにすがる。
最初は億劫がっていたキズコだが、人間達への怨み、
アンデッド達への哀れみからこれを承諾。
そしてキズコはなし崩し的に「アンデッド革命」を起こす王としての道を歩きはじめる。

――願わくば、すべてのアンデッドに祝福を! 

#1
■賑わうハンバーガーショップ
女子高生二人が噂話をしている。

生徒A「ねえ、また『キズコの呪い』で死んだ子がいるらしいよ……」

生徒B「はあ? 『キズコの家』には近づくなって先生にも言われてるのにね……」

近くの席、黙々とバーガーを食べ終わる青年。
くしゃくしゃと紙を丸め、突然立ち上がりその場を去る。
怪訝そうに、横目で見る女子高生達。

N「人々の間で恐れられている『怨霊のキズコ』。キズコに怒りに触れ、呪い殺された者は、数知れぬという……」

■郊外・キズコの家
日本的な建築のよくある屋敷だが、異様な重苦しい雰囲気に包まれている。
屋敷を睥睨する、先ほどの青年。

■同・玄関
引き戸を開け、青年が入ってくる。
すると薄暗い廊下の奥から、気配が。
ゆっくりと迫りくる、白い裸足の足。

青年「……キズコだな」

浮き上がるキズコの美しくも儚い顔。
異様に白く光の無い、明らかに死者の目。

キズコ「(睨みつけ)……」

青年「そうだ――俺はお前のような怨霊を鎮める者。今日こそお前を祓ってみせる!」

キズコ「…………」

突然手を伸ばしてくるキズコ。

青年「(印を組み)破ッ!」

青年の体が光を発しキズコを吹き飛ばす。

キズコ「……!」

青年「有象無象の拝み屋と一緒にするなよ。俺はお前を祓うため、長い年月をかけて力をつけたのだ……!」

キズコ「……!?」

青年、呪文を唱えながら印を組み替える。
その体を中心に、強い光が広がっていく。
光に飲まれていくキズコ。

キズコ「(慄き)お……お前……は……」

青年「さよならだ、キズコ……!」

光が周囲を見たし、音が消える。

■草原
青く高い空、広大な緑の草原。
うつぶせに倒れているキズコ。
草に頬をこよがされ、目を覚ます。

キズコ「(起き上がり)……ここは……?」

男の声「ゆ、許してくれぇ~ッ!」

ハッと声のほうを見るキズコ。

全身が骨のスケルトン型男性モンスターと、鬼火をまとった小さなゴースト型の少女モンスターがこちらに逃げてくる。
スケルトンの名はアベル、少女の名はメアリー。

アベル「俺達が何をしたっていうんだよ~!」

メアリー「み、見逃してください~!」

アベルらの後ろから、ロッドを持った男性クレリックが追いかけてくる。

クレリック「アンデッドめ! 神の名に置いて、この地より去れ!」

アベルとメアリー、キズコに気づく。

アベル「待ち伏せか!? ど、どうか連れのメアリーだけでも助けてやって……」

メアリー「あ、アベルさん。この人、生気が感じられないです――多分」

キズコ「…………?」

メアリー「私達と同じ、アンデッドです!」

クレリック「む……! 仲間を呼んだか、醜き不浄の者ども!」

キズコ、クレリックの言葉にピクリと震える――仄かな怒り。

アベル「アンデッドか……! 逃げてくれ、あのクレリックどもは教会のアンデッド狩りだ!」

キズコ「クレリック………」

キズコの瞳に、強い憎悪の色が宿る。

キズコ「生身の――人間……!」

カッと見開かれるキズコの瞳。
瞬間、周囲の草が一気に枯れ果てる。

クレリック・アベル・メアリー「!!」

空気に満ちる、禍々しい闇の粒子。
その粒子がクレリックの口をこじあけ、入っていく。
呼吸が止まり、苦しむクレリック。

クレリック「ぐ……ぐははぁッ……!」

睨み続けるキズコ。

クレリック「ひぃっ……!」

恐怖に顔を歪ませ、逃げ去っていくクレリック。
落ち着く空気、無表情に立つキズコ。
愕然としているアベル、メアリー。

アベル「な……なんて力だ……」

メアリー「あなたはいったい……」

キズコ「……私は、キズコ」

メアリー「キズコ……」

キズコ「生きている人間はすべて憎む」

■アベルが住む洞窟
薄暗い穴の中、膝を抱え、アベルとメアリーの話を聞いているキズコ。

アベル「ニッポンの怨霊ねえ……ニッポンなんて聞いたことあるか、メアリー」

メアリー「聞いたことないね……外国かなあ」

キズコ「…………貴方達も、怨霊なんだよね」

メアリー「アンデッドではあるけど……怨みでこうなったわけじゃないかなあ」

キズコ「……?」

アベル「なんか、あんたの国と俺達の国とじゃ、アンデッドになる過程が違うらしいな」

小首を傾げているキズコ。

メアリー「この国でアンデッドにされるのは、『生前に罪を犯し、処刑された人間の魂』なんです」

キズコ「される……?」

アベル「ああ、聖なる神ミスラスの力とやらでな。だからこの姿は、罰そのものだ」

スケルトンの腕を見せつけるアベル。

メアリー「そして神の子であるクレリックは、私達を祓い、浄化しようとするのです」

キズコ「浄化……されると、どうなる?」

アベル「わからねぇ」

キズコ「わからない?」

メアリー「新しい魂として転生する、とは言われているのですが……証明した者はいません……」

アベル「わからないから、逃げるのさ。逃げれば逃げるほど、クレリックや勇者達が『平和』のために俺達を追いつめる」

キズコ「…………」

アベル「そもそも俺達、生前の罪なんて覚えてないんだけどな」

キズコ「は……?」

メアリー「えへへ……アンデッドはだいたいそうです」

キズコ「じゃあ……何の罪も……無いかもしれないのに?」

   ×   ×   ×

キズコの回想。
縛られ、全身を滅多刺しにされ、苦痛にまみれた顔で倒れているキズコ。
それを見下ろす、男の影。

   ×   ×   ×

キズコ「……気に入らない」

メアリー「え」

キズコ「私は、何もしていないのに殺された。何日もかけて苦しめられた。監禁されて、すぐには死なないように、痛めつけられて」

ぞっとしているアベルとメアリー。

キズコ「殺されて、殺されて、殺されて、殺されて、殺されて、殺されて、殺されて、殺されて、何度も殺されたように感じて、そして――怨霊になった」

メアリー「う……」

キズコ「神や他人の救いなどなかった。だから憎む。怨む。疎む、呪う。すべてを」

アベル「そんなアンデッドが……いるのか」

メアリー「で、でも、すごいです……呪いの力だけで、あれだけのことができるなんて。私達の力は、微弱ですから」

アベル「あ、ああ、そうだな。キズコの力があれば、俺達も対抗できる……!」

怪訝そうなキズコ。

アベル「クレリックども、近々大規模なアンデッド討伐作戦を行うつもりらしくてさ……俺達ビビり倒しだったんだ」

メアリー「けどキズコさんが味方になってくれたら、みんな祓われずにすむかも」

キズコ「断る」

アベル・メアリー「は?」

キズコ「怨霊は自由。群れない。それに、縁もない相手を助ける理由がない」

アベル「で、でも、協力したほうが……」

キズコ「どうでもいい。私は私のやりたいようにやる」

立ち上がったキズコ、ふらふら歩き出す。

メアリー「あ、あの、どこへ?」

キズコ「元の世界へ戻る。あの世界の人間は、まだ呪い足りない」

去っていくキズコを見送るしかない、アベルとメアリー。

■荒野の空
透明な浮遊霊的に、ゆらゆら飛ぶキズコ。
その目に、様々な魔物の姿が映る。

キズコ「…………」

歩く樹木の魔物、歩くキノコの魔物。
蠢くスライム、巨大なコウモリ。
キズコの近くを飛ぶハーピー、人面蝶。

キズコ「本当に……違う世界……」

そしてさまよう甲冑、レイスなどのアンデッドと戦闘している戦士ら。

キズコ「興味がない……私は戻る……」

   ×   ×   ×

日の暮れた山の上、大きな町を見下ろすキズコ。

キズコ「…………どうやって?」

■町(夜)
三日月が浮かぶ夜空。
民はすでに就寝し、静まり返っている。
ふらふらと見回しながら歩くキズコ。

通りがかった民家の窓を覗くと、幸せそうに眠っている親子の姿が見える。

キズコ「(無表情)…………」

一瞥して進むキズコ、灯りのともった大きな建物を見つける――教会である。

窓から覗くキズコ。

祭壇には大司祭らしき壮年の男、若き青年クレリック。
その前には屈強な戦士・勇者達。

大司祭「よくぞ集まってくれた、勇者諸君。腕に自慢のあるの力添え、嬉しく思う」

戦士「いいってことよ。俺達もでっかい稼ぎになるしな」

キズコ「……?」

大司祭、いやみったらしく笑い。

大司祭「これこれ、声が大きいぞ――知られてしまうであろう、我々とアンデッドどもの利害関係が」

戦士「なかなか腐敗してるよな、ミスラス教会さんもよ」

クレリック「……アンデッドの量を数やし、民意の不安を扇動し、我々で浄化する」

   ×   ×   ×

イメージ。
集団のアンデッドに襲われる人々を守りながら戦う、クレリックと戦士達。

   ×   ×   ×

クレリック「そうしてより強い信心とお布施を集める。これも立派な布教です」

戦士「へっ、そのために、強引にアンデッドを作り出すんだもんな。ワルだぜ。あんたらも、あんたらの神も」

大司祭「効率主義なのだよ、我らは。さあ、明日は大規模討伐作戦の決行日だ。準備はぬかるなよ!」

各々帰っていく戦士ら。
キズコは無表情に睨んでいる。

■同・裏通り(夜)
とぼとぼと歩いているキズコ。

キズコ「人……間……」

その脳裏に、大司祭のいやみな笑いが浮かぶ。

キズコ「世界なんて……関係なかった……どんな世界でも……人間は人間……」

絶望に染まっていくその瞳。

キズコ「生きている人間は……すべて、私が……!」

■アベルが住む洞窟(夜)
まだ休んでいるアベルとメアリー。

アベル「はあ……夜は体調いいはずなのに、外出る気力もねーな」

メアリー「仕方ないです。いつ討伐隊が来るかもわかりませんし……」

不安そうに外を眺めるメアリー。

メアリー「それにしてもキズコさん、どうしてますかね」

アベル「お前もアンデッドのくせに、人のことばっか心配してるな」

メアリー「だって、一度は助けてもらったし。それに……」

アベル「それに?」

メアリー「アンデッドだって、ひとりはさみしいですよ」

声「そんなことはない……」

ハッと入口を見るアベルら。
三日月を背に、キズコが立っている。

アベル「おお、キズコ! 帰ってきたか!」

メアリー「わー! どうぞどうぞ、狭苦しい家ですけど、アンデッド3人ぐらいなら休めますからね」

アベル「俺の家なんだけどね」

キズコ「……手を貸す」

メアリー「え?」

キズコ「お前達の呪い――私が背を押す」

■町・出口付近(翌日・夜)
装備を整え、祈りの言葉を唱え、討伐作戦の準備をしている複数の戦士、複数のクレリックら。
そこに大司祭が現れ、松明を掲げる。

大司祭「皆、用意はできているようだな。では行くぞ!」

戦士ら「おー!」

他の者も松明を掲げる。

――だが、その瞬間。
突風が吹き、全ての松明が同時に消える。
ハッとする戦士達。

戦士「な、なんだァ?」

クレリック「……この気配は……?」
重苦しい空気、ゾッとする戦士ら。

大司祭「ぬう……この忌々しさは」

クレリック「あ、あっちだ……!」

クレリックが指差す先、闇の中から、にじみ出てくる人の輪郭。
俯き、たたずむキズコである。

戦士「アンデッド……! まさか向こうから攻めてくるとは!」

大司祭「聖句を唱えよ!」

クレリックら、ロッドをかざし、瞳を閉じて何やら祈りを唱えはじめる。
わずかに光を発するロッド――しかし。

ギラリ、見開かれるキズコの視線。
刹那、ロッドが真ん中から破裂する。
破片を顔面に浴び、悲鳴をあげるクレリックら。

大司祭「(驚愕)聖句が効かない……!? そ、そんなアンデッドなどいるわけがない!」

キズコ「私は……お前達の神の力で、世に留まってるんじゃない……」

じりじり歩いてくるキズコ。

キズコ「だから……お前達の祝福も要らない」

大司祭「せ、聖水を撒け!」

残ったクレリックら、懐の聖水をキズコに向かって勢いよくかける。
だが、水はキズコに届かない。
まるでバリアがあるかのように、水が空中で静止している。

キズコ「要らないと――言った」

大司祭「う……い、行け、戦士達! 浄められた刃で、アンデッドを切り払え!」

戦士達、怯えつつ武器を掲げる。
表情を動かさないキズコ。
唸りながら戦士達が進もうとした、そのとき。

声「うおおおおおおお!」

町の外から、大勢の影が飛び込んでくる。
先頭にアベルとメアリー。
それに続き、アベルやメアリーと同種のスケルトンやゴースト、ゾンビ、ガキ、グール、ミイラ男、怪しく動く影などアンデッドらの混合軍が次々と現れる。

アベル「加勢に来たぜぇ、キズコ!」

メアリー「みんな、一緒に戦ってくれるそうですー!」

キズコ「(無表情)…………」

顔面蒼白の戦士ら、そして大司祭。

戦士「おいおい、司祭さん! 聞いてねーぜこんなの!」

大司祭「こんなことは、前代未聞だ……!」

ゾンビに襲われ噛まれているクレリック、
ガキに全身を噛まれている戦士。
ミイラの包帯に絞めつけられるクレリック。
そしてアベルは戦士と剣で渡り合う。

戦士「な、なんだこいつら……!? いつもなら簡単にぶっ倒せるのに……!」

クレリック「(ゴーストに襲われ)強い……!」

大司祭「まさかこれも、あの女の仕業か!」

キズコの体からは、黒いオーラが溢れている。

キズコ「怨霊の呪いは、さらなる呪いを生む。……私が近くにいれば……他の呪いも増す」

大司祭「ば……化け物め……!」

気づけば、討伐軍のほとんどが壊滅状態。

メアリー「やりました……! この戦いは、私達の勝利……」

一人立っている大司祭、怒りに肩を奮わせている。

大司祭「……なめるなよ。父なるミスラスの祝福は、伊達ではないッ!」

聖句を唱え出す大司祭。

キズコ「私に祝福は効かないと……」

大司祭「現れたまえ、御使いよ――偉大な天使<ヤザタ>よ!」

すると、空から一条の光が。
そこから翼の生えた、顔に口しかない異形の人、ヤザタ達が現れる。

キズコ「……!?」

アベル「て、天使だ! はじめて見た……!」

メアリー「そんな……天使様と戦うなんて、いくらなんでも……」

ヤザタら、口から熱風を噴き出す。
まともに浴びてしまったアンデッド達、激痛に逃げ惑う。

アベル「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」

散り散りになるアンデッドの中心、キズコだけが堂々と動かない。

大司祭「神の祝福が効かぬとも、神の怒りは通じるであろう! アンデッド如きが、神には決して逆らえぬ!」

キズコ「神、神と……しつこい。どうして私の怒りが、お前達の神に劣ると思う?」

大司祭「何!?」

キズコ「そこまで言うなら……本気を見せる。私の世界の――怨霊の真の力を」

俯くキズコ、すると地鳴りのような轟音が響き始める。
空気が震え、地が震え、雨雲が集まってくる。
怪訝そうに空を見上げる天使達、不安そうなアベル達。

アベル「こ、今度はなんだ……?」

キズコ「憎しみには――苦しみには、怒りには、限界なんてない……だから、人は鎮めるために、私達を神とした……」

メアリー「か、神?」

大司祭「馬鹿な……人間が、神になどなれるはずが……」

集まってくる雨雲、大気に生じる稲妻が、キズコの体にまとわりつく。

N「古来日本では人里を襲う天災は怨霊の仕業と考えられ、これを神として敬った。神と成った怨霊を『御霊(ごりょう)』と呼ぶ」

逆巻くキズコの髪、雷のオーラを全身から放つ、雷神の如き姿。

キズコ「思い知れ、私の痛みを」

N「人々に襲われるキズコもまた、神の力を持つ。これが怨霊キズコの呪殺戦闘形態――『御霊キズコ』である」

大司祭「や、ヤザタよ! 真の神の裁きを!」

ヤザタらが一斉にキズコを襲うが。

――轟音。
キズコの体から、幾重もの雷が四方へと放たれる。

瞬時に黒炭となり大気に消えるヤザタら。

大司祭「ひ……」

おさまっていく雷雲、闇の中から大司祭を睨み続けるキズコ――その恐ろしい闇。

大司祭「ひぃぃぃーッ!」

足をもつれさせながら逃げていく大司祭。
静寂の夜。
静まり返っていたアンデッド達だったが。

アベル「や……やったー! アンデッドの初勝利だぁぁぁ!!」

スケルトンやミイラ男ら、他のアンデッドらが輪になって大喜びしている。

メアリー「(キズコに抱きつき)キズコさん、ありがとうございます~!」

キズコ、メアリーに頬ずりされながらも無表情。
歓声がいつまでも続く。

■町の入口(翌朝)
立ち去ろうとしているキズコ、さみしそうに見るアベルとメアリー。

アベル「本当にまた、行っちまうのか……?」

キズコ「残る理由も……ないから」

メアリー「やっぱり元の世界のほうが、いいんですか……」

キズコ「いいというわけでは……ない」

メアリー「なら、一緒に……いえ」

涙を我慢しているメアリー。

メアリー「ここまで助けていただいて、私達の身勝手に縛りつけるなんて……よくないことですよね」

キズコ「…………貴方達は、これからどうするつもり?」

アベル「どうって……別に、決めてないけど」

メアリー「私は、静かに過ごして……このまま朽ちていくなら、それはそれで」

キズコ「もったいない……」

アベル「も、もったいない?」

キズコ「怨霊は……もっと、やりたいようにやるべき。それが、世界への復讐……」

メアリー「は、はあ……」

キズコ「元の世界の人間も嫌いだけど。この世界の人間は……もっと怨霊を恐れるべき……」

キズコの意図がわからず、顔を見合わせるアベルとメアリー。
キズコ、くるりと振り返り、アベルらのほうへ戻ってくる。

キズコ「……一緒にいてあげる」

アベル「!」

メアリー「(嬉しい)キズコさん!」

キズコ「勘違いしないで。私は静かに過ごすつもりなんてない……この世界を支配する者を、呪ってやりたいだけ。だから」

キズコ、ニヤリと笑い。

キズコ「怨霊の……革命を起こす」

困惑しているアベルら。

アベル「おう……よくわかんねーけど、改めて」

メアリー「ようこそ、私達の世界へ!」

妙にさわやかなアベルとメアリーに囲まれ、ほくそ笑み続けるキズコ。
青空が高い。
                                                    
                              続く

#2


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